知られざるリンダ・ロンシュタットのカバー名曲Best10
再注目されるリンダ・ロンシュタット
こんな記事を見つけ、久しぶりにLinda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット )が聴きたくなりました。
Long Long Time
米HBOのドラマ・シリーズ『The Last Of Us』の第3話でリンダの「Long Long Time」がフィーチャーされ、Spotifyアメリカでの再生数が4900%と急上昇を記録。セカンドの『Silk Purse』からのシングルとして1970年にリリースされた「Long, Long Time」。この曲の作者ゲイリー・ホワイトは有名ではないようですが、全米25位にランクしリンダの初ヒットとなります。
Linda Ronstadtは学生時代にEaglesのファンだったので、彼らが彼女のバックバンドだったことを知り、興味が湧きました。
ただソングライターではなかったので、自分の中ではそれほど価値を感じず、当時は熱烈なファンではありませんでした。
ところが、最近公開された『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』を観て、かなり印象が変わりました。
作曲をしない代わりに、カバーを通じて素晴らしいソングライターを世に広める役割を果たしていたのです。
そんな彼女のカバーソングを、オリジナル等と聴き比べてみました。
(カッコ内は作者です。)
リンダと10組のソングライターというテーマで選んでみると、彼女の選択眼の鋭さとセンスに感嘆します。
リンダ・ロンシュタットと10組のソングライター達
1.Rock me on the water(Jackson Browne)
1972年1月リリース「 LindaRonstadt」より。同年の6月にデビューしたJacksonBrowneもデビュー作に収録。後にイーグルスを結成するGlenn FreyがGuitar、Don HenleyがDrumsを担当。Background VocalsはGlenn Frey, Don Henley,Randy Meisner。本作にはBernie Leadonも参加し、イーグルスの4人が顔を揃え、その後バンド結成に繋がった。
JacksonのバージョンはHarmony VocalsがDavid Crosby & Graham Nash。Craig Doerge, Leland Sklar ,Russ KunkelのSectionのメンバーがサポート。
2.Birds(Neil Young)
同様に「Linda Ronstadt」より。Glenn Frey が Guitar、Don Henley が Drumsを担当。Background Vocals は Don Henley & RandyMeisner。
ヤングのバージョンは「After the Gold Rush」でレコード化されたが、それ以前にGraham Nashと録音したデモが『DEJA VU』発売50周年を記念盤でリリースされた。
同年に発売されたヤングの「Harvest」のHeart of GoldとOld Manにリンダがコーラスで参加している。
3.Love Has No Pride(Eric Kaz&Libby Titus)
1973年に発売された「Don't Cry Now」はアサイラム・レコードから初めてリリースされたリンダのソロ4枚目。キャリアで最高となる45位を記録。
Love Has No PrideはEric Kaz&Libby Titusの作品。Libby Titusは後にLevonHelmと結婚し、離婚後はDonaldFagenの妻となる。
作者のLibby Titusのバージョンで。
5.Willin'(Lowell George)
『悪いあなた』(Heart Like a Wheel)は1974年11月に発売され、ビルボードのチャートの1位を記録し、ここから彼女の快進撃が始まる。
Willin'はLittleFeatのカバーで作者のLowell Georgeとは恋愛関係になる。
Andrew Goldがギター、ピアノ、ドラムなど全楽器を担当。
Lowell Georgeとリンダが出演したラジオライブの音源も。
6.I Will Always Love You(Dolly Parton)
1974年リリースのDollyPartonのカバー。1991年WhitneyHoustonのカバーは大ヒットした。リンダは1975年『哀しみのプリズナー』(Prisoner in Disguise)にてカバーした。ドリーとリンダは親交を深め、Emmylou Harrisとトリオで後に共作アルバムを出す。
5.Lose Again(Karla Bonoff)
『風にさらわれた恋』(Hasten Down the Wind)は1976年発表、グラミー賞受賞作でチャート1位を3週間続けプラチナアルバムとなる。
Lose AgainはKarla Bonoffの曲。本作には3曲カーラの曲が含まれ、その後もリンダと縁深いライターとなる。
6.Hasten Down the Wind(Warren Zevon)
「Hasten Down the Wind」のタイトル曲。Warren Zevonはセッション・ミュージシャンやソングライターとして下積み生活を送っていたが、リンダが彼の曲を取り上げ注目を集める。1976年にデビュー・ソロ・アルバムをリリースし、Jackson Browneがプロデュース。
リンダのバージョンはDon Henlyが見事なハーモニーをつけている。
7.Simple Man, Simple Dream(J.D.Souther)
『夢はひとつだけ』(Simple Dreams)はリンダが1977年に発表した8枚目のアルバム。チャートで5週連続1位となる。Simple Man, Simple Dreamは彼氏だったJ.D.Southerの曲。ベースのKenneth Edwardsはリンダとストーン・ポニーズにおける同僚。ドラムのRick Marottaは後にリンダのバンドRONIN結成。オリジナルはJDの名作『Black Rose』にて1976年に発表。
8.All That You Dream(Bill Payne/Paul Barrere)
「Living in the USA」は1978年に発売された。
All That You DreamはLittleFeatのカバーだが、恋人だったLowellではなくBill PayneとPaul Barrereの曲である。
Little Featバージョンにはリンダがゲストボーカルで参加している。
9.Alison(Elvis Costello)
次作「MAD LOVE」では三曲もコステロをカバーするが、そのきっかけとなった。Alisonは1977年のコステロの『マイ・エイム・イズ・トゥルー』に収録された。
10.Desperado(Glenn Frey/ Don Henley)
最後はあまりにも有名な「ならず者」(Desperado)。2019年にリリースされた初のライブアルバム「Live In Hollywood」(80年のLive)より。
イーグルスは1973年4月リリースの「Desperado」にて発表。作者はヘンリーとフライ。
リンダは同年の9月に「Don't Cry Now」にて取り上げた。
貴重なリンダとイーグルスの共演ライブも。
コラボレーション〜番外編
11.After the gold rush/Dolly Parton, Linda Ronstadt & Emmylou Harris
Dolly Parton, Linda Ronstadt , Emmylou Harrisの3人は『Trio』を1987年3月にリリース。最優秀カントリー・パフォーマンスでグラミー賞を受賞。After the gold rushは1999年の『Trio II』に収録。本曲でグラミー賞でのベストコラボレーションを受賞。オリジナルはNeil Youngの「After the gold rush」で1970年にリリースされている。
12.All My Life (with Aaron Neville)
All My Lifeはリンダが最も取り上げたKarla Bonoffの曲。『Cry Like a Rainstorm、Howl Like the Wind』で1989年に収録された。Aaron Nevilleとのデュエットをフィーチャー。300万枚以上を売り上げ、トリプルプラチナの認定を受ける。グラミー賞ベスト・デュオ賞を受賞。
いかがでしたか、リンダ・ロンシュタットのカバー・ベストソング。
リンダはソングライターではないので、必然的にカバーばかりになるので「名カバー」も増えるのですが、それにしても選曲の妙に唸ります。
デビュー前のJacksonBrowneやEaglesを見出す選択眼。
Karla BonoffやWarren Zevonなど埋もれていたソングライターを発掘する「未来を見通す力」にも感心します。
曲選びを人任せにしないプロデューサー気質もありました。
今はパーキンソン病と言われ療養中ですが、映画『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』ではチラリと画面にも姿を現しました。
映画を観ると、ロックの世界から脱却後もリンダが活躍していたことが知れました。
ネルソン・リドル編曲による1983年のスタンダード曲集『What’s New』は世界で500万枚のヒットとなり、1987年にはスペイン語アルバム『ソングス・オブ・マイ・ファーザー (Canciones De Mi Padre) 』で自身のルーツを見つめ直します。この作品は200万枚以上のセールスを上げています。
映画では、アリゾナ州で生まれ、父方の曾祖父はドイツから移民し、メキシコ人と結婚したと言う人種的なルーツも語られます。
彼女への見方が変わるこの映画は必見です。
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