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インドのアイスクリーム


 「アイスクリームでも食べに行かない?」
 風鈴のような言葉だ。誰もが涼しさに誘われるように甘く冷たいアイスクリームを食べに行ってしまう。暑さと夏のせいにして今日もアイスクリームを食べてしまう。

 インドでも数々のアイスクリームがある。ギーなど乳製品を多く製造、販売しているAMUL(アムール)というところのカップに入ったアイスクリームはどこか懐かしい味わいがする昔から人気のアイスクリームだ。そして伝統的で歴史があるインドのアイスクリームと言えば「クルフィー(kulfi)」であろう。冷蔵庫や冷凍施設もないような16世紀のムガール帝国の時代に誕生したと言われているクルフィーは当時のムガールの皇帝、アクバルの好物であった。濃厚な牛乳をゆっくりと時間をかけて煮詰め、それらにピスタチオやカルダモン、サフランなどで風味と香りをつけていく。筒状の容器に入れゆっくりとヒマラヤの氷を使って固まらせていく。甘く、冷たく、上品なインドのアイスクリーム「クルフィー」の出来上がりである。クルフィーという言葉はペルシャからきているらしく、アイスクリームや冷たいものとかではなくクルフィーを作る容器のことをクルフィーと言い、それが語源なんだとか。

 伝統的なクルフィーはピスタチオやカルダモン、サフランなどが使われている。どれも高価なナッツやスパイスであるが、辛いスパイスではなく上品なスパイス使いがペルシャ由来の様々なムガール帝国時代のインドを象徴しているようでもある。そのほかにもローズやマンゴーなどのクルフィーもあるし、最近ではたくさんの種類のクルフィーを作り、販売している店も多い。デリーを中心に北インドで多く食べられている印象だが、今では南インドでも食べることができるのであろう。

 カレーとクルフィー、スパイスを使った料理とデザートが最高の組み合わせである。最近では食前にチャートマサラを効かせたスイカのガスパチョを提供することがある。スイカのガスパチョに始まり、夏野菜をたらふく食べれるスパイスを使った様々な料理。そして上品なクルフィーにミントを効かせた爽やかなチャイ。日本の夏を楽しむスパイス料理のコースの出来上がりである。
 
 もう20年近く前に南イタリアはプーリア出身の人と一緒に住んでいたことがある。いつかB&Bの宿泊所を作り左となりはジェラート屋、右となりはカレー屋をやろう。なんて話していたのが懐かしい。

 クルフィーとカレーとチャイの店っていうのもいいなぁ。

 緑がたくさんある広場が近くにあるともっといいなぁ。

 「広場にクルフィーでも食べに行かない?」
 

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