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26Kブルワリー(東京・武蔵境)

 JR中央線の高架下、わずか3坪のスペースでクラフトビールを醸造する26Kブルワリーは、間違いなく日本最小のブルワリーでしょう。

 およそ15年前まで、いわゆる“開かずの踏切”がドライバーを悩ませていたこの界隈。再開発によって線路が高架の上に移し、町並みをリニューアルする過程で、26Kブルワリーの構想はスタートしました。

「JRさんから、『テナントが空いているので何かやりませんか』とお声がけいただいたのが、ブルワリー立ち上げのきっかけでした。もともと広告制作の仕事を通して周辺の活性化に取り組んでいたので、流行りのクラフトビールはきっとこの地域の大きな売りになると直感したんです」

 そう語るのはオーナーの見木久夫さん。かくして2017年、26Kブルワリーは「Ond(オンド)」と名付けられたフードモールの一角に誕生しました。カフェや惣菜デリなどと軒を共有し、今では昼夜を問わず近隣住民がひっきりなしに訪れる、地域の人気スポットとなっています。

 見木さんいわく、武蔵境エリアにはいまも多くの農地があり、地域産の副原料には事欠かないのだそう。たとえば、創業当時から醸造するレッドエール「Mr.SAKAI」は、武蔵野産トウガラシを利かせた、ほんのりとした辛さにモルトとホップの風味が同居する、好評のフラッグシップ。

 また、見木さんは毎年夏に大きな盛り上がりを見せる「中央線ビールフェスティバル」の仕掛け人としても知られています。JR武蔵境駅で栽培したホップでビールを仕込むなど、さまざまな取り組みを講じる同ブルワリーの次の一手にもぜひご注目を!

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉


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