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TAMRON SP90mmF2.8 Di MACRO VC USD (F017) タムキューという愛称で多くの人に使われているマクロレンズ

 フィルム時代から花など植物を撮る時はマクロレンズを使っているがデジタルカメラで撮る時はAPS機を使っていることでフィルム時代から使っているニコンのAiニッコール105mmF2.8Sでは少し望遠過ぎることと画素数が2400万画素になったことで逆光時のハイライト部のパープルフリンジが目立つようになってきたのであまり使わなくなった。
レンズの距離としては35mm換算で100mm前後が使いやすいので50~70mmならシグマの17-70mmF2.8-4、それ以上だとシグマの18-200mmF3.5-6.3を使うことが多かった。前者は35㎜換算で75~105mmと被写体との距離が取りやすいのと最短で22cmまで寄れる。後者は高倍率だが39cmまで寄れる。真ん中周辺なら絞り開放でも使えるのでF8ぐらいまで絞ることで寄ってもピントを合わせた周辺まできちんとくる。両方とも手ぶれ補正も付いているので使い勝手は良い。
しかしAiAF85mmF1.8D(35㎜換算で127mm)で撮ることが多くなり距離感にも慣れたのとレンズの最短距離が85cmとあまり寄れないことからマクロレンズを買うことにした。
今までとおなじようにニコンと思ったがAPS機では105mmは少し長い。シグマのArtレンズを気に入って使っているので70mmマクロと思ったがニコン用はない。いろいろ検討したが85mmに近い距離ということでタムロンの90mmを買うことにしたが電磁絞りということでフィルムのカメラでは使えない。フィルムでも撮れるようにひとつ前のレンズを中古で買おうか迷った。しかしタムロンは製品にバラつきがあり中古で問題のないレンズを見つけるのは時間がかかりそうなのと修理をしてくれるかなど不安が多いので現行品に。デジタルでしか撮れないが逆光に強いということから写りを優先にした。


真ん中がタムロンの90mm。左右は今まで使っていたマクロレンズで左がニコンの105mm、右がオリンパスの90mm。手ぶれ補正機能が付いているためかタムロンは他の2本に対してひと回り以上大きい。しかしインナーフォーカスのため接写時でもレンズが伸びないので持ちやすい。            

 タムロンの90mmは昔から定評がある。手振れ補正の効きも良い。他のレンズを使っているがボケも柔らかい。
 AFレンズになってからAFでもピント合わせを早くしようとしてかピントリングが軽かったりしてスムーズに動かないものが多くなったがこのレンズは滑らかに動くのでピント合わせがしやすい。今のカメラメーカーはAFで撮るのが当たり前と考えているようだがマクロ撮影ではMFでの方が合わせやすいからピントリングの動きも考えられているのだろう。
逆光に対しても噂通りで開放f値が2.8ということでパープルフリンジも出にくい。レンズフードが流行りの花形フードでなく丸形フードなので縦位置でもフレアが出にくい。マクロレンズは被写体に寄るごとに絞りの補正をするがニコンの場合は実絞りでカメラの露出表示が出るので開放にしてもF2.8と表示されないが1mから0.5mならF4からF5,それより寄る場合はF5.6ぐらいに絞ると良い感じで写る。


フィルム時代のレンズだとハイライト部にパープルフリンジが
出やすいがこのレンズは出ない。これを撮った時は朝で太陽の
角度が低かったがフードが丸形だったのでフレアが出なかった


 マクロレンズとしては良いレンズだが普通の望遠レンズとして使う時には欠点がある。∞から1mまでのピントリングの距離が短いのだ。AFレンズはピントを早く合わせたいということで距離の間隔が短いものが多い。広角レンズなら絞っていれば多少ピント位置がずれていても被写体深度でなんとかなるかもしれないが望遠レンズはピントの合う範囲が狭い。
絞りを開けて撮れば少しずれていてもピンボケだ。メーカーはAFに対して絶大な信頼を持っているようだが現実には合わない事が多い。ピントを合わせる位置が画面の端にいくにつれて精度が落ちるためMFでピントを合わせることになるが距離感が狭いうえにデジタルカメラのファインダーがMFでのピント合わせがし難いためスムーズにピントを合わせることは大変だ。ピントが合ったカットを撮るために何枚も撮るということも多々ある。買う時にこのレンズがこの状況だったのでニコンの105mmも見たが同じと少しがっかりした。今のマクロレンズは望遠からマクロまで使うという事は考えていないようだが辛抱強く何枚か撮れば思ったように撮れるだろう。
1枚撮ってはモニターで拡大してピントを確認、フィルムカメラは撮ってすぐに確認できないのでデジタルカメラ用で良かった。


∞から1mの間隔は短い


ニコンの105mm
1mより短い距離も余裕がある


オリンパスの90mm。こちらもニコン同様


1m以下も余裕。フィルム時代のオリンパスは
マクロ撮影には定評のあったレンズが多かった


こういうピントをどこに合わせていいか雑然としている
被写体ではAFで思ったところに合わせるのは至難の業だ。
MFで自分が思ったところに合わせなければならないが 
    ピントリングの距離の間隔が短いと合わせるのに手こずる    
       

ニコンの場合、被写体までの距離が近くになるにつれて絞り補正された絞り値が表示されるので実際の絞りがどのくらいか分からないがF4からF5.6で撮るのがボケや描写の面でこのレンズには良いようだ。
タムロンの手振れ補正は強力というのが定評だがこのレンズもそれに値し撮影に集中できる。

 次に買うカメラはミラーレスになるがどのメーカーにするかはまだ検討中の段階。どのメーカーにしてもレンズを新しくしなければならないがすべてを一斉に購入するのは金銭的に無理な話でこのレンズは引き続き使う予定だ。しかしニコンにした場合には問題がある。ニコンZではAFや手振れ補正が使えないのだ。
他のレンズのようにアップデートで解決するのかと思ったがタムロンの工場に持って行ってアップデートしなければならない。本来なら製品の欠陥なのだからすべて無償で行うのがスジだがこちらの負担(送料など)するかが明記されていないうえにタムロンのHPにはこのレンズ自体が載っていない(製造終了のリストにも載っていない)などこの会社のアバウトな点は解消して欲しいものだ。





 長年マクロレンズとして定評のある90mmF2.8だがミラーレス機用としては未だに発売されていない。一眼レフ用は
ニコン用だけがAFなどの不具合が発生すると正式に言われているがソニー機でも同じような症状が起きるようなので
使っている電子部品がミラーレス機とは合っていないのかもしれない。
いずれは技術的にクリアするかもしれないがマクロレンズは特殊なものだけに販売面での売れ行きを考えるとF017のモデルで終わりとなれば残念なことだ。

(追記)
 7/25にタムロンからレンズ修理サービスに関する案内が。
https://www.tamron.com/jp/consumer/support/news/detail/20230718164446.html
半導体等電子部品の入手困難な状況に加え、部品調達先の生産打ち切りなどもあり、一部の修理部品の確保が困難となっている状況が発生していて修理内容によっては修理できないケースが発生していてこのレンズもその対象に。
上記のZへの対応のための修理も予想以上に依頼があって部品がない状況(もう対応しないという噂も)というのだから呆れる。ニコン用のユーザーはすべて修理を希望するという前提で対応すべきだが部品の入手が困難な状況なだけに現在販売されているレンズのみだけ対応したいという考えが見えてくる。
そう感じるのは最近まで販売終了リストに書いてなかったのがリストに載ったが販売終了時期はなんと2020年12月。
修理可能は5年だけに修理対応も早々に終わらせようということだろう。
タムロンのレンズは出荷時に検査していないのか新品でもAFが前ピンだったり片ボケしたりというのが多い。自分も他のレンズで片ボケがあり修理してもらったがその後はきちんとした描写をしているので今後タムロンのレンズを購入する人はその辺はしっかりとチェックして欲しい。

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