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【自分用まとめ.2】「2030年世界はこう変わる」を読んで

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 アメリカ情報機関(National Intelligence Council)は、アメリカ大統領のために、世界の中・長期的予測を行う諮問機関で、彼らが分析した2030年の世界の未来予測が本書であります。
 第1刷の発行が2013年の4月。なので、もう発行から7年弱が経過していますが、まだまだためになることは多いはず。てことで読んだまとめです(あくまでも自分用)。

1.メガトレンド

(1)個人の力の拡大
 中間所得層はますます拡大していく→特にアジア圏(中国、インド)→資源の逼迫、民主主義を求める声の高まり、ポピュリズムの懸念
(2)権力の拡散
 2030年までにアジア圏は北米と欧州をあわせた力(GDP、人口、軍事費、技術投資)よりも大きくなる。2020年代に、中国は米国を抜き世界第一位の経済大国になるだろうし、日本はどんどん弱体化(高齢化、人口減少が原因)していくだろう。
 第2集団と呼ばれる非西欧国も無視できない→コロンビア、エジプト、インドネシア、イラン、南アフリカ、メキシコ、トルコは2030年までに欧州や日本を上回るとされている。
 ただし、中国の覇権は短命か。中国の労働人口のピークは2016年。人口ボーナス期は終了。その後に続くのはインド。インドの労働人口のピークは2050年。
 覇権国家が定まらない世界は不安定になる。
(3)人口構造の変化
 高齢化が進むと、国家はリスクを取りづらくなり、財政上の柔軟性が制限される。
(4)食糧、水、エネルギー問題の連鎖
 人口増加により、食糧、水、エネルギーはさらに重要視される。この3つは連鎖している。
 アメリカはシェールオイルによって資源独立国となる。が、シェールオイルの産地は、米国の地震多発地帯と一致しており、その採掘方法とあわせて不安視する声も。
 エネルギーをつくる技術が進展し、エネルギー不足問題は後退してく。

2.ゲームチェンジャー

(1)危機を頻発する世界経済
 GDPにおける負債の割合が減少している先進国は3つのみ→米国、オーストラリア、韓国。
 最も不安な国は日本。IMFは「たとえ政治的な混乱を招くとしても、財政上のバランスを長期的に保つ大規模な政策転換を実施すべき」と勧告。
 2025年までの世界の経済成長の1/3は中国が担う。しかし、2015年に8%だった中国の65歳以上の人口は、2030年には16%に、労働人口も同年比で、72%から68%へ低下する。人口構成の変化が経済に影を落としていく。
 インドはこれから大躍進する。中国とインドという2つの世界経済の柱によって経済は安定する見込み。
(2)変化に乗り遅れる「国家の統治力」
 国の変化、個人の変化、団体の変化等様々な勢力。現在の統治は、第2次世界対戦後のorder。これで今後も乗り切れるだろうか。
(3)高まる「大国」衝突の可能性
 中国vsインド。中国vs米国。この2つがポイント。
 水資源の確保が紛争の種になりうる時代。
 崩壊の危機にある国家は、犯罪ネットワークやテロ集団の拠点になる恐れがある。
(4)広がる地域紛争
 中東の将来は明るくない。現在も投資先として見られていない。せいぜい、エネルギー、投資、観光。
 サウジアラビアの財政が安定するのは、原油1バレル=100ドル(執筆時点=2020年2月9日でWTIは50ドル)。国の赤字が膨らむ状態。いずれサウジアラビアは原油の輸入国になるのでは。
 サウジアラビアは絶対君主。いつまで持つのか。王家が倒れたら、同様の国家で同様の危機に。
 イランの核開発は危険で、世界のバランスを崩す。イランが核保有国となると、サウジアラビアはパキスタンから買うか、ノウハウを得るだろう。トルコも、UAEやエジプトもそうするだろう。
 イエメンは若年者人口が増加している→政情不安の可能性。
(5)最新技術の影響力
 今後、技術革新の中心は欧米からアジアやラテンアメリカに移るだろう。
A 情報技術
ⅰ データ処理:ビッグデータをより大量により高速に処理。
ⅱ ソーシャルネットワーク:より多様化する(ただし、提供企業が倒産しない限り)。
ⅲ スマートシティ:ITで生活効率をあげ、エネルギー消費は抑える。
B 機械化と生産技術
 ロボット、自動運転技術、3Dプリンターが鍵。3Dプリンターの医学利用が進む。
C 資源管理技術
ⅰ 遺伝子組み換え植物:世界の胃袋を満たすために必要。収穫を増やす工夫、天候に対応する工夫
ⅱ 精密農業:種子や水を効率良く使い、収穫量をアップさせる。大規模な土地を必要としない。
ⅲ 水管理:マイクロ灌漑。点滴のような正確さで水を届ける。
D 医療技術
 遺伝子解析が進む→より長く、より健康的に人類は生きる。能力強化のチップを体に埋め込むなど→高価なため、富裕層にのみ行き渡る。
(6)変わる米国の役割
 覇権国からトップ集団のひとつになる。
 ソフトパワー→人口は世界総人口の5%だが、世界の特許の約3割を保有、トップクラスの大学の約4割が米国の大学、シェールオイル、移民の流入。
 問題点は
・医療問題:非効率で高額
・中等教育の水準低下
・所得の分配:富裕層は増えていくが、中間層は減少。貧困率の増加。

3.オルターナティブ・ワールド

 今後のシナリオは4つ。
(1)欧米没落:最も悲観的なシナリオ。
 仮のシナリオとして→疫病の世界的流行→疫病が発生する発展途上国で企業の国営化が進み、西側企業が乗っ取られる。。。
(2)米中強調:世界経済を押し上げる。最もいいシナリオ。
(3)格差支配型:国内、国外における経済格差により混乱が生じる。格差による争い、腐敗が多発。
(4)非政府主導型:NGO、大学、裕福な個人が主導する。世界は協調する。大学は垣根を超えた交流が増加し、同窓生が増えていく。

※感想

 本書を読んでいて結構目についたのが「シェールオイル」ですかね。資源を持つことの重要性を感じます。たしか日本近海にもたくさん埋蔵している、というニュースを見たような。日本のシェールオイル開発はどうなったのかしら。
 日本については「もうダメポ」的な書き方が多かったですが、もうダメポと言われて、そのままダメになるのを良しとする人なんていませんよね!
 アメリカの強みである「ソフトパワー」を見て思うのですが、トップレベルの大学の多さ、移民流入というのがアメリカを支えているのかな?と個人的に思います。
 財政問題もそうですが、日本の教育も抜本的に変えていく必要があると個人的に最近思っています。
 移民については、外国人技能実習生(あくまでも技術移転のための実習ですが。。。)と在留資格「特定技能」により、日本の労働市場に多くの外国人が来ていますが、本書にもあったとおり、単純労働的な分野は、海外との熾烈な人手獲得競争が待っています。「お金がいいから日本に来るだろう」という概念は、そろそろ幻想になってくるかもしれません。

参考 Global Trends 

 

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