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【家づくりアドバイス】家具屋が本気で家づくり!家具の寸法に合わせて壁の位置を決める、ドアの位置を決める!中古マンションリノベーションとは…

家具屋が本気で家づくりをしたらどんな住まいになると思いますか?​

今年は2022年です。今から7年半前、2014年7月に家具屋、インテリアショップBIGJOYが本気で家づくりを試みた中古マンションリノベーションについて再度取り上げたいと思います!

振り返ると・・・それは2014年4月ある中古物件との出会いから始まりました・・・

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リノベーション前の間取り図

私の記憶では、この物件は約76㎡ほどの3LDKの中古マンションで、リノベーション前の当時の写真はこんな住まいでした。

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リノベーション前の内装写真

どこにでもありそうな11.1帖のリビングダイニングの隣に、7.3帖の和室がある間取りで・・・そんな中古マンションを家具屋が本気でリノベーションしました。

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リノベーション施工中の写真

間取りの右半分の壁をすべてぶち壊し・・・スケルトン状態に・・・

そして完成したのがこちらの写真となります。

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物件選びからリノベーションプランまで、家具屋である自分たちがすべて考えた中古マンションリノベーションとなります。

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リノベーション前の間取り図

この間取りを家具屋が本気で家づくり(中古マンションリノベーション)をすると・・・

リノベーション後の間取り図

こうなります!お風呂などの水回り部分はそれほど手を加えず、残りのスペースをガラッと間取り変更しました!

家具屋の中古マンションリノベーションは、住宅会社や不動産会社、一級建築士事務所のリノベーションとは異なる視点で考えられております。

それは…

家具サイズ、家具の配置に合わせて壁の位置を決める!お部屋の広さを決める!という考え方です!


家具のサイズに合わせて壁の位置を決めるとはどういうことかというと…

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ウォークインクローゼット
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ウォークインクローゼット

上の写真をご覧ください。このスペースはリノベーション後の間取り図の上の方にあるウォークインクローゼットスペースとなります。このスペースの壁の位置は、写真に写っている既製品の伸縮クローゼットの最小サイズの幅に合わせて壁の位置を決めております!つまり、そのスペースで使用する道具が入るように内寸から壁の位置を決めているのです!

さらに・・・

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主寝室の写真

この寝室は・・・パパとママ、お子さんたちが川の字で寝れるようにシングルベッド3台+αの寸法から寝室とリビングを間仕切る壁、建具の位置を決めております!

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主寝室からリビングを見た写真

さらに・・・

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寝室に取り付けたドアの位置は・・・幅105㎝のチェストが2本並べることができる位置としました。(実際は幅90㎝のチェストを2本並べております)

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このように、住宅のハード部分の位置、寸法を道具のサイズ、使い方に合わせて設計する家具屋ならではの考え方から家づくりにチャレンジした事例なのです!こんな発想こそ、インテリアショップBIGJOYが掲げるコンセプト「きっと家具から始まる家づくり」なのです!

従来の家具選びは”川”に例えると、川下(かわしも)の扱いとなります。家づくりは、まず川上(かわかみ)で土地が決まり、家の設計、施工が行われる順に流れて、最後に川下(かわしも)で家具・インテリアを選ぶのが通例ですが、この取り組みは順序が少しことなるのです。

その住まいの過ごし方、道具の置き方、使い方から住宅のハードを考えるという取り組みなのです。家づくりをハードから考え、ソフトを後付けするのではなく、家具屋が考える理想の家づくりは、道具の使い方のソフト面から住宅のハード面を考える中古マンションリノベーションとなるのです!

木造建築ではなかなか難しいですが、鉄筋コンクリートのマンションならば、壁の位置は1㎜単位である程度自由に決めることが出来ます。お部屋の広さをどのくらいにするかは家具の大きさ、家具の配置を考えた上で壁の位置を決めればいいんだと考えたというわけです。


家具屋が考えた使い方から考えた中古マンションリノベーション

上記で述べたような家具のサイズから壁の位置やドアの位置を決めるという考え方以外にもインテリアショップBIGJOYがこだわったアイデアはいくつかございます。
中でも、今回の中古マンションをする上で最もこだわったのが・・・

リビングのすぐ隣に寝室を設けたかったことです

私自身の子育ての経験から、幼稚園や保育園に入る前に子供を早めに寝かせつけて、リビングでテレビを見ている時に廊下の奥の寝室から子供の泣き声がかすかに聞こえて駆けつける機会が何度かありました。子供が寝たと思い大人の時間を過ごしていても、子供の様子が気になったりするものです。子供目線で考えるときっと隣にパパやママがいると思ったら誰もいないと、さぞ心細いことと思います。そんな経験からリビングから少し離れた寝室よりも、リビングのすぐ隣が寝室であれば、寝かしつけた後に泣いていても、すぐに子供の変化に気が付くことが出来ると感じたのです。そんな経験から下の写真のように、リビングと寝室を隔てる扉を少しだけ空けて・・・

きっと子供もパパやママがすぐ隣にいるので安心できるのではないでしょうか?
他にも子育て目線でこんな提案もさせて頂きました!

玄関から入ってすぐのところにベビーカーが納まる土間スペースを作ったアイデアです。子育てあるあるで経験したこともある方が多いと思いますが、せっかくベビーカーで散歩中に子供が寝たのに、お家へ帰ってきてベビーカラーから抱きかかえると起きてしまう・・・ということありませんか?

そんなことを考えて、散歩から帰ってきてそのままベビーカーでお子さんが寝ている間に、必要な家事を行うというアイデアです。この土間スペースもベビーカーの大きさに合わせて設計し、さらに・・・

この土間スペースをロールスクリーンで間仕切れるように設計しました。
ここで重要なのがロールスクリーンが納まるスペースです。下の写真をご覧ください

細かい話ですが、構造の梁下に6㎝ほど下がり天井を作って、そのスペースにロールスクリーンが納まるように設計しております。こんな点もロールスクリーンの寸法を事前に確認したからこそできる考え方となります。

このようにウォークインクローゼットスペースをロールスクリーンで間仕切るとスッキリして見えますよね!いい感じです。

ここでもう一度リノベーション前の図面をご覧ください!

元々北側に2つの洋室があり、その部屋はもちろんエアコンが取り付けられるようになっております。しかしながら和室は通称”中和室”といってバルコニーにも外廊下にも面してないので、このような中和室にはエアコンがないケースが多いのです。しかしながら、そんな和室を寝室にしているので…

上の写真をよ~く見て下さい。ベッドのヘッドボードの上にエアコンのダクトを持ってきているのです。

上の工事中の写真を見るとエアコンのダクトがどうなっているか分かりますよね!

こうすることで寝室にエアコンを取り付けることができるのです。
また、上の写真を見ると…エアコンのダクトの下に2本の電気コードがあります。これは・・・子供が寝る前に本の読み聞かせができるよう間接照明を仕込んでおります。また、そのスイッチをシングルベッド3台の両端に来るよう位置を決めております。

ベッドの両端にパパとママが寝ることを想定し、寝ながら手を伸ばせば間接照明をつけたり消したりできるように設計しました。
このスイッチは子育てにはとても有効で、子供が夜中に嘔吐したり、鼻血を出したりした場合にすぐに電気をつけ、状況を確認することができるからです!当初は本の読み聞かせをするために取り付けた照明ですが、実生活ではそれ以外の用途でも活用できるというわけです。

これらのアイデアもすべて道具の使い方から考えた家づくりならではのものとなります。

これまでの話はウォークインクローゼットや主寝室の話をさせて頂きましたが、次にリビングダイニング空間で考えたことをご紹介します!

この物件の間取りを見たとき、パッとひらめいたのが和室が6帖ではなく、7.3帖あったことです。もし和室が縦長6帖しかなかったらこの物件を購入してリノベーションしようとは思わなかったのです。7.3帖の和室であれば、8帖の3640㎜×3640㎜ほどの広さはないけど、300㎝以上の有効寸法があるため、上の写真のようにテレビボードの正面にソファを置いても、1m70㎝前後のスペースがソファの前に確保できると考えたのです。
さらには、2m10㎝のベッドを置いて、ベッドの足元に奥行き45㎝のチェストを設置しても、ベッドとチェストの間の通路が50㎝ほど確保できると考えたのです。

家具の寸法が頭の中に入っているため、間取り図を見るだけでこの物件をリノベーションしたらどうなるか?購入前にイメージすることができるのです。

そしてダイニング空間は元々11.1帖もあるLD空間なので、そのスペースをダイニングのみで使用するには広過ぎます。そこで考えたのがキッズスペースとダイニングスペースの2つのスペースで11.1帖を使用することです。

ダイニングテーブルをキッチンカウンターに近づけ、ダイニングテーブルとデスク収納スペースの間を広く空けました!

そのスペースを活用してお子さんがプラレールやたくさんのおもちゃで遊ぶことが出来るフリースペースを設けました。実は・・・先ほど紹介したダイニングテーブルとキッチンカウンターの写真にはある施工跡があります。

それは・・・

キッチンカウンターを可能な限り縮めているのです。少しでもダイニングスペースを広くするためキッチンカウンターを切断、短くしたのです・・・
さらに・・・

このキッチンカウンターの側面に収納スペースを取り付け、また、インターフォンの上のスペースにも収納ボックスを追加したのです!

カウンターは壁の中が空洞になっていたので、そこへBOX、家具をはめ込み収納スペースを増やし、インターフォンの位置を変えて、キッチンの壁も少し削ることで、少しでも開放的なキッチンスペースとなるよう施工したのです!キッチンはコンロ部分が少し前に取り換えてあったので、そのまま使用することとしましたが、家具屋ならではの発想で、キッチン扉のみ作り変える提案をしました!その結果・・・まずビフォワーが

上の写真となります。アフターの写真が下の写真です。

扉が変わるだけでずいぶん異なる印象となりますよね!

もう一度、ダイニングスペースの話に戻します。

今回のダイニングスペースの上には照明のダクトレールを取り付けました。なぜ、そんなものを取り付けたかというと・・・

今回はテレビボードの横のスペースに作り付けの家具ではなく、置き家具でデスクと収納家具を提案しました!なぜ、壁に家具を固定しなかったかというと・・・お子さんが後々にピアノを習いたいと言ってきた場合に対応できるようにしようと考えたからです。

グレーの吊戸棚のみは壁に固定してますが、その下のデスク&収納家具は壁に固定していないので・・・

キッチンカウンター側の壁に動かすことが出来ます!その場合、ダイニングテーブルの位置をキッチンカウンターから少し離さなければならないため、そうです!ダイニングテーブル上に照明のダクトレールを取り付けたのです。ダイニングテーブルの位置を動かしても、照明の位置も動かすことができるように事前に考えて設計しました。こんな発想があれば、キッチンカウンター下の壁にデスクカウンターを固定したり、ダイニングスペースの壁にデスクカウンターを取り付けるという考え方に至らないのです。

こんな考え方こそ『きっと家具から始まる家づくり』となるのです!

家具や収納スペース、デスクカウンターなどを安易に壁に固定するのではなく、20年、30年とその家に住むことを考えれば、フレキシブルに変化に対応できる家具の計画を立てるべきと考えます。住宅会社にそそのかされて、安易に作り付けの家具を壁に固定するのは気を付けて下さい!

最後に、水回りのスペースに家具屋ならではの追加工事、こちらは作り付けとなりますが、工夫して取り付けた事例をご紹介します!

水回りの収納追加工事その①

もともとタオル掛けがあったスペースに下着やタオル入れの収納を取り付けました!

引き戸の納まりも考え、一部の壁を新たにつくり取り付けました!

水回りの収納追加工事その②

洗濯機の上の空きスペースに開き扉の収納をとりつけました!

これらのようにその家に住むために少しでも必要な物はないか?と、家具屋が本気で考え、設計した中古マンションリノベーションはいかがでしたか?

今回チョイスした内装はホワイト色&グレージュ色をベースとした内装としました。その理由は今回ご紹介したようなナチュラル&ブラック色の家具との相性の良さを考え、

さらには、CGでこんなイメージも事前に考え・・・

ナチュラル&ブラック、ウォールナットブラウン&ブラック色のどちらのコーディネートでも合わせられるように内装の色を選びました。

家具屋が本気で家づくりをしたら・・・こんな住まいになりました。家具から考える家づくり、道具の寸法から壁の位置を決めたり、道具の配置からドアの位置を決めたり、インテリアのイメージから内装を選んだり、今まで取り組まれている家づくりとはまるで逆流するようなプロセスで考えることとなります。こんな家づくりはいかがでしょうか?
下のリンク先は2014年当時ホームページを制作した「Furniture+Renovation」=『Furnivation』(造語)ももしよければご覧ください!

きっと家具から始まる家づくり・・・家具屋が本気で考えた理想の住まいでした。参考にしてください。


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