終電まで遊ぶ勇気がなくて。
私は終電に乗ってみたい。
終電を気にかけなければいけないほど、友人との遊びに、会話に没頭したいし、ひとり旅で星空に夢中になっても良い。
とにかく「終電」という選択肢が自分の中に入り込んでくる非日常を体験してみたい。
多くの友人は、大学生時代に経験するようだけれど、私にはその勇気がなかった。
終電に乗って恋人のもとへ向かうとか、終電まで飲み明かすとか、そういったことを経験せずに20代も終わりに向かってしまった。
30代でできないことはないだろうけれど、確実に翌日に響くだろう。
やはり学生時代にそういった、ある種の青春を体験していないと、心にしこりが残る感覚がある。
だが、しかし私も一応は大人である。
夜中の3時に意味もなく地元を散歩して、気になった風景をスマホで撮ってみたり、コンビニに行って、好きな惣菜を買ってきたり。
そのような小さな青春で、空いた穴を埋めている。
一時期私は夜中の散歩にハマっており、ひっそりと家の扉を開けて、ポテチを買って帰ってきてはそれを食べてYouTubeを垂れ流すような怠惰。
贅沢な怠惰、ここに極まれり。
そういった贅沢で、終電への憧れと帳尻を合わせているのだ。
しかしそれでも「終電」という響きに惹かれるものがある。
近いうちに渋谷あたりでゆったりと過ごして、わざと終電を逃してみようかしら。
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