【読書感想】『一神教と帝国』~知っているようで知らない、イスラームの世界~




 マンガやアニメは、いまや日本が世界に誇るコンテンツであることは、周知の通りだろう。つい先日も、漫画家の鳥山明氏の訃報が、海外のメディアで大きく取り上げられていた。フランスでは出版物の三分の一が日本の「マンガ」となっているという話も聞く。

 そんなアニメ・マンガの人気は、実は西洋に限った話ではない。トルコをはじめとした、イスラーム文明圏の国々でも、アニメ・マンガは大人気なのだ。そんな話題から始まり、アラブを中心とした文明論へと発展していく本書『一神教と帝国』は、イスラームという文化を知るきっかけになる、好著だ。

 著者の一人の山本直輝氏が、トルコが専門ということもあり、内容の半分くらいはトルコについての話だが、それもまた中々興味尽きせぬ内容だ。

 筆者が個人的に印象的だったエピソードは、アラブのある世代は、フスハー(正則アラビア語)を、日本のアニメ『UFOロボ グレンダイザー』の吹き替えで学んでいる、という話であった。

 非常に堅いイメージのタイトルだが、対話形式で実に読みやすいので、気軽に読んで欲しい一冊だ。

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