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ヒマワリが放射性物質を吸収する?地球をクリーンにしてくれる生物

大気汚染、放射能汚染、金属汚染……。私たち人間は、自らの生活を便利にしていくにしたがって地球を汚染してきました。こうした汚染を除去する生物たちがいることはご存知でしょうか?

世界をクリーンにする生物たち

人類はさまざまな形で、自分たちが住む世界を汚染してきました。油や放射性廃棄物など、あらゆる手で土や水を汚してきたのです。
幸運なことに自然界のいくつかの生物は、これらの汚染の中で生き残るように進化してきました。さらに、これらの生物は私たちの生活から汚染物質そのものを除去してくれるかもしれないのです。

生物を使って有害物質を除去することを「バイオレメディエーション」と呼びます。安全で費用を抑えられるうえに、常時続けられる新たな手法も発見されています。

バイオレメディエーションでは、バクテリアの活躍ぶりがよく知られていますが、他にもいくつかの植物や動物もそうした能力を備えています。

それでは私たちの世界をクリーンにする可能性を持つ7つの生物を紹介しましょう。

菌類は油による汚染を防ぐ?

菌類を使ったバイオレメディエーションはとても有効で、この手法は「マイコリミディエーション」と呼ばれます。菌類は非常に早く成長する、有能な分解者です。糸状の菌糸のネットワークを使い、腐敗した木などの有機物や、石などの無機物に接触し、拡散していくのです。

菌類の本体となるのは、菌糸です。キノコはあくまでその一時的な生殖構造なのです。菌糸は土壌を掘り進む過程で、細胞外代謝物であるさまざまな化学物質を生み出します。このときに酵素や化合物が、毒性のものを含めた分子を消化吸収できるまで細かく砕いてしまうのです。

菌類の研究者たちは、異なる種によって生成される120種類以上の酵素を発見しています。1990年代に、ポール・スタメッツという菌類学者が、ペルオキシダーゼという酵素を持つヒラタケの菌株の研究を発展させました。この酵素は油汚染土壌にある炭化水素分子を分解するのです。

この発見は大事件です。なぜなら通常、油の汚染物質の分解には長い時間を要するからです。油による汚染は生態系にさまざまな毒性作用をもたらします。

ヒラタケなどの菌類は、アマゾンの熱帯雨林やニューヨークの河川の油汚染を除去する実験に活用されています。

次にピザを食べるときには、具のキノコは取り除かないほうがいいかもしれませんね(笑)。

放射性汚染物質を吸収するヒマワリ

ヒマワリが放射性汚染物質の吸収に強い力を発揮することがわかっています。通常、原子力災害が起きた場合、放射性同位体は土壌や水中で、有害な電離放射線を数十年に渡って放出し続けます。

一方、これら放射性分子のいくつかは、物理的にも科学的にも、カリウムやカルシウムなどの栄養素に類似しています。つまり植物が成長するときに、その根が必要な栄養素と一緒に放射性同位体も吸収してしまうのです。

吸収の働きに最適なのがヒマワリです。ヒマワリは成長が早く、多様な気候において生存できます。さらに、ヒマワリはその芽や茎に、放射性同位体を蓄積できるため、容易に地球の汚染処理ができるのです。

1986年にチェリノブイリで原子力事故が起きたとき、ある汚染処理の会社が、汚染された池にヒマワリの根を浸ける装置を建設しました。これらのヒマワリは「セシウム137」と「ストロンチウム90」を吸い上げました。この汚染処理法は、1,000ガロンごとの水に対して、わずかに2~6ドルほどの費用しかかからなかったのです。

ただし、(根の吸収を利用した)この処理法は、土壌においてはあまり効果的ではありません。なぜなら、ある種の放射性同位体は、土中の小さな空洞にとどまってしまい、抜き取るのが大変むずかしいからです。

それでもヒマワリが有用なことに変わりはありません。ヒマワリはオハイオの下水処理場や、テネシーにあるオークリッジ国立研究所の毒性の泉、さらに日本の福島でも汚染のクリーンアップに使われてきました。 

湖水のバクテリアを除去する二枚貝

二枚貝は、ちょうつがいの貝殻を持つ軟体動物で、ハマグリやカキ、ムール貝などがあります。これらの貝は、水中のプランクトンを餌にするため、周囲の水質を継続的に改善してくれます。貝はまた、生態系に悪影響となる除草剤や薬物、難燃剤などの化学物質、その他の沈殿物や藻類も除去します。

貝の免疫システムにとって、これらの汚染は悪条件となりますが、たいていのケースにおいて貝は生存できます。こういった特性がチェサピーク湾などでの天然カキの個体数の回復につながっています。

研究者たちは、二枚貝を除染の実験に使用しています。2014年の調査で、研究者たちはカリフォルニアのムール貝と、アジアのハマグリに着目しました。彼らはこれらの貝を、7つの汚染物質を添加した汚水で満たされた水槽に入れました。

72時間後、これらの貝は、汚染物質であるトリクロカルバンの80%を除去。その他の汚染物質もより少量ながら除去していたのです。トリクロカルバンは、抗菌性の化学物質で、ハンドソープなどに使用されます。水道の中に含まれたトリクロカルバンは、バクテリアを殺します。

しかし、突然変異を起こし生き残った微生物は、改めて繁殖し、トリクロカルバンやその他の抗菌性物質に対しての耐性を強化します。これによって病気が引き起こされるのは、私たちにとって問題ですよね。

また、トリクロカルバンは、生物のホルモンにも影響を与えます。同じ研究グループが二枚貝を使い、大腸菌で汚染されたサンフランシスコの湖で実験を行いました。大腸菌は種によって病を引き起こします。

研究者たちは、水槽に湖の汚染された水を投入したのち、水質の変化を調べました。すると、ムール貝が湖水のバクテリアを除去していたことが判明しました。とくに弊害もなく、バクテリアを分解していたのです。

世界は生きている

科学者がさらに努力して研究を続ければ、植物や動物、キノコ、微生物によって、あらゆる有毒廃棄物に対処できるようになるかもしれないのです。生物の適応は、我々の想像を超えるものですから。

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