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さわさわるんるん。

 眉毛をさわさわ撫でられる感覚に、ウフフと笑いながら、懐かしい話し声も蘇った。

 「めんどくさいからって、剃ってはダメだよ、生えてこなくなっちゃうから」

 「眉山は急カーブよりなだらかに、毛抜きの使い過ぎも注意して」

 「流行りより、自分の顔とのバランスを良く見極めるんだよ」

 若い頃に住んでた中目黒のあの部屋に戻って、ニコニコと笑いながら、懐かしいその人を頬杖つきながら眺めていた。山手通りのざわつきも遠くから響く。

 「ねえ、聞いているの?」

 目覚めたのは、オンライン授業が終わった娘が様子を見に来たタイミングだった。

 あー夢だったか。しかも、昼間に。

 午後のおやつの時間の為の準備も、寝ぼけていながら、なぜか、心地良い幸福感にルンルン。コーヒーミルを持つ手だって、勢いよく作業する。チカラが漲る瞬間は、生きる活力を支えてくれる。

 人生には、たまに、こんなご褒美みたいな夢の続きがあるから、歩くことはやめられない。

 もう自分で、眉毛も整えてしまうからね。丁寧にアドバイスを受けたように、もう何十年も。その作業の過程に、その人の息吹が存在して流れている。やっぱり、記憶とは夢に繋がっていて、さらに循環している。そんな午後。眉毛って、顔の印象を決定するから大切なんだよね。

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