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読書感想文-深澤直人著「ふつう」

さかなです🐠

実はまだ半分くらいまでしか読んでいませんが、深澤直人さんの「ふつう」という本を読んだので感想文を書いてみたいと思います。

本書は、著者が「ふつう」と感じる物や事に対して、どういったものが「ふつう」であるのか、「ふつう」をデザインするということはどういうことなのか、ということを淡々と語っている本です。

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※冊子(d design travel)のコラムとして掲載されていたものを寄せ集めた本なのだそうで、1章が短くかなり読みやすいです。お値段 ¥3644
対象はプロダクトを中心にサービスや人、変わったところでいくと犬種についての話なども出てきます。

少しネタバレになってしまいますが、以下にどんな事が書いてあるのかをかいつまんで書いてみます。

 ふつうとは

最初の数ページには「ふつう」についての概念的な内容が書かれています

・「ふつう」とは、normalのこと。スペシャルの反意語
・「ふつう」とは日常に散らばった点を結んだ線の輪郭のことだ。誰もがきっとそう思っている、そう感じている、そう捉えている、という暗黙に共有する抽象の輪郭が「ふつう」の原理…「ふつうだったら、こうだよね」とか「これが普通でしょ」とか言うときのその「ふつう」の感覚。

ふむふむ‥
人はデザインにふつうを期待していないので、ふつうをデザインすると「何だ普通じゃん」と言われてしまう、と書かれていたところにはちょっとくすっとしてしまいました。

また、ふつうの良さは「ふつうがいい」と自覚したときに感じることだ とも書かれていました。

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昼間のすいた駅のホームに当たる日が温かいと感じたときや、朝家を出たときのピリっとした空気の感触など、日常の当たり前にすぎる出来事を良いと感じられる自覚こそが幸せなのかもしれない。

ふつうのデザインに遭遇したときの感覚 とは

そして個人的に特に気になったコラムがカッターの話。著者が「ふつう」なものを探している中で、ある時ステンレス製の細くてシンプルなカッターナイフを見つけ、それが「ふつう」だと思ったそうです。
しかし、その隣に置いてあった、昔から見慣れているベージュのプラスチックで覆われたNTカッターを見たときに「あ!こっちだ」と感じた ––– 永く使ってきた感触が蘇ってきた ––– のだそうです。

つまり、「すでに日常生活に永く浸透してきたもの、そのものとの心地いい関係が継承されているもののことを「ふつう」と感じる」と書かれています。

これを読んでさかなは、「ふつう」なデザインとは、日常に自然に溶け込み、人々の暮らしにそっと寄り添い永続的にあり続けるもの、と理解しました。

永続的に、というとこの頃ではもう耳にしないことのほうが多い「サステナビリティ」という言葉がありますが、このサステナビリティを意識したプロダクトやサービスを提供しようと考えたとき、「ふつう」という概念はどちらも長期的な視野を持つ、あるいは永続的な行いという観点で相性がよく、プロダクト・サービスをデザインするにあたって結構大きな役割を果たすのではないかと考えています。

というか、サスティナブルデザインてほぼイコール「ふつう」をデザインするってことなのかも?🤔

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愛される「ふつう」を考えてみた

更に、愛されるデザインってなんだろうということがふと気になり、以前少しばかり勉強した認知心理学とも紐付けて考えてみました。

「自分が所有していること」の認知の一つとして、自分のものと認知するために人は出来合いのものをカスタマイズして使う、そしてそこに愛着を持つという心理が働いたりするらしいです。
たとえば、カスタマイズしてオーダーできるスニーカーとか、携帯電話のデコとか。

「ふつう」のデザインとは人々の暮らしのそばに、自然にあるものということだけれども、それがさらに個人の所有物としての認識をもたせ、永く愛されるものになる、としたら、ある程度カスタマイズできる余白も持っているデザイン、ということになるのかもしれません。

ふつうの良さに「カスタマイズする」という思想を組み合わせて、果たして愛されるデザインと呼べるのかはあ定かではない…というかそもそもふつうの概念は隙だらけなのでカスタマイズし放題という気もするので「もしかしたら?」という勝手な妄想ですが、考えようとしてはこういう考え方もできるのかもしれません。

とにもかくにも、いろいろなことを考えさせる良書でした。

活字があまり得意でないので読みすすめるのにかなり時間をかけていますが、最後まで読み切りたいと思います。

🐠🐠🐠🐠🐠

サスティナビリティの下りはこちらにも同じようなことが書かれていましたので、以下も読んでみると良いかもしれません!
民藝もサステイナブルもロングライフデザインも、ひとことで言えば「ふつう」である

▼ 購入はこちら
ふつう (d BOOKS)

▼ 認知心理学についてはこちらの本を参考にしました
心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学


\さかなでした/
><((( ゚<
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