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ドナータ・ヴェンダース(写真家)による個展「KOMOREBI DREAMS」のクロージングイベント!田中泯×三宅純×高崎宅馬によるトークイベント開催!

この度、12 月 22 日(金)~1 月 20 日(土)の会期で開催された ドナータ・ヴェンダース(写真家)による個展「KOMOREBI DREAMS」のクロージングイベントが行われました。
映画『PERFECT DAYS』でも用いられた映像作品シリーズの成り立ち、そして同じく『PERFECT DAYS』をきっかけに生まれたヴィム・ヴェンダース監督の短編映画『Some Body Comes into the Light』について、 ダンサーの田中泯、音楽の三宅純を招きトークを行いました。
さらに、ドナータ・ヴェンダースとヴィム・ヴェンダースがリモートにて登場し、それぞれ思いを語りました。

田中泯の踊りが「強すぎる…!」 映画『PERFECT DAYS』本編から飛び出した短編映画の始まり

映画『PERFECT DAYS』の撮影日数は”16 日”だが、実際には最終日、17 日目にヴィ ム・ヴェンダースは田中泯の踊りを2時間強にわたり撮影していた。
監督自らの希望だったが、 いざ編集作業に入ると「あの映像がどこにも入らない。(田中泯の踊りが)強すぎる…」と、 田中泯の踊りの圧倒的存在感に感動しながらも、頭を抱えていたという。
その後、昨年5月のカンヌ国際映画祭の際にヴィム・ヴェンダースは高崎卓馬に「あの 17 日 目の映像を、短編映画にしたい。音楽は三宅純さんにお願いしたい。どうだろう?」と伝えた。
高崎は「この映像は、映画『PERFECT DAYS』本編とは違う形で、本作にとって一番大切なものを表現していると思う」という。

僕にとっては『PERFECT DAYS』とは切っても切り離せない状態でできた作品です。

田中泯は、「まだ、『PERFECT DAYS』の役柄から離れていない最後の日に撮ったもので、僕にとっては『PERFECT DAYS』とは切っても切り離せない状態でできた作品です。ただ、(これは)2 時間ほど踊っていた中の8分間なので、瞬間瞬間に対しての僕の責任はあ るけれど、前後関係はわかりません。完全に、ヴィムの編集の力で作品にしてください、と伝えました。そのとき、その環境での踊りと、(今 上映された)この作品とは、無縁ではないけれど“田中泯が踊った踊り”というよりも”ヴィムが編集して作ったもの”として観ていただくのがいちばん良いと思います。踊りと編集との間にはそのように、踊った人の表現の時間軸というものは全くありません」と述べ、
さらに撮影時にヴィムと交わしたやり取りについては、「こういう環境で日が当たって、木漏れ日があるということを言われただけで、特に何も指示はなかったです」と、その時の踊りがその環境から発せられたものだったことを明かした。

普段はあまり言わないのですが『この映画の音楽をやりたいです』と伝えていたんです。

三宅純は実は『PERFECT DAYS』へ、音楽の担当を申し出たことがあるという。 「普段はあまり言わないのですが『この映画の音楽をやりたいです』と伝えていたんです。
そのまま機会がなかったのですが、カンヌ国際映画祭で役所さんが受賞されたあとに、高崎さんと ヴィムから”『音楽をやってみないか”というお話がありました。できればオリジナルをつくれたらいいなとは思いつつ、「こんなのもありますよ」と僕のソロアルバムの中からほかの曲をいくつかプレゼンしたところ、(泯さんの)映像をもとに自然発生的に選曲してくださったものになりました。
(曲を作ったときに)いろいろと渦巻いていた意図とは全く違うところで曲が選ばれ、それを映像のトーンに合わせて、リミックスする形になりました。もともとは 2005 年パリに拠点を移してすぐ、最初に依頼された、当時のワールドカップのコンピレーションアルバムのものですが、それは未知の敵にたいする恐れとか、もしくはその未知の敵へを威勢の対象につくったもので、聴き返して泯さんの踊りにあててみると、朗読と歌をうたっているところの声が若すぎるなと思って、全部録りなおしました。
もう 20 年近く経過しているので…結果的に、木漏れ日のトーンに合ったかなと思っています。

「“KOMOREBI DREAMS”が人生を変えた」 パリからリモートでドナータ&ヴィムが登場! ドナータは空港へ移動するタクシー、ヴィムはパリのホテルから

ヴィム・ヴェンダースとそろってリモート参戦を予定していたドナータ・ヴェンダースは急遽予定変更により移動中のタクシーからの参加となった。
このような素敵な展示が実現し本当にありがたく思っています。普段スチールのフォトグラファーとして活動しているのですが、このようにヴィムの映画の本編にかかわる形でコラボレーションできたのは初めてで、今回日本のみなさんとだからこそ実現が出来たと思います」とこの度の展示の実現と、映画への参加についての特別な思いを改めて語った。
撮影中に印象深かったことについては、「撮影の 16 日の間で晴れていた日がたった4日しかなかったことで、その間にできるだけの木漏れ日を探さなくてはならないということは大変でした。
木漏れ日というもの自体はいつでもどこにでもありますが、探し出そうとしないと見つからないという、すごく特別な存在ではあるので、今回この木漏れ 日を探し出す、という行為を毎日繰り返していくなかで、いろいろなものが見えてきて、私の人生が変わっていったと感じています」
とコメント。

私と(高崎)卓馬は夢の開発者で、ドナータとサンドラ(アシスタントで参加していた)は夢をどんどん作り上げる工場のようでした。

ヴィム・ヴェンダースからは、「僕にとって、ドナータのこの”KOMOREBI DREAMS”はクリスマスプレゼントのように思っています。
12 月に(高崎)卓馬と一緒に脚本を書き始めて、その際にも平山の夢のことは書いていましたが、本編の撮影の時には完全に抜けてしまっていました。でもドナータが知らないところで準備や撮影を進めてくれていて、映画本編の編集をいざ始めようと思ったときにこの”KOMOREBI DREAMS”の映像を初めて見た。
ドナータからとてもたくさんのプレゼントを受け取っているような気持ちになりました。私と(高崎)卓馬は夢の開発者で、ドナータとサンドラ(アシスタントで参加していた)は夢をどんどん作り上げる工場のようでした」と、 本映像が『PERFECT DAYS』にも欠かすことのできない存在であることを感じさせる一言が。
ドナータ・ヴェンダースが撮影した”KOMOREBI DREAMS”は映画『PERFECT DAYS』本編内で平山の夢として一部登場する。

『PERFECT DAYS』は現在絶賛上映中!
PERFECT DAYS 公式サイト (perfectdays-movie.jp)



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