「問題解決」と「パターン」の構造
今回は「パターンランゲージ」を構成する個々の「パターン」の構造を解説します。
まず、その前に「問題解決」とは何かを説明する際、よく見かけるフレームを見てみましょう。
「あるべき姿」と「現状」と「ギャップ」
この部分は「ギャップ分析」のフレームワークです。
ある目的に対しての「あるべき姿」と「現状」とを比較し、その「ギャップ」を把握するというものです。
「問題解決」全体のうち「問題発見」を行うためのものです。
ここで一点気を付けなくてはならないのは、ギャップ「=」問題ではなく、ギャップ「≒」問題であることです。
「問題」
「ギャップ分析」で明らかになった「ギャップ」から真の原因を特定します。
手段としては「なぜなぜ分析」等が有名ですね。
※個人的に心がけているのは、「それは本当に問題なのか?」を問い続けること。そのために「問題発見の4P」(問題発見プロフェッショナル [齋藤嘉則 2001])で問題に対する視点を変えることとです。
「解決」
「問題」を解決・解消するための手段です。
では、続いて「パターン」の構造を見てみましょう。
「パターン」は「状況」「問題」「解決」の三つの項目から成っています。
実際には、これ以外に「パターン名」や「フォース」(問題の解決に影響を及ぼす要素)と言ったものがあります。
ここで1つ事例を紹介し、「問題解決」と「パターン」の構造を比較していきたいと思います。
事例
私が実際に改善した「ふりかえり」の事例です。
状況としては、このようなものでした。
・所属部門に対して、上長から「ふりかえりを実施し、プロジェクトの質を向上させること」という指示が出ていた。
・所属するプロジェクトチームは、四半期に一回程度、KPTによるふりかえりを実施していた。
・一回のふりかえりで挙げられたProblemは数件で、Tryも上がるものの改善にはつながっていなかった。
⇒「ふりかえり」が完全に形骸化していた。
では、まずはギャップ分析から。
●「現状」
・KPTによるふりかえりを開催。
・開催は四半期に一回程度で、業務の繁忙によってはやらないこともある。
・発言は少なく、一回のふりかえりで数件しか発言がない。
●「あるべき姿」
・定期的に確実にふりかえりを開催すること。
・活発な話し合いが行われること。
●「ギャップ」
・「ふりかえり」の開催が不定期で不確実である。
・活発な話し合いができていない。
続いて「ギャップ」の原因追究をして「問題」を設定するわけですが、詳細は省略し、一旦途中経過を…
・日常の業務優先で「ふりかえり」は後回し。
・開催の間隔が空くと、思い出すのが難しい。
更にこれらがなぜ解決できていないのかを検討し…
●「問題」
・「ふりかえり」が重要な業務であることが認識されていない。また、開催の間隔が空いているため、「ふりかえり」が形骸化している。
そして、「問題」に対する手段を検討します。
●「解決」
・「ふりかえり」を日々の業務より優先順位を上げ、開催のサイクルを一カ月を目安に予定を決め、定期的な「ふりかえり」を確実に実施する。
以上を図にすると以下のようになります。
では、これを「パターン形式」にまとめてみます。
※ちなみに以下の図のパターンには「こまめなふりかえり」と言うパターン名が付いています。
「留意点」や「結果」という項目を追加していますが、大体同じことが「パターン形式」でも網羅できているかと思います。
以下の図にまとめました。
このように、「パターン」は「問題解決」を記述する形式として使えると言うことです。
違う言い方をすると、「パターン」は「ある問題を解決したノウハウ」を記述できる形式と言うことでもあります。
最後に
今回は以上ですが、ご意見、ご質問など、コメントいただけると幸いです。
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