起業して約5年で株式譲渡するまでを一気に振り返ってみました

このnoteは、2013年10月にBizer株式会社(当時は株式会社ビズグラウンドだった)という会社を起業して、いわゆるスタートアップ的に資本政策も少しやって、約5年後の2019年1月に上場企業に株式譲渡した代表取締役の畠山がそれらを振り返ってみたものです。
(なので、別にすごく面白いとか、役に立つとか、そういうものではないです)
(あと、気が向いた時に書き足していったので、ところどころ話のトーンが違うかもしれないです)
(気づいたら8,000文字くらいになっており、読むの大変だと思うので頑張っては読まないでください)

起業

私の起業のきっかけは、もしかしたらそんなにないケースかもしれない。
夢とかビジョンとか世界を変えたいとか、そういう熱いものはそんなになかったです。。。
(こう言い切ると誤解があるかもしれないけど、起業してからサービスを考えたりユーザーがついたりしていく中でビジョンができていったので、起業したときは本当に明確なものはなかったと思います)

12年くらいサラリーマンをやっていて、次に何をするか決めずに辞めることだけを決めたタイミングで、知人からVCの人を紹介されてお会いしたのがそもそものきっかけ。
(その知人である佐野さんは、その後起業されてメタップスにバイアウト)

2013年7月23日(火)のお昼に紹介者とVCの人と3人でランチをしたのが一番最初で。それからほどなくして「B2Bの業務効率化をテーマに何かやってみよう」ということで起業することになっていたのです。

B2Bのプラットフォームのようなものを作りたいと思っていたので、会社名も株式会社ビズグラウンド(BizGround)としたのだった(異様に懐かしい)。

と、まぁこんな感じだったと記憶しているので、何か明確なビジョンがあったわけでも、世の中にある課題をズバッと解決しようとしたわけでも(漠然とはあった)、大金持ちになろうと思ったわけでもなく、なんとなく(と言ったらとても失礼なのだが)B2Bの領域で起業してみた、というのが正直なところだと思う。

ただ、今思えばこのVCの方、インキュベイトファンドの和田さんですが、本当に感謝しています。

資本政策については、実際自分は情報弱者だったので今だったらもっと違ったやり方を考えるかもしれない(そもそもエクイティだけじゃなくてデットをうまく使うなど)けど、少なくとも当時の自分によくいきなりポンと出資してくれたものだなぁ、と。

ビジョンも事業計画も会社も人もお金も、何もない状態だったので。。。
(すごく漠然とB2Bで、業務効率の領域というのだけはあったけど)
和田さんが起業のトリガーを引いてくれたということになりますね。

先日のIVS Lounch Pad を動画で見ましたが、5年前とは全然違いますね。
当時のシードはまだまだアイディアレベルだったり、プロダクトはベータ版だったり、ユーザーがやっとつき始めたくらいのピッチもあったかと思います。でも今はもうプロダクトもかなりできてて、ユーザーも売上もきちんと作れているところが多い印象でした。

今は調達環境が良いと言われているけど、5年前の自分だったらまず資金調達なんてできてないと思うのですよね。
和田さんに本当に感謝しています。

と同時に、VCから資金調達するということをきちんと理解できていなかったのも事実で、IPOに向けて事業を拡大していこうという計画を本気で詰めてコミットしていたのかどうか。。。
すみません、激甘でしたmm

初めてのサービスローンチ

初めて「Bizer」というサービスをローンチしたのが2014年5月12日。
サービスのコンセプトや解決すべきユーザーの課題は、起業したばかりの自分をターゲットにして自分や自分と同じような状況の起業家が欲しいものを作ることになった。

さて、コンセプトだけでとにかく起業してサービスを作ろとしてみたのはいいものの、クラウドツール(当時はSaaSとは言っていなかったと思う)を作ろとしているのにエンジニアもデザイナーもいないわけですよね。

いきなり採用メディアで、というのもできなそうで、知り合いに紹介してもらった人に開発をお願いしたなぁ。

一番最初は大手IT企業を新卒入社して数年で辞めてフリーで独立した人にお願いして動くものを作ってもらい、そこから業務委託でやってくれるエンジニアさん、デザイナーさんにお願いして作ってもらっていました。

今思えば、内製できない組織でまぁ大変だった。。。

そして、私自身のスキルとしても、ゼロからサービスを作った経験ってないのですよね。会社員だった頃に色々な事業に関わってきたけど、本当にゼロから作った経験ってない。本当にゼロからイチを経験した人ってそんなには多くないのだろうなぁ。

全然スキルが足りないので、本当に多くの人に助けてもらった時期でした。

以前の同僚や知り合いに平日の朝や夜、土曜日の午前なんかに時間をもらって手伝ってもらっていました。
当時は楽しくやっていたけど、今思えばあれはなかなか辛いな。

そんな中でサービスをローンチしたときは、やっぱり感慨深かった(と思うんだけど、すごく鮮明に覚えているわけでもなかったりする)。

Facebookで告知して、少しずつ人づてに広がっていったのでした。

たまたまNewsPickでもPICKされて、多くの人の目に触れることができたのだった。

ピッチイベントへの出場

このサービスをローンチして数ヶ月は、本当に多くのイベントでピッチをさせてもらった。

一番最初は「八子クラウド」(Bizer teamの初ピッチも八子クラだった!)、それから「モーニングピッチ」、そして初めて大きな規模でピッチさせてもらったのが「TechCrunchスタートアップバトル 2014」、次に「IVS Launch Pad 2014 Fall Kyoto」。

そうだ、この頃は士業への相談サービスがメインだったため、着物を着ていましたね。士業はサムライ業とも言われるので、それにかけて着物を。
さらに撫松庵さんにデニムの着物があったので、毎日デニム着物を着ていました。
(保育園の送りもデニム着物だったので、園児には人気でしたが娘は嫌がっていた。。。)

このデニム着物、ご縁あって撫松庵さんのテレビショッピングに出演したり、NHK岡山のデニム特集で取材されたり、こういうのってどこでどう発展していくか分からないですね。
キャンピングカーで仕事をするスタイルも、いくつかのwebメディアで取材してもらい、これまたNHKの首都圏ネットワークで放送されたりして、人生面白いものですな。

ピッチの話が着物やキャンピングカーになってしまいましたが、ピッチイベントというのは全く未知の世界だったので新鮮でした。
イベントのたびにかなり多くの方と名刺交換させてもらって、それをきっかけに仕事になったりと色々な出会いの場だったと思います。

あと、このピッチイベントに合わせて機能開発を集中的にやったりと、チームの一体感を出すためのイベントとしてもすごく活用できるものなんだと思いました。
(全然入賞できなくて後日オフィスに戻ったら詰められたんだった…)

色々なイベントに出させてもらいましたが、イベント運営のみなさんにすごくお世話になりました。ありがとうございました。

積極的な採用で組織拡大

2014年末に大きめのイベントに出たことで、色々なPR効果もあって利用ユーザー数をグンと伸ばすことができた。

このあたりから少しずつ採用活動も力を入れて、ポツポツとメンバーが増えていった。神保町にある1LDKのマンションだったけど、窓の外の景色が抜けていてなかなか快適だったように思う。
そこにIKEAのテーブルとアーロンチェア(エンジニアはアーロンチェアがあれば採用できるという都市伝説を信じて中古を購入)を並べて、自宅のソファを持ち込んで打ち合わせスペースを作って来客時の対応に使っていた。
(写真はエンジニアがオフィスで麻婆豆腐を作ってくれたときのもの)

2015年10月にはSalesforce Venturesさんから投資していただき、採用もマーケティングも色々なことを試した時期でした。
今でこそB2B SaaSのノウハウ的なものが色々なところに溢れているけど、当時はそこまで体系化されたものが出ておらず、SFV浅田さんは生きるB2B SaaSみたいな存在で、闘魂注入も含めて熱心に関わってくださった。
(とにかくユーザー数を伸ばすために可能性のあることはやってみようと「都営地下鉄のつり革広告」をやって大失敗したのは良い思い出です。。。)

この時期は多くないとはいえ新規ユーザーが一定数入ってきて、これからどうやってもっと大きくしていくかを試行錯誤していた時期だったと思う。

事業の伸びと組織の課題

2016年のあたりは、色々と大変だった。。。

よく起業家と話をしていると、だいたいが「人」の話になると思う。
まさにBizer社でもこの「人」や「組織」で課題が出てきたのがこのあたりの時期。

積極的に採用をして、従業員数が12人くらいになっていったのがこのあたり。
ただ、人数は倍になっても事業規模は倍になってないのですよな。。。

事業規模を伸ばすためにやりたいことはたくさんあるから、リソースを投下して色々なことをやるんですよね。
取り組む人数が増えるから、考える時間も増えるし打ち合わせの時間も増える。
で、分担していくから管理の時間も増えるし、報告の時間も増える。

こうやって忙しい感じがしてくるんだけど、いかんせん肝心の売上の方は投下時間に比例して伸びるわけじゃない。
投下したリソースの分、確実にあとでリターンが見込めているならともかく、このときは本当に打った施策がことごとく不発だったような記憶ばかり(中には成功したこともあっただろうけど、不発の記憶が多すぎる)。

こうなってくると、組織の課題がいたるところで目につき始めるのですよね。なんとなくぼやかしていた部分が顕著に見えてくる。
「売上は全てを癒す」という言葉を聞いたことがあるけど、そうなのかもしれない。

ビジョンを決めようとか、コミュニケーションを取るためのピザパーティをやろうとか、夜遅くまでたくさん働こうとか(笑)、改善のために色々なことをやったんだけど、まぁこれらがとことん的外れだった。

本当に会社というか組織というのは不思議なもので、たかだか12人くらいでも一致団結するのが難しく、バラバラになってパフォーマンスが全然上がらなくなるのですよね。
トップの問題だろ、と言われればまぁそうなのですが、どうにも打開することができなかった時期です。

結果として、1人、また1人と抜けていくことになったのがこのときでしたね。
「人」の問題というのは一番ダメージがあるので、疲れました。

新機能の開発

このとき提供していたサービスは、ベンチャー向けのバックオフィス支援サービスの「Bizer」だけでしたが、その中でもすごくマニアックな機能である「バインダー」を開発、リリースしたのが2017年3月。

「バインダー」を提供しようと考えたのは、改めて特定のターゲットに対してピンポイントに課題解決できるものを作ろうとしたから。
資金調達しているスタートアップが3,000-5,000社くらいだと考えて、そこで発生する株主管理や株主総会に関する文書自動生成や文書管理をやることになった。

ターゲットも機能も絞り込んでいたこともあり、このときの開発はすごくうまくいっていたように思う。
ちょうど組織を一旦リセットして、残ったメンバーでオフィスも変えて心機一転して取り組んだのもこのとき。

結果的にこの機能だけで起死回生とはいかなかったけど、開発チームやこのときのクライアントさんとの出会いなどが、結果的には「Bizer team」を誕生させたし、Bizer社の運命を変えることになったと思う。

新サービスの開発

ここまで、ターゲットをベンチャー企業やスタートアップにしてやってきたわけだけど、やっぱりバックオフィスへの関心度や企業のステージからも難しいことが盛りだくさんだった。

そこで、思い切って「Bizer 」とは別のサービスの検討を開始。ターゲットを数十名から数百名として、今までの「Bizer」でやれなかったことを実現してみようということになった。

「Bizer」での経験からバックオフィス業務のことはかなり理解できていたし、「バインダー」の開発でチームも良かった。

2017年夏くらいからあらゆる企業規模のバックオフィスの人にヒアリングをさせてもらったのがまた良かった。平日の夜、土曜日の午前を使って数名の方にオフィスに来てもらい、バックオフィス業務での課題をディスカッションしてもらう。最終的には100社の方に話を聞けて、その中でも必ずと言っていいほど出てくる共通の課題を特定することができた。

ここからは迷いもなく一気に新しいサービスを作り上げるために全員で取り組めたと思う。
「Bizer」が足元の売上を作ってくれていたので、それを安定稼働させてくれるメンバーもいたし、新しいサービスの設計をするもの、デザインするもの、開発するもの、今のBizer社のメンバーなんだけど、ここに来て今までで一番いいチームになったと思う。

あ、社長の私は明確な役割がなくなってしまい、その代わりどんどん外に出ることができたので、ヒアリングやらリリース前の先行営業やら資金調達やら、実はM&Aの交渉(今回の株式譲渡ではなく、1年前にかなり具体的なところまで進んだけど最後の最後にブレイク)などを存分にやることができた。

新サービスの手応え

2017年11月20日、いよいよ「Bizer team」をリリースした。

その1ヶ月前に事前登録のリリースを出しており、正式リリースまでに100社以上の事前登録をしてもらうことができた。

とことんヒアリングをした結果と、これまで「Bizer」で蓄積した業務ノウハウ、これまでの苦労を乗り越えたチームで作ったサービスだったので、正直それなりに自信があった。

そしていざマーケットに出してみたら、すごい手応えがあるではないか!!

Bizerのユーザーさん、前職での同僚、友人の会社、PTAバスケのチームメイトの会社など、とにかく個人的なご縁をフル活用しての営業だったけど、みなさん反応が良かった。

このリリースしたばかりの機能は、今思えばよくみなさん使ってくれていたと思うくらい(よく言えば)シンプルなものだったけど、そこから機能開発を繰り返して、半年後にはほぼ全営業日で何かしらの本番リリースをするくらいのアップデートをして着々と進化していった。

2018年の夏くらいには、これはいけるな!という確実な手応えを感じていたと思う。

新たなパートナーの検討

2018年の夏、ここでBizer社の運命を変える出会いとして、パーソル プロセス&テクノロジー社との出会いがあった。

業務コンサルティングやRPA導入支援をするパーソルP&T社と「Bizer team」はきっと相性が良いだろうということで、現場の方にプレゼンをさせてもらった。

そこからパーソルP&Tの現場の方が「Bizer team」について分析してくれて、他のツールとの比較などドキュメントにまとめてくれた。
が、これは「Bizer team」側のマーケティングの問題が大いにあったのだけど、サービスの思想が全然伝わってなくてこれはやばいな、と焦ったのを覚えている(Bizer teamがダメダメに評価されたアウトプットだった)。

そんな状況だったけど、パーソルP&TのワークススイッチコンサルティングのTOPの小野さんに直接プレゼンさせてもらう機会を作ってもらえて、そこから一気に物事が進んだ。

サービスのデモを見た小野さんが、これはイケると思ってくれて、そこからはどうやって一緒にやれるかを考えてグイグイ進めてくれた。
パーソル社の関係者のみなさんがすごく協力してくれて、ありがたかった。

プレスリリースのコメントにもあるが、とにかく「Bizer team」は使うお客様の業務改善を実現したいと考えているんだけど、お客様側に業務改善までできる担当の方がいない場合には、ツールの限界を感じていて。
そこをパーソルP&T社がカバーしてくれる、というかカバーどころか最大限に活用してくれると確信できてからこそ、私自身も絶対にここと一緒にやりたいと思った。

株式譲渡に向けて

小野さんを中心に関係者のみなさんがM&Aに向けて動いてくれたが、パーソルホールディングスは全体で3万人もいる大企業、そう簡単に意思決定ができるわけでもなく。

ホールディングスの経営会議で議題にあげてもらい、そこでいくつか宿題をもらったとのこと。

その1つが、1ヶ月くらい試しに「Bizer team」を売ってみて、どれくらい売れるのか検証するというもの。目標件数も具体的に設定されて、ある日突然ワークススイッチコンサルティングの現場の人が集められて「Bizer team」を売るぞ!というキックオフが開催された。

これは正直どうなるか不安だったけど、結果的には目標件数を見事達成。

12月の経営会議では最後の最後までどうなるか分からないとだけ言われていて、もうBizer社でやれることは全てやり切った状態だったから待つのみだった。
最終的には無事に承認を得ることができて、今回の株式譲渡が成立した。
(実際に経営会議に参加しているわけではないので、そこでの温度感とかどんな議論がされたのかなどは全然知りません)

この数ヶ月は、常にどうなるか分からない状態ではあったものの、今思えばここまできっちり検討してもらって、お試し期間まで作ってもらって現場を動かしてもらって、良かったと思っている。

株式譲渡してからの立ち上がりがスムーズだし、すごく大きな期待を感じるし、Bizer社のことやメンバーをすごく尊重してくれているのも感じるし、本当にパーソルP&T社と一緒にやれるのがベストな選択肢だったと断言できる。

最後に

気の向いた時に振り返りながらちょっとずつ書き足していたらなかなかの長文になってしまったのだけど、本当に全て「感謝」だな、と。

資金面ではVC以外にもエンジェル投資をして窮地を救ってくれた人がいて、本当にありがとうございました。

そして色々と大変だった組織を乗り越えて今も一緒にやってくれているメンバーにも本当に感謝。私以外の誰が欠けても本当に困る、本当にみんな高いスキルを持ったメンバーだなぁと思う。
(DDのときにキーマンを聞かれて、「私以外がキーマンです」と真面目に答えてしまった)

もちろん、サービスを使ってくれている全てのユーザーさんにも感謝。

そして起業してから5,000人くらいの人と名刺交換していて、本当に多くの出会いがあったのですが、どの出会いがどう影響しているか全く分からないけど、結局は全ての出会いの結果が今なので、出会った全ての人に感謝です。

あと、自由に起業家ライフを送らせてくれた家族にも感謝です。


改めて振り返ってみると、ゼロからサービスを作った経験のない自分が、よくもまぁ起業してサービスを作ってバイアウトまでしたものだなぁと驚いています。
怖いもの知らずというのは、こういうことを言うのですな。
でも、本当に起業したての頃はアドレナリンが出ていたのか、あらゆるものが新鮮で刺激的で、楽しかった。
途中で大変なこともたくさんあったけど、今回の株式譲渡がひとまずの区切りになりました。


と、まるで全て終わったかのような感じになってしまったけど、あくまで株式譲渡までを振り返っただけなので、ここからまた違うステージできっちり頑張ります!!

また何かの区切りができたら書こう。

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Bizer team 畠山

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