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【日記】枕歩/2023年1月30日(月)

 冬は布団に入って寝ているときがいちばんあったかい。自分の体温のありがたみを思い、「ああ、オレ生きてるんだな」って実感する。これは毎朝起きたときに常に感じることで、「ああ、今日も起きれた。生きているんだ。友だちなんだ」って、例の童謡を同時に口ずさんでしまいそう。近々お花畑でフラフラと蝶々を追いかける勢いだ。
 この年齢にもなると、どうしても「死」を意識しないわけにはいかず、それは年々色濃くなっている。「死」とは、夢も見ない、熟睡状態と一緒なのではないかと空想してみたりもする。完全なる「無」。
 眠ったままそれを迎えられたらこんなに自然でありがたいことはない。でも、今そうなってしまうと完璧に「孤独死」だ。発見までに時間もかかり、「なんだよ。死ぬ時までこんな迷惑かけやがって」と罵られること必至。それにまだまだやりたいことはたくさんあるから、もうちょっと時間をほしい。つか、粘る。

 ようやく遅すぎるスイッチを入れた。けど、部屋が寒すぎて頭も体も心もまったく機能せず、午前中の4時間でわずか8行しか書けなかった。恐るべき牛歩。でも、最初の1行を書ければこっちのもんだ。

「空腹だから余計に寒い」という“逃げの一手”(現実逃避)を使い、昨日確保しておいた味噌鍋の汁を使ってうどんを茹でた。ネギや豚肉の残りかすがいい具合にアクセントになって美味かった。翌日のことまで考えて行動できるなんてオレ進歩。

 うどんを啜りながら昨日録画しておいたNHKBS『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』を観る。毎度録画保存しているほど好きな番組だが、谷繫元信&浅尾拓也、最強ドラゴンズを支えたコンビの出演ということで、いつも以上に気分は高揚していた。
 今回のテーマは「パームボール」。小山正明、大野豊、かつての大エース両名の話は実に素晴らしく、「ボクシングに繋がる」と思った。
 小山さんは、科学が発達していないあの時代に、感覚でつかんだという経験。銀行員からの異色の転身だった大野さんは、「苦労して投げた変化球はない」と言い、「札勘のおかげで手首が柔らかくなったから」と真剣に答えていたこと。番組ではこれを軽く流したが、オレにとってはメインディッシュだ。興味のある人は2月6日(月)午後8時から再放送があるというのでぜひ。

 そんな刺激を受けたおかげで、食後のウトウトもなく、2時間くらいで書き上げた。短い原稿だったけど、出だしを思えばまあまあっしょ。でも、早く書き上げりゃいいってもんじゃないし、大御所はだいたい遅筆で有名だし。そもそもオレはスタートが遅いから論外なのだ。

 晩飯映画劇場はWOWOWでやっていた『チ・ン・ピ・ラ』(金子正次・脚本、川島透監督)。やっぱり80年代の作品って、おおらかで自由でよい。コンプライアンスもへったくれもなし。スポンサーに忖度することもないから商品なんてなんでも映しちゃうし、一般市民も撮り放題。ゲリラ撮影なんてざらで、それが妙な緊迫感を生んでるし。で、これは個人的なアレだけど、石田えり最高。この頃の浅野ゆう子とか、サルが服着てただけの中学生にはホントたまらんかった。ま、でもこりゃ今でもおんなじか。
 1度ついた勢いは止めらんない。DVDラックからR18作品『female』を引っ張り出してきた。2005年公開。5人の人気女性作家の小説を、5人の名だたる監督が撮ったもの。その中の塚本晋也監督『玉虫』(主演:石田えり)を観てしまう。松尾スズキ監督『夜の舌先』の高岡早紀、西川美和監督『女神のかかと』の大塚寧々もたまらんぞなもし。

 さて、スッキリしたところで明日リミットのもういっちょの構想を練る。明日も生きて起きてこの光景を見たい。ちなみに、目覚めの一歩を「枕歩(ちんぽ)」というらしい(ウソ。造語)。

 

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