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#4 棚主報23/9/24

いつのまにか、ブックマンションの棚主になって半年ほど経ちました。
棚を動機にして、なかなか読めていなかった本を読むようになったのは、とても嬉しい変化です。

約半年の棚主活動で、発見は色々ありますが、結構はっとしたのが、
「本屋さんは、まだ読んでない本を(も)仕入れて、売っているんだ」
ということ。
そういう当たり前のことも、半年前はあまり分かっていなかったのです。

先日、3回目のお店番をしました。
これまでは読んだ本を棚に置いていたのですが、せっかくのお店番だし色んな本があったほうがいいかな、と思い、「読んでない本」も持っていって置いてみました。

置いているから当たり前だけど、「読んでいない本」を手に取られる方がいたりして。
さらには「読んでいない本」を、棚に置いている棚主さんに話しかけられたりして。
ーす、すみません!こ、これは、全然。説明できない。
実際本を置いてみて、そういう当たり前のことに、はじめて気が付く。

帰り道に、そういえば「読んでいない本」についての本があったっけ、読もうかな、と思ったり(←いや、その時間で、自分のバッグに入ってるその「読んでいない本」を読みなよ。)。

この本が、棚主にとっての通過儀礼である可能性については、少し考えてみるとして、世の書店員さんは「読んでいない本」について聞かれたら、どういう風に語っているんでしょうか。


このところ、大きめの新刊書店閉店のニュースが、よく、タイムラインに流れてきます。
原因は、既存の図書館や古本屋でも、新興のシェア型書店でもおそらくなく、日本語はもちろん、言語が通じる相手でもないから、話し合いにも殴り合いにもならない、と思います。
インターネット、アマゾンのジェフ・べゾスではなくビジネスモデル、物流網、スマホ、タブレット、ネットフリックス、たくさんの娯楽、時間・お金に制約があること、人口減少、経済だけではない停滞、独特な商慣行、その他物理的に存在しない要因の数々。

実際のところ、棚主も、アマゾンで色んなものを買います。電子書籍も時々は読むし、この前は、新幹線の中で「ハンチバック」Audible版※を聴きました。
それでも、本屋さんのある生活を送りたいなと思ってしまう。うろつく時間が好きなのです。

案内し忘れるところでしたが、今のテーマは、「うすい本」です。
本屋さんをうろつきながら、出会った薄い文庫本を置いています。
いずれも薄いので携帯性抜群です。秋の行楽のお供に。
初めての作家さんを試してみたいとか、最近本読めてないな、という方、「うすい本」はいかがでしょう。



※「ハンチバック」は、遠くで、誰かが椅子に座っているのだけれど、手のスタイルが独特で、気になって近づいて見ると、今年の「芥川賞作家」にどことなく似た尼僧が、こちらを向いて、微笑みながら瞑想しており、肘掛けに両肘をついて、掌を上に向け、両手の親指、人差し指、薬指、小指の四本の指の腹を合わせて、蓮の蕾を表現していた、という感じの「痛」くて「快」い物語でした。
作家として生きることは物語を書くことで。生きるために壊れる身体は、破壊と新生の体現。形あるものから形なきものへ移り変わる新時代の大波に乗り、しぶとい活躍を。と、無知な傲慢さで思います。



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