Björn och Tiger

ビョルンオティガは「ともに読む」「もう少し先まで」をつくる、ちいさな書店です。📚吉祥寺…

Björn och Tiger

ビョルンオティガは「ともに読む」「もう少し先まで」をつくる、ちいさな書店です。📚吉祥寺ブックマンションNo.113棚主🐻Instagram: https://onl.bz/TW7zDPL

マガジン

  • 「ニシダ」の棚の本 期間24/3/31-

    テーマ「ニシダ」の中から、いくつかをご紹介

  • 棚主報

    棚主活動の報告など。

  • 「あつい本」の棚の本 期間23/12/29-

    テーマ「あつい本」の中から、いくつかをご紹介

  • 「よいとわるいと、AI」の棚の本 期間23/11/5-

    テーマ「よいとわるいと、AI」の中から、いくつかをご紹介。

  • 「うすい本」の棚の本 期間23/8/27-11/4

    テーマ「うすい本」の中から、いくつかをご紹介

最近の記事

「棚の本:人間の建設」記事の注

「棚の本:人間の建設」記事の注です。 ※岡によると、「人は自己中心に知情意し、感覚し、行為する。その自己中心的な広い意味の行為をしようとする本能を無明という」そうです(14頁)。 goo辞書だと、「仏語。邪見・俗念に妨げられて真理を悟ることができない無知。」 ※※トルストイは、82歳で侍医を伴い家出。駅長舎で亡くなったのだそう。終着駅の名は、アスターポヴォ駅。 ※※※ 獣類と違って「人の頭には本能や欲情に対する自動調節装置は全然ない」「その代わり意識して自主的にそういう

    • 棚の本:人間の建設

      文芸評論家小林秀雄と数学者岡潔の雑談です。 くまとら便り 2人の雑談は、昭和40年(1965年)10月の「新潮」に掲載されました(147頁)。 60年近く前ですね。 テーマは芸術、宗教、酒、数学、物理、幾何学、文学、哲学・・・と、極めて多岐にわたっています。 そういう意味で、確かに雑談なのですが、巻末には「注解」があります。 世の中には、脚注が必要な雑談があるんだな・・・と思いつつ、読書をスタート。 一番最初の脚注は「大文字」。 雑談当日は、京都の大文字焼きの日だっ

      • #6 棚主報24/3/31

        今回の棚のテーマは、「ニシダ」です。 ラランド・西田亘輝氏(以下、敬称を含み「ニシダ」といいます。)が気になったので、ニシダのおすすめ本を置いてみました。 やっと桜が開花しました。明日から新年度ですね。 昨年3月から棚主活動を開始したので、棚主は2年目の始動になります。 ララチューンを時々見ています。 ニシダを見ると、何となく田舎の父を思い出します。 父は、西田敏行にも似ていて、ニシダと西田敏行は親戚だろうかと考えたこともあります。 ムーミナスな雰囲気、あるいはヒッポポタ

        • 棚の本:亡き王女のためのパヴァーヌ

          韓国人作家のパク・ミンギュが描く、美と愛の相剋。 くまとら便り 『亡き王女のためのパヴァーヌ』は、最近実店舗を終えられた忘日舎で買わなかった本として、記憶に残っています。 読書会に出たいと思い立ち、直前にAmazonで注文したのですが、12月の忙しない時期で、ほとんど読むことができず、結局読書会には参加できませんでした。 2018年、クリスマス間近の時期に、韓国文学&男性作家による恋愛小説という、未踏のジャン(グ)ルの本が、手元に残ったのでした。 本書のタイトルの『

        「棚の本:人間の建設」記事の注

        マガジン

        • 「ニシダ」の棚の本 期間24/3/31-
          2本
        • 棚主報
          7本
        • 「あつい本」の棚の本 期間23/12/29-
          4本
        • 「よいとわるいと、AI」の棚の本 期間23/11/5-
          4本
        • 「うすい本」の棚の本 期間23/8/27-11/4
          5本
        • 「哲学してみる」の棚の本 期間23/6/3-8/27
          7本

        記事

          棚の本:水車小屋のネネ

          津村記久子さん、自身最長の長編小説。 谷崎潤一郎賞を受賞されました。 くまとら便り 津村記久子さんは、時々読んでいて、棚にも「この世にたやすい仕事はない」を置いたことがあります※。日経新聞(電子版)の連載小説でした。 「水車小屋のネネ」は、毎日新聞夕刊で連載されていました。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という帯の言葉が、じんわり染みるお話です。 タイトルについて書きたいと思います。 「ネネ」 まず、「ネネ」は鳥のヨウムです。 棚主は昔、台

          棚の本:水車小屋のネネ

          【運命からの逃亡は可能か】 源氏ウェイリー版(毬矢・森山訳)、1巻で知ってる名場面が出てきて、2巻どうなると思ったが杞憂でした。玉鬘が波瀾万丈すぎる。母夕顔の死で幼くして九州へ。豪族から船で逃げ、数多の誘いもかわし、入内決まった矢先… 人物像が朧げなまま亡くなった夕顔とは好対照。

          【運命からの逃亡は可能か】 源氏ウェイリー版(毬矢・森山訳)、1巻で知ってる名場面が出てきて、2巻どうなると思ったが杞憂でした。玉鬘が波瀾万丈すぎる。母夕顔の死で幼くして九州へ。豪族から船で逃げ、数多の誘いもかわし、入内決まった矢先… 人物像が朧げなまま亡くなった夕顔とは好対照。

          #5 棚主報 24/1/16

          天変地異の年明けとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 12月29日に、ブックマンション吉祥寺のお店番をしました。4回目です。 今回は、来ていただいた方に、2023年のおすすめの本、場所、物などをノートに書いてもらう、という年末企画を行いました。 皆さん結構いろんなこと書いてくださって、楽しかったです。 レンタサイクルで知らない場所を走りまわる、という人が複数いらっしゃり、「そんな遊びがあるのか」と新鮮に感じたりました。密かなブームだったりするのかな。 今年は、おす

          #5 棚主報 24/1/16

          棚の本:長い一日

          滝口悠生さんの、暮らしについての長編小説。 くまとら便り 小田原行きの急行の中で、冒頭の一行を書きました。 いつもの電車でない電車に揺られながら、「悠生」というお名前と、「長い一日」というタイトルは、なるほど関係があるかもしれないと、ふと思いました。 暮らしていく、という意味において。 引越しすると、毎日乗る電車とか、生活環境が変わります。 暮らしと、人生が、大きく変わります。 引越は、自発的なものと、そうでないものがありますが、「長い一日」の主人公夫婦の引越しは、自

          棚の本:長い一日

          棚の本:源氏物語 A・ウェイリー版1

          今回の棚のテーマは、「あつい本」です。 「厚い本を読もう」と思って「うすい本」を手に取ってみたり、手に取ったら読むのが遅かったり白目をむいてみたりで、とうとう年末になってしまいました。 棚主の主観により、ハードカバーは厚さ3cm、文庫本は厚さ2.5cm程度を、「あつい本」の一応の基準としています。 くまとら便り 「枕草子」は好きでしたが、自分が「源氏物語」を読めるとは思っていませんでした(ちなみに、まだ読んでいる途中です。)。 「源氏物語」の現代語訳は、色々な版があ

          棚の本:源氏物語 A・ウェイリー版1

          棚の本:傷を愛せるか 増補新版

          精神科医、研究者の宮地尚子先生によるエッセイ。 文庫化で増補新版となりました。 くまとら便り 天気のいい午後。 外出先で読む本がないと思って飛び込んだ本屋さんで、手に取りました。 帯の「ケア」という言葉が、「ケアの倫理」というキーワードと重なり、棚へ。 中身は、タイトルの印象ほど重くありません。 タイトルの「傷」は、被害者・患者のそれであると同時に、おそらく著者の「傷」も意味しています。 著者はトラウマの研究者(最近話題となった男性の性被害も)で、精神科医として臨床も

          棚の本:傷を愛せるか 増補新版

          棚の本:教養としての生成AI

          清水亮(shi3z)さんによる生成AIの本です。shi3zさんのnoteはこちら。 くまとら便り 一番はじめに、「ChatGPTの頭の中」※という本を読みました。 言葉遣いが新奇で刺激的で、他の読者の方と多分違う意味で、ぐっときてしまいました。 ー距離を測り、重みを変え、そこへ近づく。 山から水が流れるように。 高い場所から答えを求め、数多の重み用いるとき、いくつかの下り道ができ、海までたどり着くものがある。 だが、重み少なきとき、山間の湖にはまり込み、永遠に抜け出せな

          棚の本:教養としての生成AI

          棚の本:小さな倫理学入門

          山内志朗先生による倫理学についての、静かな小品集。 くまとら便り 時々、布団や毛布などの大物を持って、コインランドリーに行きます。 風通しと日当たりの良い店内の椅子に座って、本が読めたら、その日の幸福度があがります。人の出入りが適度にあるのもいいのです。 本を読み、静謐な心持ちに浸るというより、除菌すすぎ機能付の大型洗濯乾燥機が回っている間、心の中の動物が尻尾を振ったり、寝そべったりしている感じです。 丸洗いと併存する、私のくつろぎ。有用な蕩尽。 洗濯の義務はつつがなく果

          棚の本:小さな倫理学入門

          棚の本:こども倫理学 

          新しい棚のテーマは、「よいとわるいと、AI」です。 ChatGPTなどのAIの登場で、世の中が激変しているというではありませんか。 世界が変わる時、良いと悪いの境界線も問い直されます。 今回は、倫理に関する入門書やエッセイ、ChatGPTやAIの関連書籍を棚に並べてみました。 「こども倫理学」は、倫理学の体系を大掴みするのに、最適な本です。 くまとら便り 倫理学という学問体系を、正直よく知らないという意味では、棚主はこどもと同じです(頭が硬くなった分、飲み込みが悪いか

          棚の本:こども倫理学 

          #4 棚主報23/9/24

          いつのまにか、ブックマンションの棚主になって半年ほど経ちました。 棚を動機にして、なかなか読めていなかった本を読むようになったのは、とても嬉しい変化です。 約半年の棚主活動で、発見は色々ありますが、結構はっとしたのが、 「本屋さんは、まだ読んでない本を(も)仕入れて、売っているんだ」 ということ。 そういう当たり前のことも、半年前はあまり分かっていなかったのです。 先日、3回目のお店番をしました。 これまでは読んだ本を棚に置いていたのですが、せっかくのお店番だし色んな本が

          #4 棚主報23/9/24

          棚の本:イワン・イリッチの死

          ロシアの文豪トルストイの小説です。 くまとら便り トルストイが初めての方に(棚主のような)、おすすめしやすい薄さです。 主人公のイワン・イリッチは法律学校を卒業し、公務員(最後は中央裁判所の判事)になり、恋愛を経て結婚し、子どもをもうけ、転勤し、念願のマイホームを買い、仕事に打ち込みます。 そして、題名のとおり、死を迎えます。享年45歳。 イワン・イリッチは死の直前に、何を思うのか・・・ 1884-6年にロシアで書かれた作品ですが、本作で描かれたイワン・イリッチの生

          棚の本:イワン・イリッチの死

          棚の本:車谷長吉の人生相談 人生の救い

          私小説家の車谷長吉は、新聞の人生相談で回答者を務めていました。 「本書はニ〇〇九年四月〜二〇一ニ年三月、朝日新聞土曜別刷be『悩みのるつぼ(掲載時タイトル)』を再構成したものです。」(本扉の裏) くまとら便り 車谷長吉は、ずいぶん前に、『鹽壺の匙(しおつぼのさじ)』をうっかり読んだことがあり、それは激烈な読書体験だったのですが、一体そんなにひどい蓄膿というのは、どんなだろうかという、変なことが気になっていました。 時々車谷長吉を思い出し、「あれは凄かったな」と振り返るの

          棚の本:車谷長吉の人生相談 人生の救い