ラクダから逃げ延びて

 ずいぶん長い時間が経ち、あまたの肉が喉を滑り落ちていき、エントリ書いてなかったことに驚きながら読み返していて、過去と現在があり、その後おいしかった肉はワニとウズラとラムで、頂点にいるのはいまでもやっぱりダチョウで、八百屋では鯨肉が売られており、最近も鯨肉を食べました。鯨肉はおいしい。アミノ酸の味がする。アミノ酸の味がするって何も言ってないんだよだから。

 そしてわたしはラクダ恐怖症になりました。

 嫌いな食べ物はラクダです。

 嫌いとかそういう問題じゃない。

 怖い。


 これから先を読んで食欲がなくなっても知らないよ!


 もう一年近く前のことなのですべてが曖昧模糊としています。だれかがラクダをくれました。わたしは肉を生で舐める習性があります(絶対にまねしてはいけません)。舐めた瞬間、ヌルッ……とした感覚が全身を駆け抜けました。

 わたしの育った家にはサンテラスと呼ばれるエリアがあり、本来サン(日光)を浴びるテラスつまり赤ちゃんを日光浴させるなどするためのエリアだったと想像されるガラス張りの空間なのですが、サンテラス側に家は建ち(建つことが想像できなかったのだろうか?)日はろくに射さなくなりサンテラスはどんどん物置になっていき次第に床も抜けはじめ、そして日中は明るいものだから切れた蛍光灯をかえずにおいたので、夜にサンテラスに置いてあるものに用事があるとき、その床を踏んだときにいたあれ

 を思い出しました。あれが何であるかは各自の空想の世界でどうこうしてください。それです。

 その時点でやめればよかったのでは? と思うのですが、いかんせんそれはもらった肉でした。しっかり焼けばいいだろうと思いました。焼きました。

 ラクダというのは情報量の多い顔をしていますね。

 情報量が多く、強い匂いのする顔をしている。匂いがするということではなく、匂いのする顔をしている。

 小学校に上がる前にラクダに乗ったことがあります。今でも乗れるのかどうかは知りませんが当時(30年くらい前)は鳥取砂丘に行くとラクダに乗れたのです(なおわたしは広島に住んでいます)。ラクダは脂っぽい匂いがして、硬い、砂っぽい毛が生えていました。

 部屋じゅう、ラクダの匂いがする!

 そして、焼いてもぬるっとしている!!

 こわい!!!


 おそらくわたしは子供の頃触った動物に対する全般的な恐怖心があるのではないかと思うのですが、嫌いなものはこれまでずっと蟹でした。小学校一年生の時に北海道で大量の蟹フルコースを見たからです。そして今ラクダ肉が無理になりました。今というか一年くらい前なんですけど、蟹も、ラクダ肉も、こわい。

 あまりにも怖かったのでもう一回食べたんですがやっぱり怖かった。恐怖とは不可解なものです。あらゆる恐怖はあらゆる恐怖に結びついている。


 ラクダ肉のパティ キャメルパテイ4枚入

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