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【雑記】私には「穴」がある

私には「穴」がある。
これは、noteを始めてしばらくして、いろいろな方の記事を読んでいたときに見つけた言葉である。
なんか、グッと心に刺さってしまった。

これを書いた女性は、20歳くらいの大学生だった。
いろいろな生きづらさを感じていて、八方ふさがりで、自尊感情が著しく低下していることは、記事を読んで、見て取れた。

そして、様々な苦しみの吐露が続いた途中くらいに、この言葉があったのである。魂の奥底から湧き出たような、言葉だった。

私には「穴」がある。

文字通りの意味で、私は若い女性で、この体に使い道がある。
いざとなれば、これを使えばよい、という意味だった。

孤独に苦しむくらいなら、穴を使えばよい。
お金がなくなったら、穴を使えばよい。
どうしようもなくなったら、穴を使って生きる。
そんなメッセージだった。

なんか、力強さを感じて、心に刺さった。
詩のワンフレーズのようにも感じた。

この時、思い出したのが、アメリカのジャズ・シンガー、ニーナ・シモンの「Ain't Got No, I Got Life」だった。
私は何も持っていない、けれど私には、この命がある」、そんな意味合いのタイトルである。
僕の大好きな歌の1つだ。

和訳の歌詞を貼り付ける。

『Ain't Got No, I Got Life』

家もない、靴もない
お金もない、階級もない
スカートもない、セーターもない
香水もない、ツキもない
運命もない

教養もない、母もない
父もない、兄弟もない
子供もない、叔母もない
叔父もない、根もない
男もいない

国もない、学校もない
友達もいない、何もない
水もない、空気もない
煙草もない、お菓子もない
何もない

それでも、私は何か持ってるんだわ
だって、私はどうやって生きているというの?
そうよ、私は持っているのよ
誰も奪い取れないものを

私には髪がある、頭がある
私には脳みそがある、耳がある
私には眼がある、鼻がある
私には口がある、微笑みがある
私には話せる

私には髪がある、頭がある
私には指がある、ひざがある
私には足がある、かかとがある
私には肝臓がある、血液がある

私には命がある

私には笑い声がある
私には癒しがある
私には行動がある
私にも貴方たちみたいに悪い時がある

黒人差別の激しい時代のアメリカで、闘って生き抜いたニーナ・シモンを引き合いに出すのは相応しくないかもしれない。

ただ、「生き抜く」というところでは、一緒である。

もう一つ、思い出すことがある。

僕が、このnoteのヘッドの写真に使っている、渋谷円山町で、亡くなった女性だ。
この女性の場合は、生き抜けなかったが。
いわゆる「東電OL殺人事件」の犠牲者のことである。
1997年の事件だった。

「男女雇用機会均等法」が施行されて、10年ほど。
多くの女性が、総合職という自負と、女性蔑視とセクハラと、ガラスの天井と、仕事と自分の人生との狭間の世界で、揺れていた。日本の社会自体が、男女が同等に働くとはどのようなことか、分かっていなかった時代である。

この辺りの苦しみは、何度か取材で話を聞いたことがある。
そして、この苦しみが分かる女性の間で、被害者への共感が広がった。

園子温さんが映画「恋の罪」(2011年公開)のモチーフに使ったけど、この映画はあまり好きではない。もう少し違う方向性にして欲しかった。

前に雑記で書いた趙合徳(雑記:趙合徳を慕う)も、穴で生きた女性だ。
七年戦争のきっかけにもなった、フランスのポンパドゥール夫人もそうである。則天武后も楊貴妃もそうだ。

加えて、もう一つ、思い出した。

一度、取材したいと思っていたのだが、大正期に「からゆきさん」として、シンガポールに売られ、つい15年くらい前までご存命の方がいた。「からゆきさん」とは、貧しかった明治・大正時代の日本から、海外に売春婦として売られた人のことである。

この方は、晩年に入所していた高齢者施設で、自身のご経験を初めて話し始めた。彼女は、3度結婚し、シンガポールで財をなしていた。中国系のご主人との事業が成功したとのことである。ずっと自分の過去の話をしなかったが、死が近くなった時になって、そのことを話すようになったそうだ。

それを、当時、現地にいた知人から聞いて、ぜひ取材したいと思ったのだが、果たせずにその女性はなくなってしまった。何を思って話し始めたか、何を伝えたかったのか、分からないままだ。

しかし、その女性は、自力で這い上がり、成功し、家族にも恵まれた。
確か、ひ孫が十数人と、聞いた気がする。

私には「穴」がある。

そんな言葉を聞いて、こんなことを様々思った。

※人生2回目のアフィリエイトです、すみません。Amazonの申請に合格するためには、いろいろ貼らなければならないようで……。

ネットで検索したら「ネット乞食」という言葉に出くわしました。酷いこと言う人、いるなー。でも、歴史とたどれば、あらゆる「芸」は元々「乞食」と同根でした。サーカス、演芸、文芸、画芸しかりです。つまり、クリエイトとは……、あ、字数が! 皆様のお心付け……ください(笑) 活動のさらなる飛