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「まとめ抗菌薬 表とリストで一覧・比較できる 特徴と使い方」の特徴

前回の記事では「まとめ抗菌薬」の執筆を始めるまでの経過を書きました。

今回は本書の特徴についてまとめます。ご購入いただく際の参考になれば嬉しいです。


1. 初学者にとっても分かりやすい

 本書は私が執筆した内容を、編者の先生が校閲して、私が再度推敲するといった流れで作成しました。感染症をご専門とされる方が書かれた書籍はたくさんありますが、感染症を専門とされない先生と一緒に作られた書籍は多くありません。この点が他書にはない本書の強みです。
 編者の先生は、感染症のご専門ではありませんが初学者にとって分かりやすい教科書を多数執筆されている方です。専門医にとって当たり前の内容は無意識に解説を簡略化していたり、初学者には分かりにくい表現となることがあります。本書は編者の先生から分かりにくい表現について修正を受け、内容が難しい場合は補足説明を加えるなど、初学者の方にも理解しやすい文書や表になるよう推敲を重ねました。

2. 研修医の要望をもとに構成しました

 本書は初期研修の先生方や、感染症を始めて学ぶメディカルスタッフの方々を想定して執筆しています。感染症を始めて学ぶ方がどのような内容に興味があるか知るために、当科をローテート中の研修医や当科での研修を修了した卒後3~6年目の先生方を対象に、本書で記載してほしいことや学びたい内容についてアンケートを行いました。
 アンケートの結果、要望が多かった内容は①抗菌薬の特徴や使用方法、②覚えるべき細菌の特徴、③症例に基づいた抗菌薬の使い方でした。このような研修医の要望に沿った内容をまとめました。

3. 各章の内容

 第1章では、患者-感染臓器-原因菌を想定し抗菌薬を選択するといった「感染症診療の原則」について解説しました。患者背景毎に想定すべき微生物や、症状・身体所見から疑うべき感染臓器、感染臓器毎に採取したほうがよい検体といったように、初学者の方が臨床現場でも即実践できるような内容を表にまとめています。また、抗菌薬投与中に行う日々の経過観察の方法や抗菌薬が効かなかった場合に考えるべき病態、点滴から内服に変更するための条件といった診療中に悩むことの多いポイントについても解説しています。
 第2章では、無数に存在する細菌の中から臨床で遭遇する頻度が高く初学者の方も知っていた方がよい細菌を厳選し解説しました。表では細菌が原因となる代表的な疾患と第一選択薬となる抗菌薬についてまとめています。本文では細菌の細かい特徴は極力省き、臨床で役立つ情報についてコンパクトに解説しています。
 第3章と第4章では、臨床で使用する頻度が高い抗菌薬と抗真菌薬について解説しました。各薬剤の冒頭に各薬剤のスペクトルの概略を視覚的に理解できるような表を作成しました。次に各薬剤の特徴・感受性菌や適応疾患・腎機能に応じた投与量、妊婦や授乳婦への安全性・副作用や相互作用といった臨床で役立つ情報をひと目で分かるような表を掲載しました。最後に本文で、各薬剤の詳細事項について解説しています。

ペニシリンGについてまとめた表


 第5章では、臨床で遭遇する頻度の高い疾患や致命的な経過をとりうる疾患について、症例をもとに解説しました。各疾患の冒頭にまず押さえたいポイントを記載しました。次に症例を提示し、グラム染色や細菌学的検査が分からない時点で感染臓器や原因微生物を推定し、初期抗菌薬を選ぶにはどうすればよいか、感染症内科医としての考え方を記載しました。グラム染色をもとに抗菌薬を選ぶことが理想ではありますが、グラム染色ができない環境で診療を行う場合でも困らないことを意識して本稿は執筆しました。最後にグラム染色や培養結果にもとづいて抗菌薬の狭域化や内服薬の変更方法、治療期間の考え方を記載しました。

カテーテル関連血流感染症について


 付録として、「治療期間」「腎機能に合わせた投与量」「妊婦と授乳婦への投与の安全性」について表にまとめました。腎機能障害のある方に抗菌薬を投与する場合、妊婦や授乳中の方へ投与する場合、いつまで抗菌薬を投与すればよいか迷った場合などひと目で分かるように記載しています。

4. 最後に

 本書は何者でもない凡庸な感染症内科医師が、一つでも後輩医師の役にたつことを願い作成した「まとめ資料」をもとに作られました。また、Xやnoteで「新米ID」として行っている発信を応援していただいているフォロワーの方々がいなければ、本書のような書籍を執筆する機会はなかったと思います。当院の感染症内科をローテートしてくれた後輩医師、Xやnoteで暖かい声援をくださるフォロワーの方々、校正を重ね出版まで導いていただいた編者の先生や出版社の皆様に心から感謝申し上げます。

 本書が感染症診療に携わる方にとって、一つでもお役にたてれば幸いです。

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