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負け犬の遠吠えは誰かの希望になる|アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」感想

ぼーっとしていたら1月も後半になってしまった。いつまでも正月気分でいたいのに、強制的に日常に引き戻され、あっという間に1月が終わる感じ。何回やっても置いてけぼりにされますね。


最近はアニメをいろいろ見ていました。
中でもお気に入りのアニメの話を。

「ぼっち・ざ・ろっく!」

アマプラで見ました

極度の人見知りで友達がいない、ギターを愛する孤独な主人公が、ひょんなことから「結束バンド」というバンドに加入することに。


原作漫画の表紙?か何かで、実際にあるバンドのミュージックビデオの1コマを、パロディっぽいイラストにして使っているらしく、私の好きなバンドのメンバーが、使ってもらえた!と喜んでいるツイートを見たのが、私がこのアニメを知ったきっかけ。多分そういうわけで、バンド界隈では結構話題のアニメなのだと思う。
くそっ、まさかこんな予想外の角度から引きずり込まれるとは、なんという戦略…!と思いつつ、抗う間もなく私もまんまとその罠にはまって見始めたのである。

そして極め付けはこちらの記事。読んだ直後にアマプラ開きました。


主人公・後藤ひとり(通称ぼっち)の自宅に貼ってあるポスターや持っているグッズが、実際に存在するバンドの名前やロゴに似ていたり、加入した結束バンドが活動拠点としているライブハウスが、下北沢シェルターにそっくりだったり。バンド好きにはたまらない演出が散りばめられている。どうやら作者はアジカンのファンらしい。自分もバンド好きだからこそ、ファンの気持ちはよくわかるので、そこも含めて推せる。


ぼっちは「陰キャでもバンドをやればチヤホヤしてもらえる」という、なんとも邪な理由でギターを始める。
でも実際、クラスのハイカースト集団に属しているような人は、大概バンドなんてやらない。なぜならバンドなんてやらなくても既に目立っているし人気者だからである。本当はそこに属したいけど属せない、いや別に属したいとか思ってねぇし!は?!みたいなやつが、こんな自分でも輝ける場所としてバンドを選ぶのである。尚、今の発言は私の独断と偏見を大いに含む。

劇中でぼっちが「好きなバンドマンが学生時代から人気者だと知ると、急に遠い存在に思える」「ロックとは負け犬が歌うから響く」と真理を語っていて大きく頷いた。HEY-SMITHの猪狩さんが、高校時代サッカー部で、体育祭の応援団長とかやってて、めちゃくちゃモテてたと知った時は、え、なんでバンドやってんすか?!となった(音楽好きだからだよ)。
青春にコンプレックスを抱えるほどではないけれど、Mrs. GREEN APPLEの「青と夏」を聞くと若干たじろぐのは、そういうわけだったのかと今更気付いた。眩しいよね…。


私もそこそこ人見知りで、初対面の人がいると挙動不審になるし顔は引き攣るし上手く喋れないしビビり散らかすけれど、アニメを見てからは「ぼっちよりマシ」という謎の安心感が得られている。なんかごめん。そしてありがとう。

ぼっちのバンドを続ける理由が「自分が人気者になりたい」から「バンドのみんなで頑張りたい」に変わっていく、下手くそなりに少しずつだけど確実に成長していき、青春を謳歌する姿は、同じコミュ障として涙なしには見られない。

陰キャは陽キャには勝てないかもしれない。でも、負け犬にしか歌えない歌、陰キャだからこそできることが、きっとあるはず。そんな小さくて眩しい希望が、誰かの背中を押すのだ。


私も学生時代にバンドやっとくんだったな…というぼやきはさておき、バンド好きでよかったと改めて思えた作品でした。また推しが増えました。結束バンド、今後も応援していきます。

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