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『長くつ下のピッピ』

 岩波少年文庫の版を長らく愛読していたが、どこかのタイミングで手放してしまったようで、見つからなかった。

 すぐに読める電子書籍版がこちらの『リンドグレーン・シリーズ』の比較的新しい版だったので、こちらのテキストを見ながら、今まで感じてきたことをまとめます。

 ものごころついてから、多分初めて自分で意識した私のヒーローが、ピッピ・ナガクツシタ。こう見えても小学校4年生ぐらいまでは私は大人しい子だったので笑、ピッピみたいに勇気のある女の子になれたらどんなにいいか、と憧れていました。(現在の自分の図太さを鑑みるに、これはかなり達成したかも笑)

 ピッピは、船長さんであるパパとその仲間たちと、世界中を航海していた。

 私の大好きな作家さんだったり、何ならリアルで好きになった人も、旅人率が高くて、これは何かある、何なんだろう、って本当に昔からずーっと考えている。

 原点をここに見た。ピッピもそういえば旅人だった笑

 好きな作家たちがあまりにも旅を重視しているので、私は大学生の時には大学の学科よりも旅を優先順位の上位に挙げていた。

 海外へ行かなくては、と当然に思っていたし、海外へ行く資金を貯めるために国内のリゾートホテルへアルバイトしに行ったりもした。

 それで何か作家さんの気持ちが分かったか?といえばいまだに分からないけれども、最近うっすらと感じるのは、要はネタ探しであり、自分自身の考え方をしっかりと誰かに主張するためにはたくさんの経験だったり、他者との意見の比較検討が必要で、でも、それすらも大ざっぱに言ってしまえばネタ探し。

 転職も旅のうち、と考えていた私は転職することにためらいは全くなかったが、幸か不幸か、面白い、自分が携わっていて苦ではない、どちらかと言えば好きなのでは?と思える仕事に出会ったので、最近は旅から遠ざかっている。

 でも、こう思うことにしている。クレームも旅。信頼を失うことも旅。孤独も旅。noterさんとの出会いも旅。全てが旅(笑)

 ピッピに戻ります。ピッピも、世界中を旅しているので、独自の哲学を持っている。自分が納得しなければ先生だろうが、警察官だろうが、泥棒だろうが、論破します。力持ちでもあるので、やっつけたり、頭が回るので裏を掻いたり。

 自由であること。精神が自由であること、肉体が自由であること、って無敵です。ピッピは、船長のお父さんが迎えに来て一緒に南の島へ旅立ちかけますが、今は友達が大事と思って踏みとどまります。誰にも依存していないので、好きな時に、好きな人と一緒にいる自由を選べるのです。

 私は今、子どもの反抗期に怯えていて笑、多分近いうちに精神的にも巣立っていってしまうでしょうが、それまでに幸せな思い出をいっぱい作っておこう、お互いの道が分かれた時のために、と思っています。

 ピッピが、船長さんやその仲間たちとの思い出を胸に、トミーとアニカを選んだように、子どもが限りなく自由で、いつでも飛び立てる準備をしてあげたい、というのが私の願い。そして子育てから解放された私は、あわよくば世界中を自由に旅したい。そのために必要な武器はアレとコレで、今はアレをこうして、ってあれこれ考えるのが楽しいです。

 ピッピの発言や行動一つ一つが深くて、ユニークで、楽しいです。(最後に、とってつけたようですが)

 (ピッピの感想なんだか、所信表明なんだか分かりませんね)

『長くつ下のピッピ(電子書籍版)』(リンドグレーン・コレクション) アストリッド・リンドグレーン作 菱木晃子訳 岩波書店 2019年

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