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【手は言葉以上に愛を語る】携帯小説7

第7話

リハビリ奮闘記

登場人物
1.主人公:白崎愛美(しろさき まなみ)
2.あかりの兄:黒井義輝(くろい よしき)
3.まなみの友人:黒井あかり
4.リハビリ中のおじいちゃん
5.常連:牛嗣 ゆきな(うしつぐ ゆきな)

「夢は諦めなければ叶うから」

義輝の口癖だった

事件から1か月が経ち

退院後はリハビリを兼ねて
病院に通院している

右手の神経がうまく伝わらず
思うように動かせずにいる。

美容師としては致命的だ。

そんなある日、
義輝の常連客である
牛嗣 ゆきなさんから
手紙が届いた。。。

拝啓 黒井様〜お元気でしょうか?私は髪の毛をずっと伸ばして黒井さんが復帰するのを待っています。どうかご無理なさらずに。

美容師としてこんなに嬉しい話はない。

手が思うように使えなくなってから

人生観がかなり変化した

まず、こんなにも人は優しいのかと、
人の暖かさに触れている

彼女の愛美はもちろん、家族に友人に
みんなが何かあったら
言ってねと連絡をくれる

でも自分はこのままじゃダメだと思う
そこに甘えてしまったら

何も解決策にならないし
手がよくなるわけもない

そしてこうやって、待ってくれてる人のためにも俺自身が「待ってるだけ」じゃダメなんだ

そう思いながら1日1日を生きている。

医者から一度は再起不能ということで、
診断をされていたが

最近になって、俺の手は奇跡的な回復を遂げ
もう少し頑張れば職場復帰できると
言われている

それもこれも愛美がいて
幸せを与えてくれるからかもしれない。

こんな時ぐらいのろけさせてほしい。

それは置いといて、
今日もリハビリのために
夕方から病院へ行ってきます

リハビリ専門医「あっ黒井さんこんにちは、手の調子はどうですか?」

「だいぶよくなってきました、ハサミの開閉もできるようになってきたし、余裕ですよ!」

とは言ったものの実は動かすたびに痛みがあった。

「黒井さん無理してるでしょ!まだ黒井さんぐらいの術後だと手をグーパーするぐらいでいっぱいいっぱいなはずですよ」

「あっばれました?」と話していると
近くにいたおじいさんが話しかけてきました


「生き急ぐんじゃぁないぞ」
「ありがとうございます」

「今が大変だったり苦しいのはわかる。でもな焦ったっていいことなど何もないのじゃ。」

「おじいさんはどうしてここへ?」

「ん?わしか?わしはなぁ、掃除をしてた時に腰をやってしまったのじゃ。」

リハビリ中の人に話しかけるのが好きらしくたくさん身の上話をしてくれた

「妻も亡くし、息子とも生き別れてしもうてな、今はどこで何をしているかもわからん状態じゃ。」

「そうなんですかぁ、いつか会えるといいですね」

「いんや、もういいんじゃ、きっとどこかで元気に生きていてくれてる。そう思うだけで幸せじゃよ!お主は結婚しとらんのかいな」

「はい、36ですが、お恥ずかしながら最近やっと彼女ができた次第です」

「大切にするんじゃぞ、これからはひとりのようで、ひとりじゃない。2人で歩んでいく運命共同体になるということじゃろ?」

「そうですね、早く仕事復帰しないとです」

「また2人の間にもいつか子供ができるかもしれんしのーそちらの夜もがんばるのじゃぞ、ほっほっほっ」

いいこと言ってたのに
なんだすけべおやじか?

「おじさんまだ早いですよー笑」

「なんだ早いのか、若いとは羨ましいのー」

こりゃまた下ネタだな
でも、たしかにこんなとこで
つまずいてるわけにはいかない。
2人で1人のようなもんだもんな

愛美のこと幸せにしてあげなきゃ

「おじいちゃんありがとう」そういって
俺はその日のリハビリを終わりにした

それから、毎日痛みに耐えながら
右手を動かし続けた

そして出来る限りハサミを持ち
イメージトレーニングをしながら
とにかく動かし続けた

リハビリ担当医「黒井さん順調に回復してきてもう通院しなくても大丈夫でしょう!よく頑張りましたね」

「今までありがとうございました」

「今日いつものおじいさんいらっしゃいませんか?」

と訪ねたときに丁度車イスに乗って近寄ってくるのが見えた

「あっおじいさんこんにちは!今日でお別れなので、挨拶したくて、、、」

「そぅかぁ寂しくなるのぉ、そうじゃ最後にお年寄りの願いを叶えてくれんかの?」

また下ネタか?と思っていると

「髪を切ってほしいのじゃよ!」

と、指名が入りました。

「もちろん!むしろお世話になったので、切らせてください、大丈夫ですか?先生」

リハビリ担当医「問題ないですよ」

その言葉を聞いて
カットの道具一式を家に取りに帰った

病室の中で美容室だ。

「どんなかんじで切りましょう?」
「お主がカッコいいと思う髪型にしてくれ」
「わかりました」

チョキチョキ、チョキチョキ、
いろんな話をした、たくさん笑いあった。

あとから聞いた話だと
実はおじいさん、俺と会うまでは心を閉ざしていたそうだ。

俺を息子のように思ってくれていたみたいで
リハビリ中に会話ができるのが嬉しいと
いつも話していたそうだ

ヘアスタイルが完成して鏡を見せるとおじいさんは大丈夫じゃ。と言ってくれた

鏡など見ていなかった。

「わしはお主に切ってもらうのが夢だったんじゃ諦めずにいたら叶うんじゃ覚えとけ!」

どこかで聞いたことがある言葉だった。

目を開けた瞬間とびっきりの笑顔で
俺を見たおじいさん

その瞳を見て俺は思った。

美容師 義輝ここに復活。
やってやる!待ってろ未来。

続く

【次回予告 】
第8話
現場復帰を果たし独立の夢を叶える義輝。
愛美との愛も育んでいく
「幸せは特別なことじゃなく
ありきたりな毎日」

お楽しみに
https://note.mu/blancetnoir/n/nab0aa95a6eba

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