石原敬  セットデザイナー/舞台美術家

BLANk Research and Development INC. エンターテイメ…

石原敬  セットデザイナー/舞台美術家

BLANk Research and Development INC. エンターテイメント空間(演劇/ダンス/ミュージカル/コンサート/イベント/エキシビションなど)の空間デザイン専門集団。

最近の記事

08 セットデザイナーになる方法

またまた随分と時間が空いてしまった。。うーん。あまりに久しぶりなので昔話の続きを書こうかな。   蜷川さんに手紙を書いた後Theatre1010朝倉・松野両師の元で僕は日々舞台のあれこれを学び続けていた。当初劇場は様々な自主企画を立ち上げていた。「楡の木陰の欲望」(ロバート•アラン•アッカーマン)、「秘密の花園」、「動物園物語」。海外の演出家との共同作品も多数あり自主公演という事で僕も劇場メンバーとして立ち上げから仕込みまでガンガン参加できた。 そんな舞台漬けな日

    • 07 セットデザイナーになる方法

      プロとアマ 「プロフェッショナル professional」と「アマチュア amateur 」という言葉がある。実は僕はあまりこの言葉が好きではない。どうも「アマチュア」は「プロフェッショナル」よりも劣るという印象があるからだ。僕が思うにこの二つは上下に位置する言葉ではない。左右に位置する言葉、全くの別物の言葉だと思う。二つの違いは”生み出す物の創造性のレベルの差”ではなく”生み出す過程の意識の差”だと思う。つまり「対人からの自分」がプロ、「自分からの自分」がアマチュアだと

      • 06 セットデザイナーになる方法

        どんな世界でも一人前になる為には下積みが必要だ。ベタな言い方をすれば花を咲かすための根っこだ。それはスポーツ選手でも証券マンでもヘアスタイリストでも全てに共通している。ではセットデザインの世界ではどんなことが下積みに必要なのか? 『経験値をつける』 セットデザイナーとして仕事をするには経験が不可欠となる。どんな仕事でもそうだが、特にセットデザイナーは他のジャンルよりずば抜けて経験が必要な気がする。それはなぜか。。?答えは簡単。経験がないとデザインができないのだ。鼻歌で作曲を

        • 05 セットデザイナーになる方法

          前回の投稿から2ヶ月もあいてしまった。。あまりの激務でnoteに全く手をつけられなかった。この2ヶ月の間、舞台作品を7本開け、これから開ける6本の舞台、2本のイベント、1本のコンサートの作業に追われていた。もちろん僕一人の力ではなく力を貸してくれるスタッフが居てこその仕事量なのである。仕事を依頼されるという事は本当に心からの感謝しか無いのだが、それにしてもなぜこんな量の仕事を受けなければならないのか?その理由も追って書いていこうと思っている。  さてさて。あまりに時間があいて

        08 セットデザイナーになる方法

          04 セットデザイナーになる方法

          「近松心中物語」を観て衝撃を受けた僕は蜷川さんの本を片っ端から読みまくった。本の中で蜷川さんが描いた舞台セットのラフスケッチを見よう見まねで立体スケッチに起こしたり、蜷川さんが演出した作品の戯曲を読んだりして日々を過ごしていた。  ある時、蜷川さんが僕の家の近所に住んでいることを知った。「ふーむ。。」 早速探検に出かけ(懲りないアホ)蜷川邸を探し当てた。持参してきた手紙をポストにねじ込む。連絡を待つが一向に音沙汰なし。数日後もう一回手紙をポストにねじ込む。待てど暮らせど音沙汰

          04 セットデザイナーになる方法

          03 セットデザイナーになる方法

          〜セットデザイナーに必要な事 ①〜 今回思い出し話は一回お休みでちょっとだけマジメ編。セットデザイナーという仕事についてちょっとだけ具体的な話をしてみようと思う。 セットデザイナーがデザインする空間はいくつかの種類がある。舞台というカテゴリーには演劇、ミュージカル、ダンスパフォーマンス、オペラ などがある。これらは主に劇場と呼ばれる空間に設計される。観客はある一点の視点から空間を見る事が多い。それ以外だとインスタレーション、コマーシャル空間、ウィンドウディスプレイ、インテリ

          03 セットデザイナーになる方法

          02 セットデザイナーになる方法

          新宿のとある高層ビルの1室で行われた朝倉先生の講演会。会場は満席だった。拍手と共に真っ赤な髪に鮮やかな紫色のジャケット、蛍光色のスパッツを履いた小柄な女性が入ってきた。70歳くらいだろうか?えらいド派手でめちゃくちゃかっこいい。 「朝倉摂です。画家であり舞台美術家です。」にこやかですごくチャーミングだが赤いメガネの奥の目は異様に鋭かった。インタビュアーの方と雑談しながら手掛けてきた作品の数々をスライドで説明してくれた。蜷川幸雄演出シェイクスピア作品、市川猿之助演出スーパー歌舞

          02 セットデザイナーになる方法

          01 セットデザイナーになる方法

          僕は今空間をデザインする仕事をしている。空間デザインといってもいろいろな種類があるが、僕が主にデザインしている空間は演劇やダンスパフォーマンス、音楽ライブやインスタレーションなどだ。業界では「セットデザイナー」や「舞台美術家」と呼ばれる。このセットデザイナーという仕事について思いつく事を書いてみようと思う。 なぜそう思ったか? 僕は最近、弊社のインターンシップに募集してくる学生や大学の講義などで会う学生達、セットデザイナーを目指したいと思っている人たちと話す機会があるたびに彼

          01 セットデザイナーになる方法