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『ゆたかさ』とは、こころ震わせた経験の多さだ。

モノも情報もあふれた時代の「ゆたかさ」ってなんだろう。noteのテーマについて考えてみる。

IT技術の進歩によって、便利なモノも有益な情報も簡単に手に入るようになり、身近な悩みや苦労を解決できる機会は、十数年前と比べても遥かに多くなったと思う。

ということは、私達はすでに”ゆたか”なのだろうか?
私が思うに人の「ゆたかさ」の指標は、社会にありふれたモノや情報の多さではなく、その人だけが持っている”心を震わせた経験値”が指標になるのではないか。それは、人の人格や器を形成するのに必要不可欠だと思うからだ。

打ち込めるものがあることは幸せなこと

人の「ゆたかさ」を考える時、私はどうしても、昔からの満たされない気持ちにぶちあたる。

小さい頃から、これといってのめり込んだ趣味や特技がなかった私は、器用貧乏代表のような生き方をしてきた。なにをやってもなんとなくできてしまうから(自慢ではない。笑)、ひたむきな努力で得た達成感や情熱を注いだ経験がなくて、なにをやっても「感動」が薄い。そう”心を震わせた経験”がないのだ。

「私はこれをやり遂げた!」という自負も、「学生時代はこれに夢中だったな〜」なんて経験から語れるものがなかったものだから、昔の記憶はほとんどない。入試面接や就職活動では、当たり障りのない模範解答ばかりをならべて、心がモヤモヤとしていたことだけは覚えている。

「私の心に深く刻まれているのはこれだ!」と胸を張って言えるものが欲しかった。

情熱を注いで過ごした時間はプライスレス

人の心が大きく揺さぶられるもののひとつは、情熱をかたむけるなにかを持つということだと思う。

寝食を忘れるほどに打ち込めるものがあるって幸せだ。世の中で”ドラマチック”だと言われるものは、必ずといっていいほど主人公のひたむきな努力や情熱の過程から生まれた結果から成り立っている。

誰もがドラマチックな過程に一度は憧れるし、いつかの自分と重ね合わせて、感動を蘇らせたりするものだ。夢中になってひとつのことを追いかけて過ごした時間は、人の心をつくる「ゆたかさ」という資産になると思う。

それは「なにかで1番になる」というような結果だけで得られるものではなくて、夢中で追いかけた時間や葛藤を乗り越えながらも前に進む経験といった「過程」に意味がある。

例えば、今年の甲子園。
社会情勢的にやむを得ないとはいえ、多くの人が心待ちにしている夏の風物詩が中止になってしまった。
甲子園をただひとつの目標として情熱を注いできた彼らの思いはいかばかりだろうか。「気持ちわかるよ」なんて、軽々しく言えることではない。目標を奪われてしまったやり場のなさは安易に言葉に変えられないだろう。

だけど、甲子園を目指して努力を積み上げた彼らには、夢の舞台がなくなったらなにも残らないのだろうか?
そんなはずはない。なにもなくただ過ぎていった時間より、情熱を燃やした瞬間や目指すなかで得られた教訓、そしてこの悔しい経験のひとつひとつが、ゆたかな人格を形成する資産になるはずだから。

彼らがもしこのnoteを観ているなら、「これまで積み上げたものや、やり場のない思いも、必ず将来の糧になるよ」と伝えたい。
熱中する過程の楽しさや苦労を知っている人は、その経験からきっと誰かの支えになることができる。

そうやって人とも分かち合える経験値を持つ人が、本当の意味で「ゆたか」ということなのではないだろうか。

経験にお金を使うことを惜しむな

情熱を注ぐことはプライスレスだと言っておきながら、真逆の事実もある。夢中になれるものを探すことも、なにかに熱中するにも、大なり小なり必要な資金があるからだ。

一般的な「ゆたかさ」といえば、お金をもつことだと連想するかもしれないけれど、私はその使い方が重要だと思う。なんでも手に入るこの時代、「自分の経験を投資すること」を惜しまないことを大切にしたい。

経験にお金を使うということは、心を震わせるチャンスを増やすということだ。ひょんな出会いから感動に出会うこともあるかもしれないし、積み上げた経験のなかから、自分にとって大切なこと・好きなこと・情熱を注げるものの輪郭が鮮明になっていく。

たくさんの経験のなかには、成功することも失敗することもあるかもしれないけど、人は経験から学び成長していくものなのだから、それでいい。

これからの時代の「ゆたかさ」

これからの私がもとめる「ゆたかさ」は、いかに自分の心が震える経験の数で表されるはずだ。自分にしかできない経験を積み上げ、豊かな人格を築いていくことにつながっていく。

時代の変化や積み上げた経験のなかで、ひょっとすると心が動く対象も変わっていくかもしれない。でも、それでいい。

いま見つけられないなら、探したらいいし、すでにあるなら、時間もお金も情熱も満足行くまで注ぎ込んだらいいと思う。苦い経験になったのなら高い勉強代だと思えばいいし(笑)、予想以上の感動が待っているかもしれない。そういう多様な経験のなかから、人は大きく成長していくものだ。

たくさんの感動に出会った先、どんな未来に辿り着くのかが楽しみだ。「私にはこれだけ心を震わせた経験がある!」と胸をはれるような生き方が「ゆたかさ」なのではないかと思う。

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