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民宿のおばちゃんと語る、小豆島の夜

こんにちは。

今日は、離島ひとり旅にハマるきっかけとなった、
小豆島の思い出を綴りたいと思います。

10代最後の旅

小豆島に行ったのは、20歳になる2週間ほど前のこと。
10代のうちに、日本の各エリアに行きたい!と思っていて、
唯一訪ねたことがなかった《四国》への旅を計画しました。

時期は、11月下旬。大学の学祭期間です。
講義がないこの期間を、私は勝手に旅をする時期と決めていました。笑

徳島の祖谷渓と、小豆島の寒霞渓で紅葉を見て、
直島の現代アートを楽しむという旅程で予約。

今日は、この時お世話になった民宿のおかみさんとの思い出話です。

宿泊客は、まさかの一人

小豆島の観光を楽しんで、夕方に民宿へ向かいます。

ホームページに「港から車で5分」と書いてあったので、観光を終えてバスで港まで戻り、一本道をまっすぐ歩いて30分ちょっと。無事に到着しました。

小豆島のちょうど西岸に位置する場所で、
期待通り、到着する頃には最高の夕陽をみることができました。

さて、夕陽を堪能してからチェックイン。
それまでホテルや旅館の経験しかなかった私は、少し緊張気味。

気さくなおかみさんから、施設の利用方法について説明を受けます。
ひととおり聞いた後、最後に驚きの一言が。
「一応そういうルールにしてるけど、
今日はお姉さん一人だから、好きにしていいわよ」

あ、一人なんだ。
って、そこじゃない。一人なら好きにしていいんだ。笑

この感覚、いいですよね。
「何のためのルールか」を意識してる。
宿泊者同士が、お互いに気持ちよく過ごすためのルールだから、
一人なら気にしなくていいよ、というおかみさんの柔軟さに惹かれました。

はじめての民宿で、おかみさんと語る夜

夕食をお願いした時間にダイニングスペースに行ってみると
おかみさんの、見事な手料理が並んでいました。
たった一人のために、これだけの品数作ってくれるなんて。

とはいえ、宿泊客は一人です。
ひとり静かに食べるのかなぁと思っていたら、
お茶を片手に、おかみさんが隣の席へ。

「ひとりで食べるご飯は寂しいでしょう」と
話し相手になってくれたんです。

その日の料理の食材の話をしてくれたり、
小豆島の文化や行事について教えてくれたり、
私の旅の思い出話を聞いてくれたり、

次第に話は深まって、
おかみさんの昔話に。

イントネーションで薄々気づいてはいたのですが、
大阪出身だというおかみさん。
離婚を経験し、同じくバツイチのご主人に出会い、
二人で引っ越してきて、始めたのがこの民宿。

建物はすべてご主人の手造りで(立派なログハウスです)
ゲストのおもてなしは、おかみさんの役割。
日々、今度はここを作ろう、ここを直そう、と
二人で話しながら築き上げてきた場所なんだよ、と。

豪勢ではないけど、贅沢な暮らしだと思ってる。
今がいちばん幸せだよ、と語るおかみさん。
素敵でした。

当時19歳の私は、誰かの半生を聞くなんて初めてで、
初対面なのにこんなことまで聞いちゃっていいのかなぁと
戸惑いながらも、話に引き込まれ、最後には感涙してしまいました。

いまでも、忘れられない夜です。

民宿とは、人を感じられる宿泊施設

この小豆島での経験をきっかけに、
離島での宿泊先は、民宿を選ぶようになりました。

ホテルや旅館と比べて「人」を感じるんです。
素朴だけど、あたたかい場所だと思っています。

お料理は、おかみさんの手料理だし、
庭や家庭菜園で育てた野菜や果物だけでなく
漁師のご主人が釣ってきた魚が振舞われることも。

ゆっくり話す時間さえあれば、深い話にもなります。

小豆島での経験が違うものだったら、
民宿に対するイメージも少し違ったかもしれません。

あの時のおかみさんには、本当に感謝しています。
元気にしているかなぁ。

見つけていただいて、 読んでいただいて、ありがとうございます。