見出し画像

記事をシェア“甘い抗菌薬が苦手な子ども”

日経DI 2019.9.17より抜粋・一部追記

先日、急な発熱で受診された2歳の女の子に、セフジニル細粒10%小児用(注: 甘くて飲みやすい、医師にとっても処方しやすいとされる抗菌剤) が処方されました。薬歴(注: 薬剤師によるその患者さんへの服薬指導の記録や病態の追跡記録のこと) をみると、2カ月前に熱発した時にも同薬が処方されていたので、お母さんに「以前に飲んだことある、甘い抗菌薬ですよ。帰ったらすぐ朝の分を飲ませてください」と説明しました。

 するとお母さんが困った顔をして、「前回、甘いと説明を受けた抗菌薬ですね。実はその薬、飲めなかったんです……。うちの子は甘いものが苦手なんです」と話されました。

 一般に、「子どもは甘いものが好き」と思われがちですが、実は甘いものが苦手な子も一定数います。実際に、子どもの食習慣と健康の調査を行った研究で、全国の小中学生9828人を対象に、甘い食べ物の好き嫌いを尋ねると、「やや嫌い」あるいは「嫌い」と答える子が約1割いることが報告されています。

いながき薬局(東京都立川市)の稲垣美知代先生によると、「甘いものが苦手なお子さんは、お味噌汁が好きなことが多い」そうです。

 お母さんに、「Aちゃんはお味噌汁は好きですか」と聞いたところ、やはり「とても好きです」とのことでした。またAちゃんは、カレーもコーンスープも大好きでした。そこでお母さんに、「甘いのが苦手なお子さんでしたら、お薬を味噌汁やコーンスープやカレーと一緒に飲んでもいいですよ」とアドバイスしました。

 その後、そのお母さんに、セフジニルが飲めたか尋ねたところ、「コーンスープで飲めた」そうです。その他に、トマトジュースや野菜ジュースと混ぜるよう指導する場合もあるようです。

 人の好みは様々です。一概に「甘いものに混ぜて」ではなく、一人ひとりに合った指導が必要ですね。

小さい子だから、何も考えずとりあえず甘くしとけ!

大概はそれで通用するのかもしれないが、子育てしていると、本当にいろんな味覚の子どもに出会う。

甘いものでも、このお菓子はダメなのよーとか、料理をお裾分けしようと思っても、そういう味付けのは食べないの!とか。

大人の人に何か食べ物を差し入れたり、プレゼントするよりも、子どもがいる家の方がずっとずっと気をつかっているような気がする。

小児の粉薬は大抵が原薬の独特な味や苦味をマスキングする目的で甘い風味がついている。

我が家のボーイズたちは、むしろその甘みを“楽しんで”服薬するタイプだが、味覚に素直な子どもたちには、身近な大人たちの様々な工夫が必要だということだろう。

勿論薬の効果を減じるような組み合わせの食品との混合はさけねばならないが。

今まで、コーンスープに混ぜて飲みました、というお母さんには出会ったことはない。
そこまで甘みが嫌いな子どもの服薬指導に出会ったことがないのだ。


ちなみに余談だが、私の妹は昔、お腹の整腸剤(ほのかな甘みくらいで、あとてビフィズス菌やらナントカ菌特有の独特な香りが混ざったような味で、同じく子どもだった私は別に美味しいとも思わなかったのだが)を、お腹を壊しているわけでもなく、不調を訴えてるわけでもないのに、始終ペロペロと舐めていた記憶がある。

まるでそれがオヤツかのように。


薬は食べ物ではないし、それ自体を味わったり楽しんだりするものではない。
けれど、飲むならば、しかも長期にわたって飲まねばならないものならば、よりよく付き合っていきたい。
そのためには、一見脇に置いて考えてしまう「味の妥協点」ももしかしたら重要になってくるのかもしれない。

#シェア #味 #味覚 #薬 #服薬 #嗜好 #治療 #薬剤師 #つぶやき

いつも読んでくださりありがとうございます。サポートしてくださると励みになります⭐︎