初恋という狂気の日々 第四十章〜四十一章

第四十章 好きな人

前章から数週間が過ぎて、体育大会の時期が近づいてきた。自分のクラスは程よく盛り上がりつつ楽しむ雰囲気となっていた。

私は並び順的に近い 美人さんに話しかけた「仲良い温厚は生徒会役員だから、管理者席に行っちまって ちょい退屈そうだな」

美人さん「そうなのよ〜 私を置いて許せない」 

私「置いていったとは違う気もするけど…(苦笑)」

美人さん「でもテツバドも 詞ちゃんが遠くなって残念なんじゃない?」

私はいきなり絢辻さんの話題を出されて動揺が隠せなかった「ん?あ?え、え? なんで詞?」 

美人さん「昔から仲良いじゃん 大抵 男子は絢辻さん呼びだけど、下の名前で呼ぶ辺りそうでしょ?

予想外の展開に私は恥ずかしさを隠しきれずに反応する「あぁ確かに言われてみればそうか……うん 仲は良い……な」
必死に冷静を保とうとするが、内心では❨もしかして美人さんにも絢辻詞が好きってバレてる?! ってか無意識に詞って名前呼びしてたけど、そう見られるリスクがあるの忘れていた…❩と焦りまくっていた。

そんな感じで数分間 雑談をした後に練習もいつの間にか終了していた。

教室に帰る間際 後ろから、誰かが話しかけきた

「相変わらず 美人狙いに変わりはないようで?w」 

声の主は天狗だった。

私はあっけにとられる 「は?」

天狗は続けて喋る 「いやいや 位置的に近いのを良いことに、積極的に話しかけていたじゃんw 管理者側からだとよく見えるぜ〜w」

私は呆れる「確かに話しかけはしたけどな…それで狙ってるだ言われましても……」

天狗の喋りは止まらない「まぁ〜俺は学年大半の好きな人知ってるけどよ、美人の好きな人は知らねーからw せいぜい頑張れよ まぁ無理だろうけどw」

私はふざけて質問する「へぇ……そんなに詳しいんだ 同じ生徒会の温厚さんとか ❴ 絢辻さんの好きな人 ❵とかも知ってるん?」 


天狗は意気揚々に答える「あぁ温厚も ❴絢辻❵ も二人とも知ってるとも」


私はパニックになった ❨え?え?絢辻詞の好きな人知ってるって何? どういうこと? え? 何で知ってるん?!❩

しかし心の内を悟られまいと「え? 二人ともいるんだ〜 意外だよ」と少し驚いた雰囲気で返した

天狗は自信満々で「まぁそういうコトだからw 美人狙い頑張れよ〜w どうせ撃沈するんだろうけどw」
そう言い残して自分の教室に帰った

私は美人さんを狙ってるとか狙ってないとか ソレどころではなかった。

その日 一日中 私は❨絢辻さんに好きな人がいるって発言は天狗がでっち上げた発言で根拠は薄い❩と言い聞かせるばかりだった。

第四十一章 それなら言ってほしい

そうして数日が過ぎて 体育大会当日となった。

その頃になると 絢辻さんの好きな人の件は、気になりつつも少し関心は薄れていた。

私は待機場所で絢辻さんが頭に鉢巻を巻いてる姿に、少し見惚れてると 向こうが視線に気付いたのか、こちらを見てきた。少し気まずく感じたが、ご機嫌だったのか笑顔を返してくれた。

そうして私は居ても立っても居られなくなり、話しかけに行く 「詞(絢辻さん)は管理者側として大変やろ」 絢辻さん 「そうでもないわよ むしろクラスの方が……ねぇ……」

私は苦笑いをしつつ聞いてみる 「あー……詞のクラス結構 ウェイ系もいるからねぇ……」

絢辻さんは不機嫌そうな態度で話す「そうなのよ ただ騒ぐだけなら まだしも ノリを強調してくるというか、厚かましいというか あんな輩供に同調してしまったら、芯まで腐りそうだわ……恐ろしい

私は共感しつつ忠告する「まぁ今は誰もいないから いいけど 下手に聞かれたら厄介だから、そこは注意してなw」

絢辻さん「そうね 外面は良い自信があるけど、“壁に耳あり 障子に目あり”って言葉もあるからね」

そんな時 ウェイ系女子が絢辻さんに後ろから近付いて話しかける「次の競技 絢辻さんもクラスの掛け声 参加してね〜!!!」

絢辻さんは先程の不機嫌な表情から一変して、優しい笑顔で振り返ってハイトーン対応する「わかった! 後でそっちに行くね〜!」  


そして 私の方に戻ると また不満気な表情に戻って愚痴をこぼす「あぁいう連中を イ チ イ チ 相手にしなきゃいけないのが  “  面  倒  ”  なのよ。まだアレくらいはマシだけど」

私は同情しつつも 心の声で ❨一番 恐ろしいのは、普段 優しくて頼りになる優等生として振る舞ってるのに、いざ裏モードになると 豹変する絢辻さんな気が……❩  そう思っていた

そうして お互いに競技の準備に取り掛かり、私は競技を無事終えて 自分の席に戻るところだった。


その時 私は忘れかけていた あの件について イヤでも思い出すハメになるのだった。




絢辻さんが職人くんと楽しげに喋っているのだ。
私も最初は ❨ま、まぁ昔からあの二人は関わりある……から…ね❩という解釈で自分を納得させようとしていたのだが、どうも好きな人の件が頭をよぎる
そしてやはり ふざけて肩を叩くなど どうも距離感が近いのである。

私は その場面を目撃した瞬間 「アッ………」とカオナシの様な声が自然に湧き出て、話しかけに行く気力すら無くなってしまった。 

❨やっぱり絢辻さんの好きな人って…………まさか………最初は天狗がいい加減な発言をしているモンだと思っていたけど………でもそれなら 俺にも言って欲しかったなぁ…なんでよりによって天狗なんかに……❩

私は絶望感を隠そうと必死になるのだった。

この記事の時点での時系列 中学3年生 春〜夏 出会って五年以上

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