最近眠れない夜が続いていて、こんな夜はホットミルクを飲む。これを飲むと決まって思い出す話がある。

　私が4才か5才の頃まで、父は和室に布団を敷いて寝ていたような記憶があるのだけれど、いつしかリビングでテレビや電気を全てつけっぱなしで眠るようになった。

　ときどき、夜中に怖い夢を見て起きてしまったら怖くてどうしようもない気持ちになる。

　そんなとき、リビングに行けば『どうしたん？怖い夢でも見た？』と優しく迎え入れてくれる。その安心感はとても大きくて温かいものだった。

　同じように寝付けなかった夜のこと。『どれ、いいこと教えてやろう。』と、キッチンへ。その時母も起きていたので、歯磨きも済ませて寝る前なので余計なものを飲ませたくなかったのだろう、何か文句をつけていた。

　『えぇやん』と反対を押し切って教えてくれた。コップにグラニュー糖をさらさらと入れ、牛乳を注ぎ、電子レンジで少し温めればできあがり。

　スプーンでくるくると混ぜて一口飲むと、とても甘くて美味しい。大好きな父が教えてくれたとっておきのレシピで作ったホットミルクは、特別な味がした。

　それ以来ずっと、寝付けない夜のためのとっておきのレシピとなっている。さすがに今はグラニュー糖は入れなくなったけれど、ホットミルクはやっぱり甘くて、誰もいないリビングでも心を落ち着かせてくれる。しかもその後すんなり眠れるから不思議。

　いつか娘にも、このとっておきのレシピを教えてやろう。皆さんも眠れなくて困ったら、どうぞお試しあれ。

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