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練武知真 第6話『自分の弱さを知る為の武術』

いきなりですが質問です。

「武術や武道を学びたい」と思うほとんどの人に共通する想いは何でしょう?

 

答えは「強くなりたい」という想い。

そう。簡単でしょう?

 

では、

その「強くなりたいという想いの裏側」

にある思いは何でしょう?

 

分かりますか?

 

それは「自分は弱い」という思いなのです。

 

弱いと思うから、強くなりたい。

自分一人では強くなれないから、

鍛えてもらい、

技を教えてもらい、

切磋琢磨する仲間を求める。

 

たとえ、それを自身が認めようとしなくても、

自分の心の奥底では「自分の弱さ」を知っているのです。

 

しかし、ある程度の年月を修行し、そこそこのチカラが付いてくると、

自分の弱さに目を向けなくなってくる場合があります。

 

「俺は強くなった」

 

そう思い、これまでの反復練習はすれども、

さらなる研究や発展的な修行を怠ってしまったり・・・。

 

これでは武術家として、それ以上の発展は望めなくなってしまいます。

 

武術家には引退がありません。

例え、肉体的能力が衰えたとしても、

それを凌駕する技術の修得や開発を志します。

心の強さ、器量の大きさ、思考の方法などはほとんど永久的に鍛えることができます。

 

『常に向上し続ける』

 

それが武術家という人間なのだと僕は思っています。

 

その原動力になっているのが、

「自分の弱さ、自分の至らなさ」を知ることであり、

それを「克服したい」という想いなのです。

 

どのような訓練をどれほど重ねても、

完璧な人間になることはできません。

一段レベルが上がっても、

また疑問や弱点、至らなさを感じてしまい、

それを克服すべく、さらなる修行に身を投じてゆきます。

 

その結果、「常に向上し続ける」しかない・・・。

それが「求道者」の道なのだと思います。

 

 

そしてこれは武術の話に限ったことではありません。

程度の差こそあれ、「弱さを認める」ことは日常生活においても活用できるのです。

 

日々生きている中で、

「自分の弱さや愚かさ、至らなさ」

に目を向けるのは結構しんどい事です。

 

できるなら見ないふりをして、満足はしていないけれども、

今のそこそこの心地良さの中に身を置いていたい・・・。

そう思うのも無理からぬことです。

 

ただ、

もし現状を変えたいのなら、

もっと自分を向上させてゆきたいのなら・・・。

 

まずは、

自分の弱さをシッカリと見据える事から始める。

 

弱さの本体を正視して、

どうすれば良いかを考え、

実行に移して克服してゆく。

 

正しく弱さを把握していなければ、

その対策も的外れなものになりかねません。

辛くても、自分の見たくない面に目を向ける。

 

『弱さに向き合い、強くなる』

 

これは武術的な自己向上方法の一つなのですが、

自分の弱さを知って克服しようとする者は、

間違いなく『強い』のです。

 

 

 

2024年3月20日 小幡 良祐

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