過去作 Vol.35
幼子を養うことは透明な暴力に似て こんなはずでは
三つ目のバス停前に今月も挙動不審なおっちゃんがおる
人間は手づからピザを食べるとき幸せさうに傾いてゐる
更生の機会奪ひし先生が暴力行為をじゃれあいと呼ぶ
人命と愛は炎にたとえられヒット映画になりましたとさ
不可侵の殺意を以て干渉の化生を倒し加害者と成る
だしぬけに時は無情と呟いた少年少女だった存在
人生を休んで見てた川底の硝子は今日も美しかった
ため息をおきざりにして屋上へ駈け上がったら無血革命
逆送致されるであろう少年の凪いだ瞳が忘れられない
「好きな人だぁれ」「秘密よ」「えー、ヒント!」「アレを回転焼きって呼ぶよ」
回り道なんてないって曲ばかりもてはやされる異世界に来た
世界とは檻やもしれぬ水槽(ここ)で生き水槽(ここ)で死にゆく回遊魚の目
それなのに彼女は銃をとったのだアンクレットに触れたあの手で
望まない出費たとえば新刊を諦めて買う生理ナプキン
ヒーローが救えなかった少年を誰が一体責められるのか
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?