過去作 vol.38
工賃が最低賃金以下ゆえに成り立つ福祉事務所に通う
The End と書かれたメモが落ちていてここが私の墓地かと思う
ストローを噛みながら飲む癖さえも私の中に居座っている
トンカツの端に生息する犬と僕は次第に遊べなくなる
生活のかたち崩れて税金の督促状が赤色になる
あの人が僕の愛だよ心臓が弾け飛ぶまで踊りあうんだ
無印のアロマディフューザー眺めつつこの同棲も終いと思う
永遠の命を知っているような微笑みをして藤が香った
生活も崩れ始めたExcelがデスクトップに散らばるように
引っ越せば会わないだろう最後にさ漫画みたいな喧嘩しようよ
恋を捨て守ったはずの友情がなくなっていた同窓会だ
待ち受ける土鳩弁当またしても何も知らない大泉洋
九九さえも言えぬ彼らの生活を自己責任と言ふ父怖し
牛乳をアールグレイに注ぐので仲良くしてもいいと思った
伝票の規則正しい筆跡で誰が書いたか分かってしまう
故郷では生駒山から空が燃え君の寝顔を照らすのだろう
空色の日傘よ祖母の着物から生まれし空よ共に生きよう
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