宿敵(たにゆめ杯2応募作品)
そういえば公開していなかったと思い出したので公開します
上の画像は何の関係もありません(とてもおいしいカレーです)
宿敵
おさなごを悼んだニュースキャスターが明るく告げるスポーツのこと
生き延びてカウンセリングを受けている僕も死ぬべきだったのだろう
暴力を浴びて育った父さんは上手に僕を愛せなかった
愛人と消えてしまった母さんによく似た顔が今でも憎い
聖域の家を土足で踏み荒らし僕を救いにきてほしかった
亡命を 餓えも痛みもない場所へ僕の暮らしを手に入れるため
安住の景色はどうだ 泣き方を思い出すには足りない何か
チャーハンの連鎖は続く父さんも雨がちの日は米を炒めた
晩年は母に戻って保育所に僕を迎えに行かなきゃなどと
それゆえに宿敵である おそろしく未熟であった親の背中は
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