見出し画像

過去作 vol.44

車窓から見える町では穏やかに暮らせそうだと愚かに思う

渚には異界の門があるといふ口伝は今も故郷にありや

安心を得て眠ります完璧な僕の脳波を君に見せたい

教室で泣きたる時も校庭のドッジボールは盛り上がりをり

遠雷のようにスマホへ新しい人身事故の通知が届く

金星を君に例えて手を伸ばす触れられないと思っていたのに

人間が捕食者じゃない世界なら誰かのために生きられたかな

羽ありのナプキンを買い今月の食費についてを考えている

奇人ならいいのだろうか張り紙が一般人を断っている

恋人がいる男性を好きになる切り刻むならとことんがいい

言葉にはしてはいけないものそれは君の瞳の奥の光の

つけ麺のスープより濃い愛情を差し出せぬまま仕事に戻る

ドドンパと君が名付けた雑草が咲いたら旅に出ていくつもり

受け入れる準備をしない世間へと元受刑者は帰るしかなく

川沿いの春を過剰に浴びたので来世はチルい花になりたい

健常に生まれていても先生はできない子だと思ったのかな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?