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1minute七十二候

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七十二候は鳥や虫、植物、天候などの様子で季節を表現しており、細やかな自然の移ろいを感じることができます。 ここでは ゆとりある心づくりのヒントとして、1分でサクッと読める季節の話… もっと読む
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二十四節気と七十二候 一覧

順次「1 minute七十二候」の記事にリンクしていきます。 春立春(りっしゅん)   ・魚上氷(うおこおりをいずる)2月14日頃 雨水(うすい)  ・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)2月18日頃  ・霞始靆(かすみはじめてたなびく)2月23日頃  ・草木萌動(そうもくめばえいずる)2月28日頃 啓蟄(けいちつ) 春分(しゅんぶん)  ・雀始巣(すずめはじめてすくう)3月20日頃 清明(せいめい)  ・虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃 穀雨(こくう)

1minute七十二候 蛙始鳴(かわずはじめてなく)

立夏<初候> 5月5日から5月9日頃 春の終わりが近づき、新緑の息吹が感じられるこの時期、立夏を迎えて野原や田んぼでは小さな蛙たちが賑やかに鳴き始めます。蛙は、冬眠から覚め、産卵のために生まれた水辺へと帰る習性があり、そこから「帰る」という言葉を象徴するかのように、古来より縁起の良い生き物とされてきました。 蛙は、その名が「帰る(かえる)」と発音されることから、無事に何かが元の場所へ戻ることを願う縁起物として扱われます。お金が戻ることを願って、店先や家の玄関に蛙の置物を飾

1minute七十二候 牡丹華(ぼたんはなさく)

穀雨<末候> 4月30日から5月4日頃 春も深まり、いよいよ牡丹の季節到来です。この美しい花は、晩春から初夏にかけての短い期間、その豊かな色彩を披露してくれます。赤やピンク、白、紫といった多彩な色の花びらが、直径10〜20cmもの大輪で咲き誇り、私たちに春の終わりを彩ります。 牡丹はもともと中国から薬草として日本に伝わりましたが、やがて平安時代には宮廷や寺院で観賞用として栽培されるようになりました。今では、俳句や絵画、着物のデザインとしても人気のモチーフとなっています。そ

1minute七十二候 鴻雁北(こうがんかえる)

晴明<次候> 4月9日から4月13日頃 春が深まるこの時期、自然界では多くの生き物たちが活発に動き出します。その中でも、雁(かり)の帰行が始まります。冬を日本で過ごし、北のシベリアへと戻っていく雁たち。その名は「カリカリ」という独特の鳴き声から来ていると言われています。雁の姿は、別れと再会の季節の移ろいを感じさせてくれる存在です。 一方で、文化の面では「十三参り」という重要な行事が4月13日頃に行われます。関西地方を中心に、数えで13歳を迎える子どもたちが、知恵と福徳を授

1minute七十二候 玄鳥至(つばめきたる)

晴明<初候> 4月4日から4月8日頃 春の訪れとともに、温かい南の島から遠く日本へと旅をするツバメ。日本におけるツバメの存在は、古くから農作業の始まりを示す自然のシグナルであり、ツバメが作る巣は幸運の象徴とされ、ツバメ自身も農作物を守る益鳥として尊重されてきました。 かつて、ツバメがどこから来るのかは謎に包まれており、海の向こうの幻の国、常世国から来ると考えられていたそうです。しかし、今日ではツバメの長い旅路がよく理解されています。それでも、ツバメに対する私たちの感謝と尊

1minute七十二候 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

春分<末候> 3月30日から4月3日頃 この季節は 文字通り、不安定な大気の中、遠くの空で雷が鳴り響き、時には雪や雹が降ることもある時期。突然の天気の変化に驚かされることもありますが、それでも春は着実に近づいているのです。 雷の鳴る音は、昔の人々にとってはただの自然現象ではなく、神々の存在を感じさせるものでした。雷の語源が「神鳴り」とされることからも、そのような考え方がうかがえます。昔の人々は雷神が実際に空で雷を鳴らしていると信じ、その力に怯えていたと言われています。科学

1minute七十二候 桜始開(さくらはじめてひらく)

春分<次候> 3月25日から3月29日頃 春分の次候にあたるこの時期は、昼と夜の長さが等しくなり、自然界も新たな息吹に満ち溢れるとき。うららかな春の陽気に誘われるように、桜の花が開花し始め、「お花見」の季節の到来を告げます。 桜の下で過ごすひと時は、日本人にとって特別な意味を持ち、長い歴史の中で、その楽しみ方は時代と共に変化してきました。 奈良時代には、梅の花を愛でる貴族文化から始まり、桜を鑑賞する風習に発展しました。平安時代には、「花」と言えば桜を指すほど、その魅力は人

1minute七十二候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

啓蟄<末候> 3月15日から3月19日頃 「菜虫化蝶」—これは、厳しい冬を耐え抜いたさなぎが羽化し、美しい蝶へと生まれ変わる瞬間。3月15日から19日頃にかけて、春の柔らかな光を浴びながら、蝶々たちは新しい生を謳歌します。 中国の荘子が蝶になった夢を見たという故事(胡蝶の夢)からとって、昔の人々は蝶を「夢見鳥」「夢虫」とも呼んでいました。確かに、蝶々の舞う姿は、儚なく美しく、私たちに夢と現実の境界を問いかけるようです。 そんな蝶々の幼虫である「菜虫」は、かつては畑を荒らす

1minute七十二候 桃始笑(ももはじめてさく)

啓蟄<次候> 3月10日から3月14日頃 春の訪れと共に、私たちの周りは色とりどりの花々で彩られます。特に目を惹くのが、桃の花の優雅な開花です。桃の花が開く様子は、かつて「笑う」と表現されたほど、その美しさには人々の心を和ませる力があります。桃の花のピンクや白の鮮やかな色合いは、見る者に春の訪れを実感させてくれるだけでなく、その花言葉に込められた意味は、私たちにさらなる魅力を教えてくれます。 桃には「私はあなたのとりこ」「チャーミング」「気立てのよさ」「天下無敵」など様々

1minute七十二候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

啓蟄<初候> 3月5日から3月9日頃 春が訪れると、地下で冬眠していた小さな生き物たちが、一斉に外の世界へと顔を出します。この美しい瞬間は「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」という七十二候で表され、春の暖かな日差しを感じ取り、新たな生命の始まりを告げる時。「虫」とはいいますが、カエルやヘビ、トカゲなど、さまざまな生物が目を覚まし、新しい季節を迎える準備を始めます。彼らがまだうとうととしながらも地表へと這い出てくる様子を想像すると、思わず「おはよう!」と声をかけたくなるよう

1minute七十二候 黄鶯睍睆 (うぐいすなく)

立春<次候> 2月9日から2月13日頃 「ホーホケキョ」というウグイスの美しい鳴き声が、春の訪れを告げる時期です。年の初めに聞かれるウグイスの鳴き声は「初音(はつね)」と呼ばれ、とても美しい日本の言葉ですよね。 ウグイスの特徴的なさえずりは、雄鳥によるもので、気象庁は初めて聞いた日を「ウグイスの初鳴日」として記録し、これを梅や桜の開花と合わせて観測しています。初鳴きは一般的に温暖な地域では早く、沖縄や九州では2月20日ごろから、北海道では4月30日ごろから始まり、季節の進行

1minute七十二候 東風解凍 (はるかぜこおりをとく)

立春<初候> 2月4日から2月8日頃 暖かい春の風が、張りつめていた氷を解かし始める頃。寒い日もありますが、日差しや風の中にほんのりと春の気配が感じられるようになり、いよいよ春の暖かい足音が聞こえ始めてきます! 立春は二十四節気の「はじまり」の節気。新年の1月も一年の始まりではあるのですが、2月の立春くらいからいよいよエンジンがかかり始め、今年どう過ごそう、何をしようと勢いがついてくるように感じます。立春は季節的には「陽」に向かっている時期なので一年の計画を考えたり、実行

1minute七十二候 雞始乳 (にわとりはじめてとやにつく)

大寒<末候> 1月30日から2月3日頃 鶏が春の気を感じて卵を産み始める頃です。寒い冬もいよいよ終盤となり、鶏が卵を産み始めるために鳥屋(とや)にこもるという意味。 厳しい寒さに耐え春が待ち遠しい時期なので、昔の人はこの「雞始乳」の到来を、きっと大いに喜んだ事でしょう。 現代は一年を通していつでもスーパーで卵を購入することができますが、自然界の鶏の産卵率は日照時間が長くなるにつれ上るため、春から夏にたくさん卵を産むようになるそうです。 昔から私たちの暮らしと深く結びついて

1minute七十二候 水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)

大寒<次候> 1月25日から1月29日頃 沢の水が氷となり張りつめる頃です。この時期、各地では一年の最低気温を記録することが多く、京都でも朝晩は氷点下に達し、つらい底冷えに耐える日が続きます。 冷たく澄んだ空気の中で雪や氷が作り出す景色も、とても美しいものです。田畑や外に停めた車におりた霜、街路樹に積もった雪、軒下のつららなど… 自然が作り出す唯一無二の芸術が身近にはあります。春の到来が待ち遠しいですが、せっかくならば今だけのこの寒さも楽しんでみるのも良いかもしれません