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今さらだけど、本屋大賞2024について

本屋に行きたくても体調が悪くてなかなか行けない期間が続いた。大量購入した重い本を持って帰る自信もなかった。
そんな時はやはりAmazonのお世話になってしまう。
でも、実際の書店と違って、中をぱらぱら見ることなどはできない。何を買おうかと考えて、「本屋大賞」のノミネート作品ならまず間違いないかなと思った。多少の趣味の違いはあれど、「まったく面白くなくて大失敗した!」なんてことにはならないだろう。
そう思い、いくつか買ったので、今年は本屋大賞のノミネート作品をわりとたくさん読むことになった。(いつもは2冊くらい)

<読んだ本>
凪良ゆう『星を編む』
青山美智子『リカバリー・カバヒコ』
津村記久子『水車小屋のネネ』
宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
川上未映子『黄色い家』
小川哲『君が手にするはずだった黄金について』

<読んでいない本>
夏川草介『スピノザの診察室』
塩田武士『存在のすべてを』
知念実希人『放課後ミステリクラブ』
多崎礼『レーエンデ国物語』

トップの写真に『リカバリー・カバヒコ』だけがないのは、本屋大賞とは関係なく、私が青山美智子さんのファンで、発売されるとすぐに買い、すぐに読み、すぐに友達に貸したからだ。(まだ返却されていない)
公園にあるカバの乗り物、カバヒコ。悩みがあるとカバヒコに触れると解決するという都市伝説のようなものがあって……。というストーリーなので、ファンタジーなのかと思って読んだら全然違った。(それがよかった)
カバヒコはいつも「きっかけ」にすぎず、解決していくのは自分自身。青山さんの本は読むと元気が出る。明日もがんばろうと思える。「本っていいな」と思えるから好きなのだ。

結局、本屋大賞2024は、『成瀬は天下を取りにいく』だった。
これは本屋大賞が決まってから、どんなもんかいなと思い、読んでみた。
単純におもしろかったし、滋賀県が舞台というのも珍しく、関西に住む者としてはイメージもしやすかった。
ただ思ったのは、この本ですごいのは「成瀬」じゃない。「島崎」だ。
成瀬は学年に一人くらいはいそうな、単なるマイペースの変わり者だが、その成瀬と普通に付き合って自分も楽しめる島崎みたいな人はなかなかいない。私は終始「島崎、すごい!」と思いながら読んでいた。
深みはないけれど、気軽に楽しく読めるし、ちょっと何か本でも読もうかなーという人にはおすすめ。

一方、川上未映子さんの「黄色い家」は重かった~!
「乳と卵」「ヘヴン」「すべて真夜中の恋人たち」「夏物語」くらいしか読んだことがないが、相変わらず重い。読んでいる間中、心がひりひりしていた。「やりきれない」という言葉がぴったりくる。
子どもは親を選べない、環境で人は変わる、みたいなことがストーリーのテーマなのかもしれないが、私はこれは「罪悪感」と「良心」とは何かを問う物語だと思った。
主人公の「花」がそういう意味でまともな人間すぎて、常に罪悪感に苛まれているのが読んでいて辛かった。

「水車小屋のネネ」については、少し前に軽く感想を書いた気がする。
これが大賞でもよかったんじゃないかなと思う。分厚さを感じさせないほどすいすい読めるし、ネネというヨウム(鳥)を中心に、人々が素朴に日々を生きていく。あたたかみもあり、読後感の良い本だった。

凪良ゆうさんも大好きなので、ノミネートには関係なく買って読んだ。「汝、星のごとく」の続編ということで期待して読んだが、正直なところがっかりしてしまった。「汝、星のごとく」が良すぎたからかもしれない。
作者は本当にこれを書きたかったのかな、とまで思った。「続編、書きましょう!」と編集部に言われて書いたのでは?と思ってしまうほど、なんとなく残念な本だった。たぶん「知らないほうがよかった」ことが多かったからだと思う。「汝、星のごとく」でちょっと謎めいていた部分や、あの人はあれからどうなったんだろうと思っていた部分が明らかになって、それが蛇足というか、明らかにされないままのほうがよかったなと思ったのだ。

『君が手にするはずだった黄金について』については、現在読んでいる途中。まだ3分の1くらいだが、ちょっと入り込めていない。体調が悪い時に読んでいたこともあるかもしれないので、いい感じの時に一気に読みたいと思う。

というわけで、ノミネート10作品のうち6作品を読んだので、せっかくだから残り4作品もこの後読んでいこうかなと考え中。
夏川草介さんがな~、「神様のカルテ」が私は全然受け付けなかったので、読もうかどうか悩むところ。何が好きじゃないとか、何が苦手とか、言葉にするのは難しいのだけど、「なんか合わない本(文体)」ってある。でも、今回は挑戦してみよう。(これでだめならもう読まないことにする)

休薬中の体調がいい時に、久しぶりにゆっくり本屋をめぐりたい。
Amazonは便利だけど、やっぱり本屋が好きだ。それは本に囲まれているだけで幸せということもあるけれど、思いがけない出会いがあったりするから。
今は「電子」も「聴く」という方法もあるけれど、紙の本をめくるのが一番いい。古い人間と言われても。


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