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映画 うみべの女の子を観たって話

9月15日

映画の台詞で今日が磯辺の誕生日だったということを思い出した。

あ、今日か...。

この偶然に運命というものを感じるほどもう、子どもではなくなっていたことに気付かされた。

思い出してみれば、私はどうしようもないロマンチストでそのロマンを語る相手がいない今、私はリアリストに近いのかもしれない。

浅野いにおを知ったのはある男の子からの一言がきっかけだった。

「僕が君を拒絶する理由が知りたいのなら、おやすみプンプンという漫画を読んでみるといいよ」
 
なんだそれ。と怒りと悔しさが混ざりながら読んだおやすみプンプンは結局私の宝物の一つとなってしまった。

ぐちゃぐちゃの感情、どろどろとした自分の内側を魅力的に表現出来てしまう浅野いにおの世界にはまり、彼の策略にもまんまとはめられたのだ。

しかし、彼が私を拒絶する理由は分からなかった。彼はプンプンではないし、私は愛子ちゃんでもない。

浅野いにおの世界を見たい、彼の言っている意味を知りたいと漁っているうちに、うみべの女の子と私は出会った。私の中にあった彼への好意を丸裸にしたのがこの「うみべの女の子」

それくらい彼の臆病さは磯辺で、私のどうしようも無いズルさは小梅だった。
私は彼のことが好きだったと気づいた時にはもう遅く、私の彼への好意を泣きながら伝えた時もありがとうと笑っていた。    

その後、彼がどうしているのかは分からない。
きっと、どこかで元気に生きているのだろう。

漫画と違って、映画はより一層リアリティを浮き彫りにして酸っぱすぎる青春が脳内で再生され、映画終わりは映画の余韻ではなく、思い出の余韻に浸った。

「どうだった?」

「いや、思ってたのと違った」

私の余韻の中に若い女の子声が聞こえてきてふりむくと映画終わりの女子高校生3人組が話していた。    

「てか、なに??あのラストw w w 
海!!!!!って意味わかんなくない????」

「それな!!あそこで笑いそうになった」

「セックスしすぎだろ!!」 

静かな映画館の中に響き渡る声に周りの客の注目の的となっていた。

あぁ....、これこそまさに
私はそれを聞きながら、本物うみべの女の子を感じていた。

大きな声で映画の愚痴を言う女子高生、その後に店員さんにあの子たちに年確しました????って女子高生の年齢をニヤニヤしながは確認するおっさん、なんとも言えない表情で帰るカップル、自分の過去のに重ねる女、私も含めた全ての人間が映画の1部のような気がした。

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