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「SK∞ エスケーエイト」はどこに向かって滑っていくのか。

2021年冬アニメのひとつ「SK∞ エスケーエイト」が楽しいぞという話です。

「男たちが何かに熱中する物語が好きだ」「ボンズのアクション作画が好きだ」「ガンダムはさておきガンダムビルドファイターズが好きだ」という人は試しに見てみてもいいんじゃないでしょうか。

本項には「SK∞ エスケーエイト」の第5話までのネタバレを含みますので、内容を知りたくない方は回れ右をしていただければと思います。

最新話のネタバレを含んでいない理由は「アニメはニコニコ動画で木曜日の夜に見る」というマイルールにより最新回からざっくり1週間程度遅れているからと、私の筆が遅いからです。最新回を既に視聴している人が読むと今更感があるかもしれませんし、それはそれで面白いかもしれません。

公式サイトのあらすじは以下の通り。

「そのとき俺は確かに見たんだ。この沖縄に舞う、白い雪を─...」
スケートボードが大好きな高校二年生・暦(レキ)がハマっているもの――......それは"S"。
「S」とは、閉鎖された鉱山をスケートボードで滑り降りるルール無用の危険な極秘レースだ。
中でも、そこで行われる「ビーフ(決闘)」に多くの人々が熱狂していた。
暦(レキ)はカナダからの帰国子女で転校生・ランガを「S」に誘う。
スケートボードに乗ったことのないランガだが、「S」の熱狂は構わずランガを巻き込んでいく。
裏の顔を持つ個性豊かなスケーターたちと繰り広げられる、サイコーでアツいスケボーレースバトル×無限の可能性が今、ここに始まる──!!

舞台は沖縄。スケートボードを愛しているけど仲間があまりいない赤髪の暦のもとにスノーボード経験者の青髪のランガが転校してきて、二人がスケートボードを楽しむ物語。この二人の関係性の対比がいいんですよね。一見すると暦が動、ランガが静。しかし内面は暦が静、ランガが動。意地っ張りで静かにやんちゃをするのがランガです。

序盤は暦がランガにスケートボードを教える構図です。しかしそれはスノーボードに慣れたランガがスケートボードに慣れていないというだけで、滑ることについての勘のよさはランガの方が優れています。今のところは暦がレースをしても噛ませ犬のようなポジションで、暦がスケートボードを自作できることもあり、ガンダムビルドファイターズで言えばガンプラを作るビルダーとガンプラを操縦するパイロットの関係のようにも見えます。

そんな二人がずっと仲良くやっていけるのかと言われると何だか決別しそうな予感がしてきました。OPでもランガが消える演出がありますし、第5話あたりで、暦とランガの「S」に対する姿勢や哲学のすれ違いが見えてきたからです。最終バトルは暦vsランガになるんじゃないでしょうか。というかなれ。好きだ。

ここしばらくは愛抱夢(あだむ)戦に焦点があたっていました。愛抱夢は「S」の創始者。現時点で最速最強です。声を担当するのは子安武人さん。もう子安さん以外のキャスティングが考えられない、よい意味で気持ちの悪いキャラクターです。ラスボスに相応しい歪み方をしています。ランガのことが大大大好き(片想い)。第4話で暦はボコボコにされ、第5話でランガは愛抱夢の大技を破り健闘しますが警察の介入により勝敗はつかず。この勝負を機に愛抱夢はますますランガのことが気に入ります。ランガはランガで愛抱夢と滑りながら未知の感覚を味わっており、愛抱夢サイドに落ちてしまうのではないかと、そんな気がしています。

ランガが去ってしまえば、また暦はひとりになってしまうのか。ここがまた面白い。絵に描いたようなチュートリアルボスでいまや名ナビゲーターのシャドウ、生意気だけれど腕は確かなMIYA、愛抱夢とワケアリだけれど詳細はよくわからない理解ある大人枠のCherry blossomとジョー。第5話までの物語を通じて、暦は自分より格上の個性豊かな仲間たちとの交流を深めてきました。彼らから学ぶことができれば、暦にはまだ高みに登れる余地が残されているのです。ひとりだったこれまでの暦とは違うのです。

「ビーフ(決闘)」には必ず何かを賭けなければならないルールがあります。暦とランガは一体何を賭けて何のために戦うのか。これからの展開に注目です。

……いや、本当にランガが去って暦と対峙する日が来るかどうかは知らんけど。私の好みで言えば、暦が「ランガを返せ」で愛抱夢をくだし、その後にランガと真剣に、でも笑いながら滑ってほしいなと思っています。

疾走感のある演出を得意とするボンズが手がける大人も子供もスケートボードに熱中する世界。そろそろ折り返しで振り返り一挙放送があったりなかったりする頃合いだと思われますので、ご興味とご都合あえば是非。

余談
OPを見たときに「なんか雰囲気Free! っぽいなぁ」と思ったらズバリ監督がFree! と同じ内海紘子さんでした。私の直感も捨てたものではありません。シリーズ構成はプリンセス・プリンシパルを担当された大河内一楼さんです。信頼できる。

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