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韓国BTSメンバーの入隊に思う、困難な道を選ぼう VS 逃げるが勝ち

基本、在宅勤務で、オフィスにあまり来ないもぐらさんがボクのデスクにやって来た。今日、なんとなく、やってくる気がした。

「のっくのっく」。もぐらさんのいつもの登場の挨拶。
「あれ、今日は出社なの?」
「お疲れ様です。はい、です。で、お伝えに来ました。ご存知かと思いますが、行ってしまいました。そして行ってしまいます」。
「でた、BTSでしょ?」
「あ、さすがですね。ボクさんももはやアーミー?」
「いやそんなことは。。。」
「わたしの一押しのテテが今日から兵役に。1年半ほどみたいです。そしてグクは明日行ってしまいます」。

BTS大好きなもぐらさんが、それをカミングアウトしている相手はボクだけ、とのことで、事あるとおしゃべりに来ます、BTSネタを。

韓国には兵役義務があります。年齢の数え方が韓国では複数あるので、正しく理解していないのですが、19-30歳の間の義務らしいです。BTSメンバーも既に3名が入隊済み。今日、もぐらさん一押しの方も入隊です。アイドル活動は当然に休止ですね。

ところで、休止と言えば、北朝鮮と韓国もまだ「終戦」協定を結んでおらず、「休戦」協定を結んでいるだけなので、厳密には「休戦」中です。

北朝鮮は120万人ほどの兵力。中国は200万人ほど。韓国は50万人ほど。韓国の米軍は2万8500人規模。らしいです。人数だけの問題ではないけれど、意図的に分断された南北とこの兵力差で一定の緊張があるでしょう。

なので、韓国では18ヶ月~の兵役が原則、義務、です。

「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」(山田耕介・山田侑平訳、文藝春秋)という1100ページを超える大作があります。デビット・ハルバースタムという、交通事故で亡くなってしまいましたが、アメリカを代表する「最も偉大」と称されるジャーナリスト、の作品。読み応え有る非常に骨太なノンフィクション。

挑戦戦争は、第二次大戦とベトナム戦争の間に挟まれアメリカでは「”忘れられた”戦争」。

かわいがっていた弟みたいな中国が共産党化しショックなアメリカ。朝鮮半島はソ連とアメリカで38度線で南北に分断し占領することで合意。その後、韓国と北朝鮮が建国。すると中国の後押しで北朝鮮が38度線を越えて南下、攻めてくる。

中国は失ったが韓国は死守せねば、とは思うものの第二次大戦で勝利した奢りで、余裕で勝つ・すぐ終るさ、と高をくくる。これが最悪事態を生む。ぬくぬくした日本からマッカーサーが現場に行かずに、現場を知らずに、指揮し、混乱に混乱。死闘の死闘。極寒の冬の半島で、夏服で戦う前線の兵士、そんな状態。中国軍は来ないよ、なんて言い切るが、そんことはない。無駄死に多し。そんな戦争。ベトナムの泥沼の前哨戦。

クリント・イーストウッド監督・主演の2008年の映画「グラントリノ」。ボクはとても感動しました。彼が演じるは朝鮮戦争からの帰還兵の頑固オヤジ。罪亡き人も殺したと今でも心に傷を負う。人生をかけて自分の信念を、自分らしさを貫き、少数民族の青年・家族を守る。ベトナム帰還兵を扱う映画は多いが朝鮮戦争はあまり知らない。忘れられた戦争。

1953年7月の休戦協定から70年。こんな当時の記憶はもはや社会から薄れているのでしょうが、ただ、残り得るとしてもこんな苦しい記憶。だから、一定の緊張感が今でも当然にあるのでしょう。

留学時代にアメリカで出会った韓国人の友人。海外で育ち大学がアメリカ。韓国に住めず兵役の年齢を超える。その後、韓国に戻る。戻って一番にしたことが筋トレ。細身だったがかなりマッチョになった。しょうがなく義務を果たせなかった負い目もあるのか、厳しく自身を鍛えた。兵役に参加していない事実は変わらないけど、見た目だけでも同じにしておきたい、そんな気持ち。

逃げた訳では決してないが、「未経験=逃げ」との定義は可能。だから、選択できるなら、より困難な厳しい道を選ぼう。でないと、逃げた気持ちが付きまとって心が晴れないよ。迷ったらより困難な道を選ぼう、とは、そう言うことの示唆か。

一方で「逃げるが勝ち」、これも真実。心が廃れるまでも我慢する必要はない。辛くても続けると胆力がつくのも真実だろうが、辛すぎて病むなら逃げるべし。どちらも正解。自分の心に正直であるしかない。

現代の兵役での厳しさは昔ほどではない(らしい)。想像に難くない。どこもコンプラだらけ、優しい社会になっている。頭は坊主が必須だが、携帯も持ち込めるし、毎日携帯を触れる時間もあるし、部隊紹介のコミュニティサイトなんてのもある。BTSのすでに兵役についているメンバーもSNSへの投稿をちょくちょくしている(らしい)。

そして、「厳しいから強くなるわけではない・厳しくなくても強くなる」という思想。現代社会の発見、だと思う。

読んで頂きありがとうございます。
(職場を/人生を良質にするコンセプトv6_63)


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