アメリカ軍の麻薬取締部隊JIATFSについて

概要

JIATFS(Joint Interagency Task Force South)はその名の通り多数の省庁や多数の国々と共同で対違法密輸作戦を遂行するアメリカ軍の統合任務部隊(Joint Task Force: JTF)である。司令部はフロリダ州にあるキーウェスト海軍航空基地にある。本部隊は、主に中南米を管轄するアメリカ南方軍(SOUTHCOM)隷下のタスクフォースである。1989年法執行機関の薬物取り締まりを支援するために設立された。指揮官(2024年1月現在)は米国沿岸警備隊のマーク・J・フェダー少将(上級)。

歴史

JIATFSは1989年から活動している。薬物取り締まり活動の統合された指揮系統の必要性から、1989年の国家権限法(NDAA)は国防総省(DoD)を、米国内に空、海を介して試みられる薬物の流入に対する探知および監視プログラムの主導機関として指定した。大西洋およびカリブ海、太平洋、そしてメキシコ国境における対薬物警戒監視を指揮するために、CJTF-4(フロリダ州キーウェスト)、CJTF-5(カリフォルニア州アラメダ)、そしてCJTF-6(テキサス州エルパソ)がそれぞれ設置された。そして1993年10月3日付大統領決定令で、アメリカ軍対薬物組織の組織改編が決定された。

1994年4月7日、国家麻薬統制政策局(ONDCP)局長のリー・ブラウン博士が、三つの省庁間任務部隊の設立を指示している国内取締指揮統制計画に署名した。その三つの部隊とはそれぞれJIATF-E(フロリダ州キーウェスト)、JIATF-S(パナマ)、そしてJIATF-W(カリフォルニア州アラメダ)である。

1997年6月1日に南方軍最高指揮官は管轄エリアをカリブ地域や南米に接する海域まで拡大させ、そしてJIATF-Eの指揮統制を引き継いだ。1979年のパナマ運河条約と1999年末までにパナマでの軍縮の必要性に従い、JIATF-SとJIATF-Eが一つの組織に統合するための決定がなされた。JIATF-Sから統合されたJIATF-Eへの任務の移管は1999年5月1日までに完了した。そして2003年にJIATF-EはJIATF-Sに改名され現在に至る。

関連組織及び関係諸国

JIATFSのリーダーシップは主に以下の機関の代表者で構成される。
・国防総省
・米国沿岸警備隊
・アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)
・麻薬取締局(DEA)
・アメリカ国家安全保障局(NSA)
・中央情報局(CIA)
・連邦捜査局(FBI)
・アメリカ国防情報局(DIA)
・アメリカ国家地理空間情報局(NGA)
・アメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)

また以下の20か国がリエゾンを派遣している。
・ブラジル
・コロンビア
・ドミニカ
・エクアドル
・エルサルバドル
・フランス
・メキシコ
・オランダ
・パナマ
・ペルー
・スペイン
・イギリス
・アルゼンチン
・カナダ
・コスタリカ
・ホンジュラス
・ジャマイカ
・トリニダード・トバゴ
・グアテマラ
・チリ

主な幹部

司令:マーク・J・フェダー沿岸警備隊少将(上級)
副司令:ラリー・レグリー海軍少将もしくは准将
参謀総長:ウォーター・B・スウェイン空軍大佐
情報分析部長:ジョセフ ”ジョイ” ハリソン海軍大佐
作戦部長:ポール・J・ゴーゲン海兵隊大佐
先任曹長:コディー・フロートン沿岸警備隊曹長(いずれも2024年1月現在)

次回はこのJIATFSが南米→北米の麻薬密輸のカギを握る可能性について述べる。

(毎情報更新時に本ノートもアップデートする予定です)

参考資料

Leadership (southcom.mil)
JIATFS - Welcome Guide.pdf (southcom.mil)
Joint Interagency Task Force South - Wikipedia
JOINT INTERAGENCY TASK FORCE SOUTH > About Us > History (southcom.mil)


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