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『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション前章』原作未読初見感想

※一部シーンや展開などのネタバレ注意(ストーリーの核心や結末等には触れていない)

作品の概要

 『おやすみプンプン』等が代表作の漫画家、浅野いにお先生による漫画作品『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション』を原作とした映画作品。前章が2024年3月22日公開。後章が2024年5月24日公開予定。

演技

 本作では幾多りらとあのが主演声優を務める。「本職の声優でも役者でもない奴の演技とか大丈夫か?」と数々の映画を芸能人吹き替えによって台無し、とまでは言わないが何とも言えない出来にされたことで芸能人吹き替えに懐疑的になった映画オタクが見ても、そこまで引っかかることはないと個人的に思った。
 幾多りらについては『竜とそばかすの姫』で声優経験があるので納得なのだが、あのについては初?(調べた範囲では初の仕事だった)の声優挑戦で違和感がなかったので素直に感心した。
 この違和感のなさは、本人達の演技力も勿論だが、作風やキャラデザが声と合致していたのが大きいのだろう。これが例えば、洋画の吹き替えもしくは『闇金ウシジマくん』系の作品だったらこうはいかなかったので、ナイス人選だと感じた。

作画・映像

 リアルな東京の街並み、独特だが実にアニメ的で可愛らしいキャラクター
現実と同じような街に浮かぶ異質な母艦や兵器の数々。どれも丁寧で綺麗な作画だった。調べたら制作会社は結構新しい会社だったので、驚きと同時に後章の公開日がズレたのも合点がいった。ここまで作るのさぞかし大変だったんだろう……後章もどうかスタッフの健康は守りつつ頑張って欲しい。
 個人的にお気に入りのデザインは「歩仁」と「侵略者」だ。歩仁はシンプルにデザインがカッコいい。レーザー武器を持つ四足歩行のロボット兵器……たまらん。「侵略者」の方は前章では中身は出てこなかった(そもそもあるのだろうか)ので、ぬいぐるみサイズの宇宙服を着た小人?のイメージで、どこかAmong Us風味で少し可愛らしい。しかし可愛さ、親しみやすさだけでなく、ぬいぐるみではない生物的なキモさも併せ持つ。何故なら、宇宙服の下の肢体には綿ではない肉や骨があるという重さがスクリーン越しに伝わってきたからだ(これで後章で侵略者の中身がドロドロのスライムとかだったら一人相撲すぎる)

キャラクター

 良キャラが多かったが、今回は主人公二人と特に印象に残った一人のキャラについて触れたい。

おんたん

 おんたんこと中川凰蘭。予告などでよく出てくる女の子二人の内ツインテールの方。予告編を見た際、浅はかな私は「あーよくいるオタクで天才型ダウナーな美少女キャラね」と思い、さほど興味を持っていなかった。しかし鑑賞してすぐに分かった。「このキャラ滅茶苦茶愛しいし良キャラじゃん!」
 親友の恋路を応援しつつも寂しがったりは序の口で、仲良しグループの一人からの軽口で大学生になったら疎遠になるかもねー的な事に「そういう冗談嫌い……帰るね」って言いだすのよ、この手のキャラなのに。可愛すぎ。寂しがり屋で、友達を大事にしていて……暖かい気持ちになった。ここと確信に触れるので言えないがとある二つのシーンで一気に魅了された。

門出

 小山門出。予告などでよく出てくる女の子二人の内メガネの方。彼女に関しては全てがネタバレになるので詳しく言えないが、一つだけ。
彼女の行動は心に抱えきれるもののキャパを越えてしまった人間が取る行動として非常にリアルだった。彼女がどうなっていくのかも、後章の楽しみの一つだ。

小比類巻

 某ミスターストイックなキックボクサーを連想する名前だが、本作の彼はサブカル系マッシュ男子高校生だ。ネットの情報に溺れ、どんどんと先鋭化していった彼の姿は、全く他人事とは思えず、印象深い。私自身、コロナ禍の時は将来への不安や社会への不満と暇に脳を支配され、ネットの情報で溺死しかけてしまったのだ。幸い私は浅瀬で戻ってこれたが、作中の東京に
いたら確実に彼と同じように精神を病んでいたと思う(というか恋人もできないからもっとやばかったかも)。小比類巻の今後も、門出と同じく非常に気になるところだ。

脚本・ストーリー

 正直後章を見てみないと何とも言えない。面白かったには面白かったのだ。二時間全く飽きることなく、今もデデデデで頭が一杯だ。ただ、疑問は何一つ解決しなかったどころか増える一方だった。まさに前章に相応しい。
二本揃って完結する作品だと感じた。なので、後章を見なければ、明確に面白かったと判断できないと現時点では思う。
 ただ、確実に言えることは、今すぐにでも後章を見たい。

総評

 点数は後章への期待を込めて100点。しかし原作の再現度に関しては未読なので何とも言えない。ごめんなさい。ただ、私のように未読でも、むしろ未読だからこそ逆に展開が一切予想できず、ワクワク感でより楽しめるのかもしれない。

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