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34 木のベンチに木のように人眠って冬

 句集「むずかしい平凡」自解その34。

 もうずいぶん昔のことですけれど、冬の上野公園で見た風景。それがわりあい最近になって頭の中で映像化されることがあって、なんなんだろう、と思いながら句にしてみた次第。

 「木のベンチ」が唯一の救いでしょうか。なんとかしっかり眠って、今日を生き延びていってほしいなと思いますが、この国の非情さは、なかなか木のベンチに眠る人には届きにくいところがありますから、どうなったんだろうか、と今も思うことしばしば。

 私の住む地方都市でも、地下道などで段ボールにくるまっているひとを見かけます。

 また、見えないけれど苦しんでいる人も多いんだろうなあ。

 明るい句なかりではなく、暗い句も。でも、暗いだけでなく、そこに明るさも加えながら。

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