見出し画像

『住む』より『暮らす』

最近読んだ本に書いてあった。その本は、

『幸せをお金で買う』5つの授業

通勤時間が長いほど幸福度が下がる

実際には、都会ではかなり長い通勤時間だとよく聞く。1時間や2時間は当たり前だと。満員電車なんかの映像もよく見た。乗車率120%とかなんとか。もはや溢れとるやないか、と思うけど、どうにか乗れるもんなんやな、と。あんな思いして通勤するんはしんどいやろな〜とも思った。

しかし、この本には、車で遠方から通勤するほうが精神衛生上よくない、とのことだ。都会の話が中心な感じはしたが、渋滞に巻き込まれて、リミットの時間が迫ってくるのは、やはりきついのかもしれない。その点、満員電車でも時間にはキッチリ着くし、電車が遅れる事実はちゃんと履歴に残るし、要因が自分ではない、というのがいいのかもしれない。車だと「もうちょっと早く出てこいよ」、と直接言われなくてもそう思ってるやろな〜と、想像してしまう。

ただ、都会で中心部に住むとなると、かなりしんどい。賃貸にせよ、売買にせよ、お金がめっぽうかかるということだ。中心に全てのオフィスがあることが、そもそも間違っているということなんだろう。コロナ禍によって、だいぶ都心部のオフィス離れが進んでいるというが、そう簡単に全てが動くということにはならないだろう。

地方での住宅需要がウッドショックを誘発

アメリカや中国では、コロナをきっかけに密になる都会で住むのを嫌って、郊外に住宅を構える動きが活発らしい。まあ、そのせいで、ウッドショックも起こっているという。アメリカでは国内需要が多いので、輸出自体をストップさせており、カナダの材木も独占している。中国は、近隣含めて木材輸出先を軒並み確保して、国内需要に対応している。日本は、カナダやヨーロッパの輸入材に建築は頼っていたので、そこから材木が来ないと立ち往生してしまっている。建築が進まなくなってきている現場もあるらしい。モノが希少になると起こることは値段が上がることだ。

3年前の胆振東部地震で函館近郊も停電を経験したが、懐中電灯の電池を買いに行くと、単一電池が1個500円と言われたらしい。すぐに手に入らないという現状と緊急を要することがこういうことにつながっていく。材木も木材会社に価格が2倍から3倍になることを覚悟しておいてくれ、と言われるらしい。

しかし、冒頭の理論でいくとアメリカも中国も地方に家を求めて動くと自ずと通勤時間が長くなる。交通機関が充実していないと車という選択肢も増えてくるはず。リモートワークをする人もいるだろうが、やはりそれでやっていける人の割合はそこまで高くないだろう。経済的に大きな流れにならなければいいが。

家を新しくしても幸福度は上がらない

そもそも新しく素敵な家を買うことによって幸福度が増す根拠はないらしい。購入、所有、引越で満足度は一時上がるが、生活や人生に関する幸福度は上昇しない。物質的な買い物よりも経験的な買い物の方が明らかに違いがあるという。

カナダは、住宅購入の優遇を減らすことによって物質的な買い物の誘惑を減らしている。買い物の代わりに経験の制作を奨励している。交通、除雪、学校、公園の外観の維持と都市の美しさ、または物理的環境への評価の高さが暮らす全体的な幸福の重要な予測因子になっている。住む街の環境が望ましい状態であれば、公園でのピクニックや夜の街への外出など、人々は自ら容易に経験を楽しむことができる。他にも博物館や国立公園、その他文化施設などを支援することが多く、お陰で国民は手頃な価格で経験的な買い物をしやすくなる。とある。

最近でこそ、なんだか『経験、経験』と言い始めた気がしていたが、2014年の著書ですでにこういったデータがあったんだな。

ということから、家は必ず必要なものではあるが、それにこだわり過ぎてしまうよりももっと経験的な買い物や体験をするほうが、生活にとっての幸福度は圧倒的にいいということだ。

『家は3回建てないと満足いく家にならない』

なんてことを昔はよく聞いたが、これは、3回目くらいになるとだいぶ年齢も取っているだろうし、「こんなもんだろうな」という妥協や諦めもあったかもしれない。そして、普通の人には無理だろうから、実現不可能に近い例え話のようなもんだろう。

自分は、不動産業に従事しているので、住まいに対して興味がなくなると困るといえば困るのだが、あまりにも『家』にこだわりや思い入れを強く持ちすぎている人が多いのも確かだ。ある程度の場所とある程度の環境で折り合いを付け、実質はそこでどう暮らすか、ということが非常に大事ということなのだろう。

『家に住む』のではなく、『まちで暮らす』ことを重視して、ここならこんな経験的な買い物や体験ができそうだ、自分の思い描いた暮らしができる、ということを重要視するほうが、幸福を得られるはずだ。

それを意識して不動産も進めていこう、それとともに街に対してなにができるかを考えて、とにかく動いていこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?