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主に現実逃避がてら更新しています。77年式、東京生まれベッドタウン育ち。思ったよりもホメてのびます。 https://monolith.site/

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    とりあえず365回書いて観るだけの雑記

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さっきからロイヤルロイヤルうるさい

何となく電車に乗って終点駅の知らない街にやってきた。特に用事はなかったけれど、せっかく来たのだからどんな場所か見てやろう。そんなつもりでいた。 改札を出ると目の前に小さなフードコートがあった。軽食のテナントがいくつか並び、たくさんのイスと机が並んでいる。中途半端な時間だったこともあるのか、食事をしている人は見当たらない。学生がノートを広げて勉強している姿が目立つ。 お店を何となくながめて、パン屋の前を通り過ぎた。小さなパン屋のレジには「ブレンドコーヒー」の文字があった。そ

    • 焼き芋論争の行く末、街角の3分間事件簿

      午前中の仕事を終えて、お昼ごはんを求めて街に出た。自転車にまたがると、すぐに公園で遊ぶ子供達の声が聞こえてきた。 日があるうちは暖かいが、日陰は寒さが気になる。すっかり秋めいてきた。そんなことはお構いなしに、飛び跳ねる子供達のエネルギーがうらやましい。 団地の角を曲がると、石焼き芋の移動販売車が止まっていた。この秋、はじめて出会った季節を感じる車だ。 見れば、そのかたわらで杖をついたじいさん達が口論している。芋屋のおじさんはどうしたものか? とそれを困った顔で見守ってい

      • 深夜そば、うどん

        深夜の立ち食いそば屋は、おばちゃんがネギを刻む音とラジオの音だけが聞こえた。音の邪魔をしないよう「春菊、そばで」とだけ伝えた。 そこへ道路工事の警備をしていた小柄のおじいさんが入ってきた。 おじいさんは券売機の前で「何にするかな?」「これは押せばいいの?」「セットはないの?」と矢継ぎ早に質問した。 すると、おばちゃんはなにか面倒くさそうに「はい」とだけ答えた。一体何に対するYESだったのかわからないけど、それからおじいさんは天ぷらそばを頼んで「あ、うどんに変えて」と言っ

        • ダムド(仮) 02

          ジョナサンとの出逢い「アサマ、高等教育はどうするつもりだ?」  奉仕労働に入ってしばらく経ったころ、労働監督官に聞かれた。作業は毎日ヘトヘトだったが、いくらかそれにも慣れてきた頃だ。  労働監督官の名はジョナサン・ゾラ。彼はは短く刈り上げた頭にいくらか白髪が交じっていた。  それがかえって年齢を混乱させたが、顔立ちだけを見れば二十代前半といっても通用するように見えた。彼は、サンビカの現場スタッフとは異なり、制服を着崩さず、身なりを整えている印象があった。  それまでジ

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        記事

          ダムド (仮) 01

          地獄に堕ちた野郎ども 本当はどこでもよかった。たまたま就職先が「お国」だったもんだから、安定収入の官僚殿なんて冷やかされるが、この国の就業労働人口の約半分は国の関連機関で働いているんだ。とくにほめられたことじゃない。  それでも、おふくろは喜んでくれた。なにしろ流しの運び屋だったオヤジが事故で倒れてからこっち、家族は社会保障で食いつないでいるような状態なんだ。にも関わらず「一粒ダネ」の息子は高等教育を早々にドロップアウト。クライムレースにうつつを抜かした。そりゃあ、たまらな

          ダムド (仮) 01

          隣席でいい大人の息子と母親がもめている。

          カフェの隣席でいい大人の息子と母親がもめている。すぐ隣でなくとも聞こえる大きな声だった。 横目でちらちらと確認しただけだからわからないけれど、いい大人の息子は子どもっぽい口ぶりではあるものの、たぶん30才目前ぐらいだろう。子どもっぽい口ぶりは母親の前だからかもしれない。 息子、母の再婚を嫌がる。いい大人の息子は劇団員のようで、その母親は近く再婚するらしい。再婚相手はいい大人の息子を嫌っていて、それは挨拶をしないから、らしい。 いい大人の息子の言い分は、アイツはいちいち文

          隣席でいい大人の息子と母親がもめている。

          カレーライス(仮)03

           正直、あまり悩んだことがない。子どもの頃から大きな夢を見たこともなくて、どちらかと言えばノンビリ屋と言われることが多い。気心の知れた友達からは「ノンビリ」ではなく、ボンヤリと言われたし、学生時代の先輩には愛情を込めてノロマツと呼ぶ人もいた。  小学5年の時に少年野球チームに入ったのも、同級生のお母さん経由で誘われたのがきっかけ。それまで野球が好きだったわけじゃない。  それでも野球はずっと続いた。中学と高校の六年間、そして大学に入っても野球は続けた。働き初めて少し落ち着

          カレーライス(仮)03

          カレーライス(仮)02

           テレビの天気予報が夕方から雨になると言っていた。雨になるのはいいが、夕方からの雨に備え、日中ずっと傘を持ち歩くべきなんだろうか。アイスコーヒーの氷が音を立てストローをゆらした。  鈴木祐二はグラスを持ち上げ、テーブルにたまった水滴を紙ナプキンで優しく吸いとった。ぬれた紙ナプキンをそのまま、両目にあてがう。冷たい刺激がたまらない。ひと仕事終えた昼下がり、夏場はこれがたまらない。八千代は脚の長いカウンターチェアに浅く腰かけ、昼の売り上げを勘定している。 「ゆじさん、やっぱそ

          カレーライス(仮)02

          カレーライス (仮)01

          「ねぇ、これぐらい?」 「どれ? あ、そんなもんでいい。もっとデカい方がいいか?」 「どうだろ? ま、いいんじゃない」  松男は「まかせる」とだけ言うと、再び玉ねぎのみじん切りに取りかかった。キッチンからは時折、くしゃみとため息の中間のような音が漏れている。どうやらみじん切りは相当につらいらしい。  紙袋一杯に入った玉ねぎをみじん切りにするには、相当量の涙と鼻水に立ち向かわなければいけない。涙をぬぐいながら、鼻水を袖でおさえながら、きっとひたすら包丁を動かしている。涙と鼻

          カレーライス (仮)01