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映画評 アルプススタンドのはしの方

ネタバレ有りです。観賞後にどうぞ。

青春映画が炙り出す魔女ならぬ捻くれ者裁判。君はどんな青春だった?まだ青春を捨てられず、中学生の頃の夢ばかり未だに見ている。恥ずかしくなるけどそれが俺です。

上手く出来ない自分を美化して、ニヒルに斜に構えるってめちゃくちゃ手垢が付いている。手垢が付いた表現を鼻で笑っている癖にプラレールの様に同じ道を何度もぐるぐると廻る。映画に当てられて肩を切って歩いてくんだろう?劇場を出れば。(笑 え、なんで家で見れるのにわざわざ映画館とか行くの?てか劇場って!言い方!わら寺山修司とか誰だよわら)

人生なんてくだらない、本当の感情だけで生きていられる瞬間なんてごく僅かだ。歳を取ると色々が見え過ぎて毎日くさくさするよ。茹でる前のペンネ。かっちかちで頑固、誰もそのまま口にしようなんて思わない。しょうがないの連続なんだよ。賢くあなた好みに茹でてくれる奴なんて居ないんだよ。

と、一笑に付すのはもう辞める。

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映画の話。高校最後の夏、夏休み中に強制参加の野球の全校応援。応援するでも無く宙ぶらりんに、はしの方に気付けば集まっていた生徒4人。しかし実は各々が腹に据えた思いを持っていた。5回表から9回裏、試合が進むに連れて少しずつ、人知れず大人の階段を登る事になる。

主演の小野莉奈・西本まりん・中村守里・平井亜門 全員の演技が好みでした。吹奏楽の黒木ひかりさんは御尊顔が整い過ぎていて少し眩し過ぎたな。

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細かい部分なのだけど、トランペットを吹く時にはもっとほっぺが膨らむので、それを考慮して欲しかった。そして熱量が一定過ぎて単純に美しいマネキンに見えてしまった。

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特に好みだったのはしょうがないが口癖の小野莉奈さん。安藤サクラの持つ女性の底知れない母性と愛嬌と禍々しさの両方が同居しているような雰囲気にこれからをもっと見たいと思った。

作品の構造がシステマチックで演劇でも出来そうだなーと思って見ていると、全国高等学校演劇大会・最優秀賞の戯曲を元に映画化とチラシにあり納得。個人的には不快では無いのだが違和感がある映し方なので、気になる方も居るかもしれません。文字通りの意味で少し砂っぽさが欲しかったかな。コミカライズ版も現在連載中。もしかしたら漫画ならではの戯曲と映画、双方の良いとこ取り・ファンタジックな技術で作品にとって最適な表現方法になっているかもなと考察。いずれ読もう。

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生き方に手垢が付いてるように思えても前を向くんだ。本当にしたい事をすればいい。声をかけたい相手に声をかけて嫌われたり好かれたりした方がいいと俺は思う。友達は1人大切な奴が居れば充分で、少なくてもいいんだ。人間はみんな勝手だし、なりふりかまう必要は無いんだ。いつの間にか張り付いた歪んだ口元と眉間の皺に別れを告げるんだ。
その瞬間きっと青春を抱えたまま大人になれるはずだ。

ど直球の青春映画に触れたのは久々だ。おもしれーじゃん。とニヤける口元がどうか歪んでいませんように。素直に笑顔でありますように。エンドロールで流れるthe peggies 青すぎる空 ど直球な歌も素直に胸に響いた。映画は時間の芸術だなぁ。昔に戻され、未来を夢想して、今に帰ってくる。

I tell you, we are here on Earth to fart around, and don't let anybody tell you different.
カートヴォネガット

頭に刻まれている言葉の一つをアホだからGoogleでスペルを調べてコピペして、おしまい。

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