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近所のカレー屋さん「からくら」に初訪問

朝から小雨がふり続いた一日でした。やっと暖かい春が近づいてきたと思ったのに、再び感じる肌寒さ。季節を巻き戻されてしまった感じです。店主は雨でテニスの予定がなくなったので、代わりに近所のカレー屋さん「からくら」さんにお伺いしてきました。(水曜日だけ当店の近くで営業しているのです)

お店を訪れてみると、入口に小さく「LO14:30」と書いてあるではないですか。到着時間は2時15分。ぎりぎりセーフで滑り込み。

店に入ってみると先客はおらず。静かな店内に、店主と思しき男性が1人。どうやらワンオペで切り盛りされているようです。

「メニューは1種類となってます。水はセルフです」

カレー屋の店主に促されるように壁を見ると、そこには『カレー1350円』の張り紙が。その横に部活で使っている物によく似たウォータージャグ。ビールという文字も見えましたが、すぐに忘れることにいたしました。

カレーの種類が選べないのは残念だけど、美味しければそれでよし。とはいえ、1350円のカレーは古本屋に敷居が高い。「今日の古本屋の売上は、このカレー代を超えるだろうか?」と、余計なことを考えてしまいます。

カレーが出てくるまで『葉桜の季節に君を想うということ』を読んで待っていると、店主がタッパーから数種類のカレーを出して、それをそれぞれ温めているようです。なるほど。けっこう手が込んでいますね。

そして出てきたカレーを期待値高めに頬張ると、ん?辛さを感じない。いわゆる辛くないカレーです。どうやらバリエーションと味で勝負するタイプのようですね。

ただ、そのぶん味とバリエーションは鮮やかです。中心に位置する濃い味の豚肉。左を固める黄色いキーマ。右を固める茄子のカレー。そして戦艦のブリッジを思わせる立派なゆで卵。その奥に潜む3色の味付け野菜。そしてすべてを支えるパラパラの細長いお米たち。

とくに塩気の強いゆで卵と味付けが濃い豚肉は個人的に好みです。ただ、個人的には左右のカレーから、もっとパンチをいただきたい。カレーは汗をかいて食べるものというのは、古本屋の先入観かもしれませんが。

そしてライスを頬張っていると、1350円というハイスペックなカレーを古本屋が食するのはいささか身分不相応ではないかという思いが頭の中に過ります。庶民感情が湧きあがると、目の前の高い商品を楽しめない。これが庶民の弱点です。

しかし、「ふ」と冷静に考えると、人間の判断力というのは少しおかしいものだと感じます。

以前はこの建物で「ヤギサワバル」というビール屋さんが営業しており、クラフトビールを販売しておりました。そのときは1杯600円程度のビールを2杯飲んだ記憶があります。それこそコスパに合わなく、古本屋にとって身分不相応な飲食なはずですが、その時はビールを美味しく飲めたこともあり、コスパの事なと微塵も考えませんでした。あれはアルコールの魔力だったのだろうか。

そう、魔力が必要だ。魔力こそ個人店に必要なものかもしれません。カレーの魔力は辛さの魅力。豚骨ラーメン屋の魔力はこってり感の魅力。すると古本屋の魔力はなんだろう?

それはやはりお得感かもしれませんね。「こんなにいい本がこんな価格で!?」と驚くような。ただ、そうすると転売ヤ―が来て店が荒れる。そこが古本屋の難しいところです。と、結局はいつも通り古本屋のことに考えが向いてしまいました。

店主の後にも「からくら」にお客さんが1人入店されました。どうやら営業時間を把握している常連さんのようでした。迷わず100円プラスしてご飯大盛にしていました。

カレーを食べ終え、お店を出る前に店主に軽く「近所で古本屋やってます」とご挨拶をさせて頂きました。そして「からくらのカレーを食べてみたい」という要望があるのでテイクアウトできないかと質問をさせて頂きましたが、現在は難しいとのこと。このカレーを食べたければ、柳沢に来るしかないようです。

そして店に帰り、夜になり、店を閉め、レジを清算すると、本日の売上はカレー代をなんとか超えました。明日からは天候が回復するようです。古本屋の売上も回復させねばと思いました。


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