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絵本「かきねのむこうはアフリカ」

久しぶりに古本屋に籠る一日となりました。お客さんがこない店内で、お売りいただいた本をひたすら磨いて、ひたすら値段をつけて、ひたすらお店に並べます。

そして夕方、仕事が一段落したところでいつも通り読書をすることに。昨日から読み始めた新書を読み終えそうになったとき、「ふ」と積みあがっている絵本に目がいきました。そこで今読んでいる本は最後の一章を残し、閉じ、今度は絵本を数冊読んでみることに。

その中で店主は「かきねのむこうはアフリカ」というあまり売れていなさそうな絵本が気に入りました。

ストーリーは少々変わっています。集合住宅に住むフランス語を話すアフリカ系奥さんと、隣に住む子供との物語です。主人公の子供は自国に住むマジョリティで、隣のアフリカ系奥さんは間違いなくマイノリティ。この絵本のテーマが異文化の理解であり、それが著者の願いであろうということは誰でも読み取れるのではないかと思います。

この絵本の中でアフリカ系奥さんは、まず最初に庭にある家庭菜園と物置を壊します。その様子を見た近所の人たちは怒り出します。集合住宅は、すべて同じ家、同じ庭になっているので、自分の庭だけ改造する奥さんを見て「ずるい」と思ったのでしょう。

しかし、アフリカ系奥さんが造ったのは・・・というお話です。この本の著者はベルギー人とスウェーデン人。外国の絵本です。にもかかわらず、日本の社会と同じように、他人と違う行動をとる人を疎ましく思う姿が描かれている。これを面白いと思いました。出る杭を打つという文化はどの国でも同じなのかもしれませんね。

そして、店主が興味深く読んだのは、アフリカ系奥さんが雨の日に外で過ごすという行動です。私たちは「風邪をひいたら大変」と考え、雨の日は家の中で過ごします。それは、アフリカの人たちも同じだと思っていましたが、違うのかな?また、なぜ雨の日に外に出ようと思ったのか?

そんな疑問を考えていると、科学が進み、都会に住む私たちの生活は、自然とつながっていないのではと思いました。雨にうたれ、土を身近に感じ、自然とつながる生活をすることこそが、アフリカに住む人の幸福なのかもしれません。

以前、何かの本で読みましたが、文明が遅れているアフリカに住む人たちは先進国に住む私たちよりも幸福度が高いそうです。現在、パソコンに向かってブログを書いている店主も幸福を感じることが多いとは言えない生活です。なので、もっと自然や成り行きに任せた生活を送ってみようかな。絵本一冊を読んだだけで、そんなことを考えました。

ちなみに「とんでもない(鈴木のりたけ)」と「ぜつぼうの濁点(原田宗典、柚木沙弥郎)」も面白かったですよ。どちらも考えさせられる内容なので、大人が読んでも楽しめます。たまには絵本を読むこともいい。色々な本を読むことがいい。そんなことを改めて感じた読書となりました。


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