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大阪ずし

こんにちは。ぼーんぐんです。

先日美味しい「大阪ずし」を食べてきました。

みなさんは「大阪ずし」ってご存知ですか。

「大阪ずし」とは、魚の切り身などのネタとすし飯を木型で押して成形する”押し寿司”や”箱寿司”などのことです。

飯と具材を重ねてギュッと押し固めて作るアレ!あの”四角いお寿司”です。

一般的にお寿司と聞いて頭に思い浮かぶのは「江戸前のにぎり寿司」ですよね。でも実は歴史では「大阪ずし」の方が古いんです。

江戸時代に屋台から始まった「江戸前のにぎり寿司」に比べ、「大阪ずし」は平安時代が起源とされます。その特徴は押し寿司にすることで「空気が入らない」「酢で〆る」「火を入れることで腐らなくする」こと。

保存性に優れ、時間がたっても風味が損なわれず、また作ってからしばらくおいたほうが寿司飯と具材の味がなじんでおいしい。

保存性が抜群ってこと。凄ーい。

でもハッキリ言って「大阪ずし」って地味ですよね。(言っちゃった)

今ではその地味さや仕込みに時間と手間がかかるために提供店が減り続けているですって。残念な事です。

私は長らく大阪に住んでいるにも関わらず、この「大阪ずし」を今まで一度もお店で食べたことがありません。さすがにこのまま提供店が無くなっては食いしん坊の名が廃れます。

そこで今回は一念発起して(大袈裟な)、電車を乗り継ぎ老舗の「大阪ずし」提供店に行ってきました。

場所は大阪の南。日本で一番短い商店街の候補になっている「文の里 明浄通商店街」の一角にあります。

その名も「文の里 松寿し」

とにかくお店の佇まいが渋いでしょ!!

もっと言えばこの店に至る商店街自体もなかなかな感じです。もう昭和感が半端ありません。タイムスリップです。

「ガラガラガラ・・こんにちは。やってますか」
「どうぞ中へ」

意を決して入り口の扉を開くと店内から女性が出てきて明るい笑顔でカウンター席へ案内されます。

カウンターに着き店内ぐるっと眺めますと想像通り店内も昭和感満載です。

手ぬぐい、寿司桶、カウンターの寿司ネタケース。どれをとっても歴史が感じられます。もちろん入り口にある電話機は現役の黒電話!

例えるならど根性ガエルの梅さんのお寿司屋さんにでも来た感じでしょうか。全てがイケてます。

早速メニュー表に目を通します。

いなりずし
さばずし
巻きずし・・

盛り合わせ
大阪ずし
にぎりずし
ちらしずし・・・

目当てはもちろん「大阪ずし」ですが押しずし一本ではないようです。江戸前のにぎり寿司も普通にやっておられます。

「大阪ずしと赤だしをお願いします」「大阪ずしですねぇ」

ご主人さんが元気に答えてくれます。

どうやら板前のご主人さんと先ほど店内に招き入れていただいた女性とはご夫婦の様です。お二人でお店を切り盛りされているんですね。

暫くして「大阪ずし」がやってきます。

どうですか、この素晴らしい作品!

甘めに仕上げた酢飯にばっちりな”穴子”、
ほどよく〆られ弾力の心地よい”鯛”、
酸味を利かせた”バッテラ”、
高野豆腐がジューシーな”太巻き”、
卵や椎茸、海苔おぼろの”伊達巻き”、

どれをとってもオールスター。さすがの味を楽しみます。

しかし食事は黙々と食べるだけではつまらないものです。楽しい会話があってより一層その味を堪能できると思っています。

この点もこのお店は天下一品でした。

ご夫婦のお人柄が最高なんです。

「大阪ずし」を運んでこられ一息ついたころ、奥様から笑顔で話しかけられました。

「お客さん今日は初めてですか」
「はい、恥ずかしながらこの歳まで大阪ずしを食べたことがなくて今日はお店で初めて食べます」

このお店にはテレビやラジオ、BGMの類は一切ありません。

これは客と板前さんとの真剣勝負の場にBGMは不要だとの考えなのかと思っていましたが、そうではなかったようです。

食事中に繰り広げられるご夫婦との話がとても心地よく、ご主人の手間入りのお寿司が一層美味しく頂く事が出来たんです。

食事は楽しくなくてはなりません。会話が楽しければBGMは必要ないんです。

ご主人の作品(お寿司)を目で味わい、舌で味わい、香りを楽しむ。そしてそこに楽しい会話があればこれ以上のおもてなしはありませんよね。

奥様は言います。お客様との出会い”一期一会”を大切にしているのだと。

過去お店は何度も閉店の危機に見舞われたそうですが、その都度常連さんの口コミから新聞に取り上げられたり、雑誌に取り上げられたりして助けられてきたと言います。

また最近ではSNSを使ってお客様がお店を紹介していただくことで遠方からのお客様も増えてきているようです。その口コミは国内を超え海外のお客様まで呼び寄せている。凄い事です。

一期一会とは、一生に一度だという思いをこめて誠心誠意おもてなしをすること。出会いを大切にすることのたとえです。

「ご馳走様でした」

美味しい大阪ずしとご夫婦との楽しい会話を頂き、お腹も気持ちも大満足です。

如何でしたか。

次は本物の味「大阪ずし」をみなさんの舌で試してみてくださいね。

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