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#413 アルバム論14|VANISHING VISION / X(1988)

アルバム論、今回よりX(X JAPAN)編に突入します。

Xはその歴史の中で、オリジナルアルバムは3枚しかリリースしておらず、多分活動期間で考えると10年に1年ペースとかそんな感じだと思います笑
なのでその「BLUE BLOOD」「Jealousy」「DAHLIA」のオリジナルアルバム3枚と、アルバムではないですがシングルと呼ぶのも違う気がする衝撃の問題作「Art Of Life」、そしてインディーズ時代の名作「VANISHING VISION」を今回は紹介したいと思います。



VANISHING VISIONをリリースした際のX

この頃のXはとにかくライブハウスで大暴れして、ライブハウスを出禁になり、打ち上げの居酒屋も「Xお断り」と出禁になり笑
とにかくイカれた兄ちゃん達だったようです。

で、YOSHIKIはプロモーションに力を入れており、たけしの「元気が出るテレビ」に出演していたのは有名です。
コーポ明日香のゲイリー・ヨシキですね笑


そして、音源を出させてくれるレコード会社がないなら、自分たちで作っちゃえと設立されたのがエクスタシーレコード
LUNA SEAの「LUNA SEA」も、GLAYの「灰とダイヤモンド」もこのレーベルからリリースされ、エクスタシーレコードはインディーズレーベルの登竜門的なレコード会社となりました。

そんな感じでリリースされた本作「VANISHING VISION」は、

初動1万枚以上と、当時のインディーズとしては記録的なセールスを上げ、インディーズ・レーベルながらメジャー・チャートにランクインを果した日本史上初のアルバムとなった。最終的な累計売上は41万枚を超えた

https://ja.wikipedia.org/wiki/Vanishing_Vision

とのこと。
YOSHIKIのバクチは大当たりだった感じですね。


VANISHING VISIONとの出会い

PATA…笑

僕がXに興味を持ったのは小6〜中1くらいで、ちょうどDAHLIAがリリースされた辺りでしたので、解散前のX JAPANのほぼ晩年のシーズンで、かろうじてリアルタイムで聴けたという感じですね。

で、DAHLIAのアルバム自体がリリースされたのが1996年だったんですけど、それくらいのタイミングで「BLUE BLOOD」とか「Jealousy」とか聞くようになり、そのタイミングで友達の姉が持っていたVANISHNG VISIONを借りたのがきっかけでした(その友達の姉はヘヴィーなXフリークでした)

ただ、借りたCDを見ると歌詞カードが無かったのです。
友人に尋ねたんですが、「あのオッパイ出てる歌詞カードがねーちゃん嫌だったみたいで、捨てたらしい」と笑
僕は歌詞カードを見ながら曲を聴きたい人だったので、初聴の際はなかなか曲が頭に入ってこなかったですね笑

ただ、今改めて聞いてもカッコいいですし、古参ファンはこのアルバムこそが最高と言いますし、それは理解できます。
とにかく、インディーズの完成度じゃないですね。売れるべくして売れた才能の欠片で溢れています。


VANISHING VISION 全曲紹介

01.DEAR LOSER

もうタイトルの時点でカッコ良かったりするんですけど、この曲はTAIJIが作ったインスト曲ですね。
HIDEが考えたらしいですがアルペジオが美しく、紅しかりXのアルペジオはレベルが高いです。そこから重厚なイキフンで始まるオープニングに相応しい曲ですね。
実際にWorld AnthemⅡとかも相当イけてるオープニングナンバーですが、この曲はこの曲で素晴らしいですし、後半パートなんて「いざ出陣!」みたいな感じで盛り上がっていく感じで、終盤のドラムパートはすごい好きですね。
少なくともこの時点でインディーズバンドと思えないクオリティがあります。


02.VANISHING LOVE

このアルバムのリードトラックにして、インディーズ時代の代表曲。メチャクチャカッコいいです。このアルバムで一番好きなのはこの曲ですね。
もうすでにハードロックでメロディアス、高音ボイスにテクニカルなギターサウンドなどの基礎は出来上がっており、マジでインディーズのレベルじゃないです。やっぱこういう曲は最高に上がりますね。

この曲はPATAもコーラスしている辺りが初期の荒々しさを物語っており、非常に良いですね。
あとは野太い声の「GO MAD」とか「SMASH UP」とかそういうコーラスもいいです。

ただ、BLUE BLOODに収録されている表題曲の「BLUE BLOOD」と若干通じるところもあり、X JAPAN改名のあたりでスッパリやらなくなってしまった曲です。
今ライブでやり出したらクソ上がるでしょうが・・・


03.PHANTOM OF GUILT

この曲はTOSHIの歌詞にTAIJIが作曲した曲で、次作「BLUE BLOOD」のEASY FIGHT RUMBLINGにも通じる曲で、その曲同様に割とスキップしちゃう系の曲ですね笑


04.SADISTIC DESIRE

これは初期の名曲であり、割とこのアルバムの中では解散する終盤までセットリストに残り続けた曲ですね。
HIDEがX加入前に組んでいたサーベルタイガーの曲として有名です。
歌詞はYOSHIKIが書いたんですが、とにかくエグいSMというか、まさにサディスティックな欲望を書いた曲ですね。

「鼻歌口ずさみ 肉体噛みちぎる 無邪気な女を笑いながらなぶり殺して」
「狂った女を壁に吊るして Hanging On The Wall」

など、だいぶイカれた曲です笑

のちにSilent JealousyのC/Wでリリースされた際と若干バージョンが異なり、そっちのバージョンの方は僕は好きなんですが、こっちはこっちで粗さがあって良いですね。


05.GIVE ME THE PLEASURE

この曲はHIDEとTAIJIの共作とのことですが、もうTAIJIの曲ですね。
次作のXCLAMATIONにも通じるクソかっこいいTHE TAIJIという曲です。
冒頭の「Fuck The Blood!」の語りと同時に始まるTAIJIのスラップ!スラップ!スラップ!
やっぱリアルタイムでは見てないですけど、HEATHよりTAIJIの方がカッコいいんですよね・・・その真骨頂を味わえる曲です。
1曲目のDEAR LOSER同様、クソかっこいいインストですね。Xのインストは本当にカッコいいです(一部を除いてですが笑)


06.I'LL KILL YOU

Xのインディーズ1stシングルとしても有名な曲ですね。
直訳すると「俺はお前を殺すだろう」という、まず人生で使う局面がこなそうなフレーズですね笑
とにかくVANISHING LOVE同様、攻撃的なナンバーなんですが、この曲は短く、速攻終わります。とにかくパンキッシュでヘヴィーなナンバーですね。
そしてこれを高校時代から演奏していたというから恐ろしい。
恐ろしい子です。


07.ALIVE

このアルバムで唯一のバラード曲で、のちのBALLAD COLLECTIONにも周力される曲ですが、バラード曲の中では一番ロックテイストな曲で、YOSHIKIがピアノではなくドラムを叩く唯一のバラード曲なのではないでしょうか。
かなり美しいバラードですが、初めて聞いた時の印象は薄く、借りていたけどこのアルバムの記憶一切なく、BALLAD COLLECTIONで聞いて、「こんないい曲があったのか!?」と思ったものでした笑

とにかく何度も言ってますが壮大で、メロディアスで、メロウであり、マジでインディーズのレベルじゃないですよね。
映画を見るようなストーリー性のある美しい曲ですね。


08.KURENAI

そしてXの代表曲で、みんな大好き紅ですが、その英語バージョンということでKURENAIの表記です。
やはり日本語verの「紅」を先に聴いていて、そっちに思い入れがありすぎるので、そっちのバージョンの方が好きですが、こっちもこっちで味がありますね。
紅で英語の部分は基本的には一緒なんですが、冒頭のアルペジオのWhen I Was Looked Atのところが、When I Was Lookingとか微妙に違ったりしますが・・・割とどうでもいいですね笑


09.UN-FINISHED…

そしてこのアルバムのラストは、未完成という曲名のUN-FINISHED…がさらに未完成になったバージョンで締めます。
この曲の完成版はBLUE BLOODで聞けるんですが、もうこの時点でインディーズに留まらず、先を見据えていたことが分かりますね。


まとめ

とにかくインディーズながら完成度は鬼高く、これはメジャー・レーベルで争奪戦になるのも分かりますね。
とにかく最高に凶暴で、攻撃的でありつつも、しっかりと演奏を決めるスタイル。
リアルタイムで聞いていたら、今より僕はXをリスペクトしていたでしょう。

次は1st「BLUE BLOOD」を紹介します!

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