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2021.11.30(木)晴れ UBER嘘日記

UBER1件配達。menu3件配達。出前館5件配達。

 ピックアップに向かった江古田駅前のマックが大盛況大行列。その店先で「DE」のバッグを担いだ配達員がタブレットを持った店員とやりとりしている。トラブルだ。「DE」は出前館のロゴ。配達員の顔にはタトゥーがびっしり。雨男じゃん。配達員をやっていたのか。店員の方はピーク時のトラブルに切迫の表情。「そちらのアプリでお客様と直接連絡をとることはできますか?」
 質問を受けた雨男の視線は自身のスマホと店員の間をゆらゆらと漂う。分かってないな。雨男はカタコト。しかいテンパる店員に相手は見えていない。「マカロンが解凍中でして、お時間をいただけるか、キャンセルにするかを聞いてもらいたいんです。店からの電話には出てもらえなくて」 グイグイ押していく。俺が義侠心を出して間に入る。「ちょっと貸して」 俺はスマホを取り上げ代わり電話をかけてあげた。出前館アプリにはお客さんとの電話機能が実装されているのだった。

 マカロンはキャンセルとなった。

「ありがとう」 DAMチャンネルで聞いた嗄れ声だ。「あなたはUBERか」 俺は両方のアプリを入れて配達しているが圧倒的にUBER寄りだ。「出前館になれ」 それはもう、出前館アプリが俺のスマホをもっと鳴らしてくれればね。

「もうすぐ戦争が始まる」

 謎の言葉を残して雨男は去った。出前館とUBERの間の戦争ということなのかな。ふーむ。
 

つづく

この連載小説のまとめ 


この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。